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レクイエム  作者: 猫の祭り
第1章
14/25

 セレナとシェリ

はぁ…眠い

 パンパン


 「ほら、みんな起きて!!」 

 

 手を叩きながら大声で起こす声が響く。


 寝ていたいけど、起きないと…

 あっ、頭の中真っ白だ…

 暖かいな~起きたくないなぁ~嫌だなぁ~めんどくさいなぁ~

 

 …よしっ!


 ムクッ

 

 「あら!おはようミレイ。ほ~ら、ミレイも起きたんだからあんた達も起きなさい!!それとミレイは顔を洗ってきなさい」 

 「…」シーンっ

 「ふふっ。まだ寝ぼけてるようね」

 

 無反応の私を見て、微笑ましく思ったのだろうか?

 クスッと笑う。

 

 はぁ…だるい…よしっ寝よ…


 ボフッ


 「へぇ…そんなことをするんだぁ~!!」


 何!!この悪寒!?

 周りも騒がしい。恐らくこれを感じとりセレナとシェリも飛び起きたのだろう。


 嫌な予感がするので、私も飛び起きるが…


 …遅かった。


 次の瞬間、火山が噴火した…


 「ほら、ご飯できたから冷めないうちに、いただいちゃいましょ!!」


 さっきまでの逆鱗は何処へやらってな感じで、いつものにっこにっこふわふわぽわぽわなお母さんこと、エミネムさんがそこにはいた。


 はぁ…本当…もう見たくないわ…あんなお母さん…

 マジ怖い…だって声色は低くて超不機嫌、ご機嫌斜めなのに顔は、とってもいい笑顔なのよ!?ギャップ差ありすぎて怖い… 


 普段はあんな感じなのに、ちゃんとした二児の母なんだよねぇ。


 お皿をテーブルに運びながらそんなことを考えていると、突然後ろから頭を撫でられる。

 上を見るとにこにこ笑顔のお母さんだ。


 「ありがとっ、ミレイ。早く座りなさい。ご飯食べるわよ」


 4人揃って挨拶をし、ご飯を頂く。

 パンにスープと、へぇ、野菜とウルフの肉を炒めてるのかぁ。朝からしっかりとした料理だ。


 そんな私の心を読んだのか、口を開くお母さん。


「1日のの活力は朝食からとも言うしね。それに、今日は思いっきり食べて今日を乗りきりなさい!今のあなた達に必要なのはエネルギーよ!!」


 お母さんの言っていることは間違っていない。今日はだって試験があるんだもの。


 それが原因でか、セレナもシェリもテンション上がりっきりだし。


 「ミレイは試験をどう思う?楽しみ?」


 身を乗り出して、私に楽しみアピールをしてくるシェリ。


 「勿論よ!セレナも同じでしょ?」


 シェリと同じ質問をする。

 

 すると、胸を張り何故か誇らしく、


 「当然よ!やっと夢に近づくことができるんだもの!!楽しみに決まっているじゃない!?」


 何か裏があるような、裏というよりも妙に意味深で、それよりも何故か悲壮感が漂っていた。そんな気がした。そう思った確信は何もない。


 「さてと。みんな食べ終えてるみたいだし、遅れないように準備をしてきなさい」


 私の思考の渦を断ち切るかのようにお母さんが準備するよう促す。


 カチャカチャ


 食器を洗うため1人で運び始めるお母さんを手伝おうと、3人で食器を重ねているところに


 「ふふっ。手伝ってくれるのは嬉しいけど、自分達の準備が先でしょ」 

 

 と言い出す。


 ほんと。優しくも厳しく、強い人だ。私もこんな人になれたらな…

 


 さて、私も荷物をまとめないと


 「ミレイ。ちょっと話があるのよ。いいかしら?」


 断る理由はない。なので、頷いて返事をする。


 椅子に腰かけていると話始める。


 「セレナのあの反応を見て何か、引っ掛かったんじゃないかしら?」


 どうやら、あの疑問は間違いではないらしい。


 「あなたには話したかしらね?私、夫とは死別しているのよ。私の夫は、冒険者だった」


 エミネムさんの夫は冒険者で、そのパーティーにエミネムさんもいた。ある依頼を受理しているとき、予想外の出来事が起きた。いきなり創造するものが現れ、パーティーは全滅寸前に陥る。

 そのとき、夫とエミネムさんを守るため、注意を引き付け庇って死んでいった。それでも襲ってくる。だから、夫がエミネムさんを逃がすことに奮闘するも、命を落とした。結局、創造するものの目的も分からぬまま消え去っていた。


 夫は常々、娘のセレナに言っていたことがあるらしい。


 「冒険者は確かに危険な職だ。けれどね、冒険者になることで、困っている街人や村人を助けることができる。騎士団なども同じだが、彼らは王の言うことしか聞かない。だから、王が民を見捨てたなら騎士団なども民を見捨てる。でも、冒険者はどんな依頼でもこなすことができる。____これは、冒険者にしかできないことだよ。俺はそう信じてる。俺の誇りだよ。」


 と。

 

 その夫の死とこの言葉が彼女、セレナを尽き動かす切っ掛けとなった。だから、セレナは必死に冒険者になろうとしていた。

 この話をした後、お母さんからは


 「セレナはよく無理をするから、気を付けてあげてね」


 そう頼まれた。


 


 

眠い…ね~む~い~よ~

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