出発
「気を付けていきなさいよ」
玄関まで私達3人を見送りに来てくれる。
「は~い」
何時ものごとく元気よく返事をするシェリ。
それを見たお母さんは微笑むも、少し不安そうな顔をする。
「セレナ。シェリのこと、ちゃんと見ておくのよ」
「勿論!!任せてよ」
「私のことなら心配しなくていいよ」
シェリは恥ずかしそうにしながら、必要はない、大丈夫と言いたげに反論。いえね、私から見てもすっごく不安よ。という意味を含めて半ば呆れ顔で隣を向く。
「ちょっと!大丈夫だって!!私はしっかりしてるよ~」
はい。大丈夫ではない大丈夫を頂きました。ほんと…不安だわ!!
そう思ったのは私だけではならしい。お母さんもセレナもジト目だ。
「そうよね…大丈夫よね…」
「うん…確りしてるよね…」
下を向いて言う2人。そんな2人を見てむ~っと唸るシェリ。
唸らないでよ…何?ウルフなの?あんた…
「さてと。じゃ、ミレイも元気でね!!後、ゆっくり落ち着いたら手紙をちょうだいね!」
手を振るお母さんに別れを告げ目的の場所に行く。
「そう言えば、どうやってリベルクローツまで行くの?」
不思議そうに首を傾げるシェリ。そんな疑問に自慢気にセレナが答える。…てか、何で自慢気!?
「馬車で移動するの。冒険者ギルドの付近に馬車が来てくれるから、今はそこまで移動してる最中よ。」
セレナが説明していると、
「セレナ、冒険者ギルドについたよ」
私達が着くのと同じくして、後ろから声がする。
「へぇ、みんな仲良くお出掛けか?」
「違うわよ。この前説明したでしょ。魔導学園リベルクローツに行くのよ。」
解体場所と会計を徘徊してる筋肉達磨ことバンレトと、美人な受付嬢のティナさんだ。
「そうか!頑張れよ~」
「無事合格するのよ!応援してるから!!それじゃね」
一言残すと行ってしまった。
「相変わらず忙しそうだね。」
「せかせかと働いてるね」
「楽しいのかな?」
3人してこんなこと言ってると寒気がした。気のせい?うーん…気にしない。気にしたら負け。そうだ!!そうなんだ!!そういうことなんだ!!
何か、悲しくなってきたな。どうするか(現実逃避)してると、ちょうどいいタイミングで馬車が到着。
「御待たせ致しました。シェリ様、セレナ様ミレイ様。リベルクローツの使いのものです。これを付けてお乗りください。」
馬車から降りてきた女性の胸元には、リベルクローツ専用のバッチが飾られていた。まず、偽装はできないし、間違いない。
渡されたものは番号の書かれた札。それを胸元に着ける。
「では、お乗りください」
「これ何かな?」
馬車に乗りながら疑問を抱くシェリ。…やっぱりシェリはシェリだね!!別に他意はないよ、うん。
セレナが口を開く前に私が答える。
「試験の時に割り当てられる試験者番号だよ。試験に合格すると番号の代わりにランク付けされる。番号札を回収してね。」
「へぇ~」
私の隣にシェリが座り、シェリの前にセレナが座る。私の前には先ほどのお姉さんが座る。
かなり広いなぁ。綺麗だし。座ってみるもすっごくふわふわ柔らかだし、何かへにゃ~ってしてくる。
にしても私達だけか。乗っているのは。なんか、ちょっとしたVIPてな感じでいいね。
そして、馬車が動き出す。
私は目を閉じる。ちょっと早い、お昼寝。
意識が少し戻る。どれ程寝ていたのだろうか…
それはそれとして、セレナは相変わらず元気にはしゃいでるね!元気なのはいいことだ。
横目で見ながら
「んん~っ!!」
眠気冷ましに伸びをしてると
「外すごいよ!何か、ば~ってなってるよ!」
さっきまで船漕いでたよね、シェリは。何で急に元気になったの?
シェリを見ると…
寝ていた。
寝たよ!言いたいこと言ったら満足して寝たよ!!早っ、ちょっとした驚きよ!!
いろんな意味で目が覚めたわ…セレナもいつの間にか寝てるし、外を観察しますかね。
流れる景色。緑緑した木々。
見たこともない景色なので夢中になっている自分がいた。