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変わり者の物語  作者: あなぐま
第2章 北の大地
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第19話 鉄の都と黒の砦

「少し、高いかな」


 その村を囲む壁は、他のそれの軽く倍はあった。今までは柵の上からマントを投げ入れていたけれど、見上げる限りこれは無理だ。木製のその壁に狭い隙間があって、僕はそこからマントを無理やりねじ込む。押し込んだ先に水溜まりでもあったのか、べしゃりと嫌な音がした。


「……」


 あとは僕だけ。じっと手を見る。


 少しずつ崩した。人間の手が水のように透けていく。フレイネストで馬鹿やったせいで、泉の水に体を溶かす度に元の人型に戻れるか不安になるけど、まぁ、もう四回やって問題も無い。大丈夫。


 いつも通り柵の隙間、腕が一本通る程度の隙間から流れ込むように侵入する。普通の人からは、壁の穴から水が溢れているようにしか見えないだろう。流れ込んだ先の水溜り、潜って様子を見る。大丈夫。


 場所は路地裏の廃材置き場。建物の向こうで人通りがある。でもこっちを見る様子はない。大丈夫、大丈夫、大丈夫だ。


 素早く人の形に戻る。マントを取って、フードを目深にしっかり下した。

 路地裏を抜けてふらっと通りに出る。そして何でもないように村に紛れた。


「……」


 山の麓の小さな村だ。

 森に入る狩人を中心にした寂れた場所。

 住む人はどこか活気がなくて、行きずりの旅人達が無駄に幅を利かせていた。


 その中で、全身をマントで覆う僕はいかにも胡散臭く、でも胡散臭い旅人が多いこんな村ではまるで違和感もない。我ながら手慣れたものだ。フィンに会う前、一人で旅をしていた時はずっとこんな調子だった。人の姿だって取れなかったから、ずっと水溜りに潜んでいた事なんかもあったけれど。


 しばらく村を回って、ようやく見つけた。


 商業ギルドの裏支部、家同士に押し潰されるような小屋だった。そこにいた老人に金を払って合言葉を確認すると、彼は小さな手紙を渡してくれた。いったん小屋を出て裏路地で確認する。見慣れた蝋封。エリックさんだ。刻み込むような鋭い文字がびっしりと書かれていた。


「お前が連絡を取ってくるとは珍しい事もあるものだ。この手紙が届く頃には、雨でも降っているかな?」


 もう降ってるよ。

 相変わらずだな、あの人は。


 仲間達と離れて、僕が唯一あてに出来るのは彼くらいだった。情報屋も商人の一種だから金を払っている限りは信頼できるし、彼なら斬っても突いても死なない気がする。実際、その手紙にはフェルディアのかなり内面にまで食い込んだ情報が書かれていた。この人も大概に怖い物知らずだ。


「以上だ。国に追われているというなら首都近郊は避けるのが賢明だな。フェルディア王、アルバトス・ヴェル・シェリンフォードは急進的な統一戦争推進派だ。以前はもう少し話の分かる人間だったが、病から回復した二年前から一切融通が利かなくなった」


 頭の中で、王冠を被ったスローンが険悪な目で僕を睨んできた。


「領土を拡大し、他国を滅ぼして統一を成し遂げる。あの男の考え方は人間というより魔物に近い。奴の理想とする世界に、まずお前達の居場所はない。可能ならば南部に引き返すか、または北のグラム王国に逃げ込む事を勧める」


 なお、まだ私に隠している情報があるなら最期に余さず白状する事。そんな憎まれ口で手紙は締め括られていた。余計なお世話だけど、本当に助かる。後はレイに関する情報を集めるだけか。


 僕は手紙をしまうと村の酒場を見て回って、中でも人の多そうな安酒場に入った。適当に注文して店の隅の暗がりを陣取る。誰かが見ている気がして改めてフードのつばをしっかり下した。そして耳に入る雑多な会話に注意を向けた。これからどう動くにせよ、ともあれ今は情報が少なすぎる。


「古森の河の渡し守が死んだらしいな、迂回路はどうだ」

「クチデの葉だ。質は保証する、これ一切れで十人は殺れるぞ」

「あの馬はもう駄目だ。足の傷が腐ってきやがった。置いて行くか?」


 一口林檎酒を飲む。汚い村にお似合いの、狭い店と汚い客。テーブルから天井までランプの油がこびり付いて、居心地は最高に悪かった。居心地が悪いだけで何の収穫もない。溜息だけついて次の場所へ移動した。


 移動した所でも、収穫はなかった。村の広場、ギルドの集会所、裏取引向けの暗がり。一通り回った後は入ってきた時と同じく、正門を通らず外に出た。人目につかないよう森へ走る。


「待たせたね」


 森の奥へと進んで、僕を待っていてくれた旅の連れに言葉をかける。死体の巨人、彼は血が出るのもお構いなしに、ガリガリと傷口を引っ掻いていた。


「元気そうだね」


 皮肉が口から零れる。魔物相手に僕は何を言っているんだろう。彼は配慮も情も持っていない、聞くのはただ命令だけだ。


「次の村へ行く」


 僕がそう言うと巨人は乗れとばかりに手を差し出す。これは、配役が違えば姫を連れ去る王子さながらの仕草なんだけど。馬鹿なことだ。その手に捕まって肩に座った。


 巨人が走る。


 森を抜け、山を越え、他の魔物を蹴散らしてひたすらに走った。


 フレイネスト襲撃から十数日。

 もうずっとこんな調子だ。


 マキノは今、何をしているのか。どうすればみんなの助けになるのか。黒の城は一体どこにあるのか。僕には全く分からなかった。


 分からなくても動く他ない。思えばアグナベイの図書館で調べ物をしていた時から、僕は一人で空回りしてばかりだ。マキノだったらもっと筋道立てて着実に目的地に近づいていくだろうに、僕はどっちに行けば良いのかも分からない。気を緩めるとフレイネストの事ばかり考えてしまう。


 巨人に殴り飛ばされてフィンは本当に無事だったのか。

 メイルは今も泣いていないか。

 気絶させてアレクは怒っていないか。

 憎しみの表情で僕を攻撃したマキノ、本当に演技だったのか。


 アデーレとレネの遺体は、埋葬だけでも出来ただろうか。ひょっとして生きていてくれているかも、とも考えた。でもそんな都合の良い事がある筈がない。世界はいつだって厳しい。賽を振れば、いつだって悪い目しか出ないんだから。


 振り返るなと、首を振る。


 僕は動く。足りない頭をいくら使った所で意味はない。目の前に続く道が正しいと信じて、ただひたすらに走り回る。昨日までが駄目でも今日は出来る。今日が駄目でも何度でも繰り返す。効率なんて糞食らえだ。


 次の村に着く。

 再び巨人は森で待たせる。

 マントを羽織って村へと走り。

 見つからないように裏から侵入し。

 情報を集め、また溜息をついて村を発つ。


 焦燥感だけが、胸の中で毒の様に広まっていった。


「山向こうの領主が結婚しただろ。ああ、どう考えても持参金目当てだ。でなければ誰があんな醜女を抱こうと思うかね。まあ服を着ただけの豚には、似合いの花嫁だろうよ」

「それでどうなったと思う? 消えたよ! 二人まとめて行っちまった! あのクズ共が最初からそのつもりだったんだ。ああ勿論、俺には分かっていたね。やつらはそう言う連中だって!」


 待っていろと、僕はいつも巨人に厳命した。指輪の力で命令を聞くのを幸いと、今は完全に馬車馬扱いだ。村から帰って命令通り森で待っていたのを見ると安心するけど、それでも見るたびに気分は悪くなる。またお前か。


「悪い事は言わねぇからあの街には近づくな。俺も商売で仕方なく行ったが、街中が墓場みたい臭ぇんだよ。帰りに見て驚いたぜ。街の外で、化け物共の死体がこーんな山になって焦げてやがるんだ。上の命令で焼いたらしいんだがよぉ、ありゃ燃え尽きるような量じゃなかったな」


 今、フレイネストは散々な様子らしい。戦争に備えて一生懸命に揃えられていた兵隊が手も足も出なかったんだ。力も無くし、自信も無くした。あのスローンって石頭の鼻っ柱もぽっきり折れている事だろう。


「傭兵は駄目だ、どうせなら首都の近くにでも取引先を移す事だな」

「国王陛下の御膝元では、化け物共も動けないってかぁ? へっ!」

「あながち間違っちゃいないだろうがな。正直に言えば俺達だって怖いくらいだ。あれが我らが国王陛下だってんだからな」


 そんな事が国中で起きているんだ。ヴォルフはこれからも、まだ自分に注意の向いていない街を一つずつ確実に潰していくつもりなんだろう。でも。


 でも、そうしてどうするつもりだ。

 自分は城ごと封印されて、外に出る事は出来ないはずなのに。

 それとも、それを破る手段があるんだろうか。


「アビゲイルでゴブリンが出たって? どうすんだ。もう近づけないぞ」

「西の街では逃げた魔物を追って巣穴ごと潰したって。誰かそうやって……」

「誰が引き受けるね、そんな面倒。逃げるが勝ちさ」


 分からない。僕には何も分からない。

 こうやって偶然にでも城の情報が手に入る確率ってどの程度なんだろう。

 無駄な努力にいつまで時間を割いていると、心の中で誰かが叫ぶ。

 それを誤魔化すように、また一口、酒を口に含んだ。まずい。


「はぁ……」


 物欲しそうにこっちを見る鼠と目が合う。食べかけの干し肉を放ってやると、何とか噛み切ろうとジタバタもがいていた。それをぼんやりと眺める。そして一気にコップの中身を煽った。次の村へ移動だ。


 そしてまた森に入る。奥では巨人が待っているだろう。うんざりだった。


「……くそ」


 うんざり。

 うんざりだ。


 何の成果も出ないまま、こいつの監視だけ続けているなんて。

 僕は見当違いの事をして時間を潰しているんじゃないのか? 

 こうしている間にも、大事な何かが取り返しのつかない事になっていないか?


 もしそうなら、あんな奴に頭を使っている時間は無い。でも、殺せないんだ。それならどこかで永遠に待っていろって命令してみようか。それとも、もう帰れって命令しようか。どこから来たかも知らないけど。


 そう言えばこいつにも仲間の死体狩りがいたな。

 フレイネストに来た分は全部倒したけど、まだ残ってるのかな。

 いっそ帰させたこいつを尾行して、巣穴ごと潰してしまえば。

 さっきもそんな話をしてた。逃げ出した魔物を追い詰めて巣穴ごと。

 でもこいつの巣穴ってどこなんだろう。

 巣穴……。


「……巣穴?」


 酒屋の、出口の木戸を押し開けようとした手が固まる。

 心臓が早鐘を打つ。何かが噛みあった。

 自分で考えた筈の推測が、頭を置き去りに話を進めている。


「いや、待って。そんな事が……」


 僕は酒屋を飛び出した。


 いてもたってもいられなくなって、人を跳ね飛ばす勢いで通りを全力疾走する。目立たないようにとかバレないようにとか、すっかり頭から吹き飛んでいた。誰が僕を見ても、フードが弾け飛んでも気にならなかった。


 門番を無視して正門から走り抜けた。

 湿った土を跳ねながら森に飛び込む。

 巨人はどっちだ。


 息が切れる。森を走ってしばらくすると異臭のする霧が立ち込めはじめた。辺りの草木が腐っている。花は萎れ、葉は落ち、幹は枯れて、森がそこだけ死んでしまったかのようだった。自然と歩みが遅くなる。


 視界の向こう。

 その濃霧の中心で黒い影が揺らめいた。

 大きな体がゆっくりとこちらを振り向く。


 死体の巨人は元居たのと同じ場所にいた。相変わらず不機嫌そうに僕を見降ろしている。その体は未だに呪いのように炎の熱を帯びて、気のせいか燃えた木炭のように焦げた皮の向こうに赤い光が見えていた。


 もう近づくのも嫌になっていた頃だったのに。

 もしかしたらこの魔物が、最後の命綱になるかもしれない。


「次の目的地が決まった」


 肩で息をしながら僕は巨人と目を合わせる。


 これは単なる思い付きだ。でもこいつなら知っていても不思議じゃない。いや、確信がある。こいつなら絶対知ってる。答えは最初から持っていたんだ。もっと早く気付くべきだった。


 僕は大きく息を吸って。

 絶対に聞き間違ないように。

 かみしめるように言った。


「ヴォルフの、黒の城に、僕を連れていくんだ」 



***



 薄暗い曇り空の下、落ち着かない顔で一人の男が街を歩いていた。


 すれ違う女もまた暗がりを怖がる子供のような顔をしている。見れば誰も彼もそんな調子だった。死体も片付き、何日も経ったと言うのに、フレイネストは以前とはすっかり違う街になってしまっていたのだ。


「辛気臭ぇ顔だな。見てるこっちが気分悪くなるぜ」


 塀の上に腰かけた少年が、そんな様子を見て率直にそう言った。足をぶらぶら遊ばせながら、偉そうな目で通りを歩く大人達を見ている。


 その隣には同じ年頃の少女が座っていた。少年と違って少女の表情は暗い。唇を噛んだまま、じっとうつむいて動かなかった。それを見て少年は溜息をつく。口に出さなくとも、どうして俺がこんなガキの相手をしなくちゃならないんだ、と顔に書いてあった。


 そこから少し離れたところでは、レネの母親。

 アデーレがマキノと話していた。


「そう、ですか。それでも無事でなによりです」

「あの兵隊さんには悪い事をしたよ。身を挺して私達を庇ってくれたのに、礼の一つも出来ないままだ」

「私はてっきり、あなた達がやられてしまったのかと思いました」

「彼が助けてくれたからね。名前の一つも聞いておきたい所だけれど」

「はい。余りここに留まるのは得策ではないでしょう。残念ですが」


 魔物から身を護る為にフレイネストに逃げ込み、逆にとばっちりを食った旅人達は我先へと街を離れていった。街を取り仕切る国軍も復旧に追われて今はそれを黙認している。


 その中には恩赦を取り付けたマキノ達。

 そして馬を調達に奔走するアデーレの姿があった。


 クライムはいつも、世界は自分の都合の悪い方にしかいかないと考えている。賽を振れば必ず悪い目が出るのだと。だが不運の重なりから死体の魔物と出遭う事もあれば、幸運にも嬉しい再会が待っている事もあるものだ。もっとも当のクライムがそれを知らずにいる為に、彼はいつだって悪い目を出し続ける訳なのだが。


「この剣、お返ししますね。中々くたびれてしまっていますが」

「ああ、悪いね。こんなでも父の形見なんだ。助かるよ」


 大人同士の立ち話など、子供には退屈なだけである。退屈で長くてどうでもいい。足が痛くなったところでレネはメイルを誘ってこの特等席を陣取った。


 そして後悔している。

 耐えきれなくなってレネが話しかけた。


「あーもーなんでお前までそんなに暗い顔してんだよ。言ってみろよ。聞いてやるから」


 大人ばかり相手にしているレネにとって、子供と話すなど久しぶりだった。分かりやすく落ち込んでいるメイルを見ていると、どうにも年上面してみたくなる。単に女の子の前で格好を付けたいと言うのも勿論だったが。


 喋らないメイルにレネはあれこれ話をふる。


「この間の魔物がまだ夢にでも出るのか?」

「分かった、あの喧嘩っ早い兄ちゃんに怒られたんだろ」

「まさか魔物に知ってる奴でもやられたのか?」


 最後の話題でようやくメイルが僅かに動いた。本当に分かりやすい奴だと思いながらも、レネは変わらぬ口調で続けた。


「お前も旅をしてるなら初めてでもないだろ。旅の途中で仲間が死ぬのはしょうがない。それを、」

「クライムは死んでない!」


 うつむいたままメイルが叫んだ。

 その急な変化にレネは少し面食らう。


「……でも、離れ離れになったのは、初めてだった」

「あっそ。お前、今まで大分甘やかされてたんだな」


 甘やかされる。その言葉にメイルの胸が痛んだ。クライムに優しくされて、フィンにいつも守ってもらって、そんな当たり前だった毎日も甘やかされていたと言えばそれまでだ。


「分かってるよ、ボクなんか、まだ子供で。いつだって足手纏いだって」

「なんだ分かってんのかよ」

「それでも少しは変わろうとしたんだ。マキノみたいな大人になりたくて、頑張って。でも駄目だった。僕が下手に意気込んだせいで、余計みんなに迷惑をかけて」

「だからそれは、お前がまだまだ子供だからだって」


 いちいち頭ごなしに否定されて、メイルは怒ってレネと向き合った。


「ボクだって早く大人になりたいんだ! クライムに子供扱いもして欲しくない! ボクだって……!」

「やめろやめろ。大人なんてろくなモンじゃないぜ。汚いし煩いし理不尽だし。マキノだっけ? 今母さんと話してる奴。俺あいつ嫌いだ。いつもニヤニヤしていかにも胡散臭いだろ。それに見ろよ、あれが大人って奴だぜ」


 そう言ってレネは街を歩く人々を指してみる。見渡す限り皆が陰気な顔をしていた。それでもメイルは納得がいかず、言い返す言葉を探して悶々としている。レネもそれっぽい言葉を探して頭を掻いていた。


「つまりあれだ! お前はどんな大人になりたいか、全然見えてない!」


 びしっと指を突きつけてそう言い放った。

 メイルは思わず姿勢を正す。


「どう頑張ってもお前はあの白髪にはなれない! お前の目標は空回りしてるんだ! そうだ、道も確かめずにただ突っ走ろうとするから転ぶんだ! お前はあれだな! ガキだ!」


 そう言いながらレネはうんうんと勝手に納得していた。メイルは不服そうに言い返してみた。


「じゃあレネの目標ってなんなのさ」

「親父を超える! もう死んだらしいがあの大年増をたらしこんだ男だぜ!? それで絶対あのクソババアに地べた舐めさせて今までの扱いを謝らせてやるのさ!」

「小っさ……」

「大人達に頭下げてるのも今だけさ! 俺はああはならない! 今はそのための下準備なんだ!」


 目の前でどうだとばかりに自分の野望を語る少年を、メイルは若干引き気味に見ていた。今度はこれで同い年なのかとメイルが思っている。クライムはいつも慌てながらも一生懸命で誠実でなんか格好良くて、大人ではないにしても素敵に見えた。それに比べてレネはどうだ。同じ男でもこうも差が出るものなのか。


 男が女の前で格好を付けようとすると、大抵上手くいかないものである。


「お前はどうだよ。ぶち当たって大怪我した他に、なんかやってんのか?」

「なんかって言われても。どうせボクは甘やかされてるよ」

「それは甘やかした方だって悪いんだ。どうせあいつだろ、お前を甘やかしていて、急にいなくなったって言う奴は。さっき言ってた、クライム? あのふてくされた顔をしてた奴」

「クライムを悪く言うな!」


 言ってメイルは後悔した。レネがニヤニヤ笑っていて、一気に耳から首まで真っ赤になる。顔から湯気が出そうだった。


「丁度いいじゃねぇか。そいつがいない間に、お前がお前なりに変わればいいんだ。白髪の真似事とか大人になるとかじゃなくてよ。それで見返してやるのさ。どうだ! もう昔の俺だと思うなって!」

「それはレネの話でしょ! みんながみんが、そう単純じゃないんだよ!」

「うっせー! 難しく考えるからお前はつまずいてんじゃねーか!」

「レネが上手く出来てそうなのが、ボクには不思議だよ! この単純馬鹿!」

「何だとこのマセガキ!」

「頭でっかちぃ!」

「へそ曲がりぃ!」


 話が一段落したマキノ達が振りかえると、二人の子供は塀の上で乱闘している最中だった。髪の毛を引っ張ったり顔を引っ掻いたり、まるで仔犬の喧嘩だ。メイルも人間の子供くらい捻り殺してしまう程の腕力があったが、落ちない様に踏ん張っているせいか互角の勝負になっている。


 当然レネは女の子相手に手加減するような子供ではない。

 格好付けるのも大人ぶるのも、当の昔に吹っ飛んだ。


 どっちが勝つか賭けませんかとマキノとアレクが財布の中身を確認している傍ら、アデーレは無言で抱えていた荷物を振りかぶった。それがメイルの鼻先を掠め、レネの顔面を直撃する。白目を剥いたレネがもんどり返って塀の向こうに落ちた。


「おい、これはどっちの勝ちだ」

「当然メイルさんの勝ちでしょう。アレク、三百です」

「馬鹿言え引き分けだろ! って財布取んな!」


 塀の下からレネは出てこない。メイルは完全に熱が退いてガタガタ震えていた。アデーレが連れた馬車馬の頭の上でフィンが溜息をつく。馬だけが、何も興味がなさそうにパタパタと耳を動かしていた。


「この馬鹿息子が。誰に地べたを舐めさせるって?」

「聞こえてたのかよ、俺らと話しながら。地獄耳だなババア」

「しかし二人共すっかり仲良しですね。メイルさんも少しは元気になったじゃないですか」

「いいからさっさと支度しな。出発だよ」


 四人に見送られ、馬車は少し揺れながらフレイネストを後にした。その上ではレネが短い手足で必死に母親を殴ろうとして、アデーレが片手でその頭を押さえつけている。仲の良い親子だった。


 一瞬レネが振り返ると、メイルに向かってあっかんべーする。ムカついてメイルも負けじとべっと舌を出した。マキノが手を振る傍ら、メイルは二人の後ろ姿を見ながら溜息をつき、そういえば、と思い出したようにもう一度呟いた。


「……大人って、結局なんなんだろう」



***



 人通りから程良く離れた街角で、マキノは手紙を丸めて小さな筒に押し込んだ。そして抜け落ちない様に慎重に紐で封をする。その隣ではメイルが大きな鷲に恐る恐る肉を与えていた。


「それで、結局俺達の処分は」


 街に植えられた大きな樹に寄りかかりながら、機嫌が悪そうにアレクが尋ねた。


「大丈夫、不問です。街からは問題なく出れますし、これから先も特に注意を受ける事もないでしょう」

「お疲れさん。粘ったかいはあったね。と言うか向こうも、可哀そうにね」


 皮肉気にフィンが言う。実際この忙しい時に、マキノはあらゆる汚い手を使って散々スローンを手こずらせた。通りがかりの役人に嘘を吹き込み、自分を見張る兵隊を買収し、やってきた尋問官を逆に魔法で脅迫した。


「傷は」


 またアレクが問う。


 アレク、メイル、フィンの三人はこの十数日間、極力宿から出ずに傷の治療に専念した。瀕死だったアレクは特に一日の大半を寝て過ごし、夜に熱にうなされてはメイルが親身に介護した。だが瀕死だったのはマキノも同じ。むしろマキノが一番深手だったはずなのだ。ところが。


「それも大丈夫です。ほら、この通り」


 そう言ってマキノは笑って手を振って見せる。そして何事も無かったように骨まで齧る鷲の胸に、御手製の文を括りつけた。


 確か、マキノは得体の知れない魔法で両腕を潰してしまっていた。

 魔物の一撃をもろに食らって倒れたのも確かに見た。

 その後、休みも無く何日も城で尋問を受けていた筈だ。


 思わずフィンが聞いてみる。


「マキノってさ。本当に人間なの? 普通なら死ぬって。普通なら」

「失敬な、私だって危なかったんですから。でもまあ、私はいつも本番に弱い質ですから、十は保険をかけておかないと落ち着きませんし。今回はそれが役に立ったって事ですかね」

「本番に弱い、ね。良く言うよ」


 マキノは軽く鷲を撫でた。丁度鷲も肉を骨まで平らげて、一度羽ばたきマキノの腕に留まった。そしてバッと翼を広げると、仰々しく首を伸ばして一気に飛び立った。あっという間に空の向こうに消えていく鷲を、四人は黙って見守った。


 羽が一枚、ふわりと地面に落ちる。

 街のざわめきが耳に戻ってきた。


「あいつの行き先は?」

「早ければ明日にでも、ウィルの所に着くでしょうね」

「ウィル? 山猫の金髪騎士のかい?」

「フェルディアに入ってから、やたら誰かと連絡を取ってると思ったら、あいつかよ」


 そう言ってアレクはとんとんと剣の柄を叩いた。


 山猫騎士団のウィリアム。懐かしい名前だった。


 泥臭い山猫の中で、ウィルは一人輝いていた。金色の髪に青い瞳。正直者で人懐っこい男だった。そしてアレクの印象に残っているのは彼の長剣。黄金の光を放ち岩のドラゴンの背中を叩き割った魔剣、アルカシア。


 祭りが終わった次の朝には騎士団は分かれ、互いに詳しい素情を話す事もしなかった。別れ際の話によれば、ジーギル達十二人はグラムへ帰り、ウィルは仲間の連絡を受けてここ、フェルディアにいるはずだ。


「残念ながら、ウィルの話とフレイネストの話に矛盾はありませんね。この国は今、私達が体験した通りの体制です」


 マキノは懐から幾つかの手紙を取り出す。全て鳥文を通じてウィルから届いたものだった。ここ最近の成果という事らしい。


「転んでもただでは起きないって言うか。頼もしいよ、全くね」

「じゃあマキノ、報告を」


 マキノは肩をすくめて話を進める。


「魔物に対応せず、ひたすら隣国との来るべき戦争に備えている。これはスローンさんの言った通り、国王の方針と中央議会の決定に基づくものらしいですね」

「王が馬鹿なのはいいとして、なんだよその中央議会ってのは」

「フェルディアの国政のほぼ全てを任された制度です。現在議員は総勢七十二名。恐ろしい事にその半数以上が保守派、つまり統一戦争推進派なんです。その結果が、これです」


 最後まで言わなくても全員が分かっていた。ここではあのスローンの暴言も、そう珍しい事ではないのだ。


「北の国は、既に抑えた。ヴォルフをそう考えていたって、クライムは言っていたね」

「こうして状況を整理してみると、ただの夢だと笑い飛ばせません。今のフェルディア王国の動きは、ヴォルフにとって都合が良過ぎます」

「それはこの国の馬鹿共が揃って馬鹿だからだろ」

「しかし七十二人も馬鹿が揃いますか? 話を整理しましょう。今後の方針についても、今のうちに話しておきたいですし」


 軽く咳払いする。

 自然と四人は近づいた。

 話に参加せず、鷲の羽をいじっていたメイルもそれに加わる。


「ウィリアム・アデライドはもともと統一戦争反対派主軸、トライバル議員の食客でした。議員の依頼もあって、彼は以前からフェルディアを中心に増え続ける魔物の動きを追っていたそうです。そこに追い打ちをかけるように南部で岩のドラゴンが出現し、彼は国を飛び出し、そして、私達と出会った」


 雨の降るフェイルノートの村、そこへ話は繋がった。ジーギル達も似たような経歴なのだろうと、自然と皆が予想した。


「国に戻った後も、彼はドラゴン討伐に最後までフェルディアが腰を上げなかった事が気に掛かっていたそうです。そして調べてみればドラゴンに限らず、軍は魔物の被害を故意に増やしているとしか思えない動きをしていた。真っ先に疑ったのは敵対中の隣国、グラムやヴェランダールの工作です。しかしドラゴンの正体を考えれば、話は大きく変わる」


 ウィルも間近でドラゴンの指輪を見た者の一人だ。魔族の話こそ聞いていなくとも、指輪の主が人間でない事は十二分に感じ取っていたはずだ。


「そこで私がレイさんの事を話しました」

「話したのかよ、お前も案外口が軽いな」

「私はこれでもウィルを買ってます。ともあれ、そこで話はこう変わります。軍の動きを故意に魔物から逸らしている何者かは隣国ではなく」

「ヴォルフの息のかかった者ではないか」


 フィンがそれを引き継いだ。


「話を戻そうか。今後の僕らの方針についてだよ」

「岩のドラゴンが落とされた後あのヴォルフが何を計画しているにせよ、事の中心はフェルディアでまず間違いありません。本当はこのまま皆で首都に潜入する予定でした。厄介なのは統一戦争が元々中央議会の方針だった事です。裏に何がいるにしても、問題の主眼はあくまでこの国そのもの。内部から探りを入れる必要がある。本来は私がそれをすべきだったんですが……」

「あの馬鹿がまた馬鹿をやらかした」

「そこで二手に分かれます」


 マキノは全員を見渡した。


「クライムさんを放ってはおけません。足の速い私とアレクで追います。その間にフィンさんとメイルさんには予定通りフェルディアの首都、ティグールに潜入して貰い、ウィルの仲間と合流して内部を洗って欲しいのです」


 メイルはきょとんとした顔で、思い出したかのように二三度瞬きをした。

 これから、更に別れる? ティグールにいるウィルの仲間とは誰だ?

 いや、それよりなにより。


「……ボクが、潜入?」


 何を言われたか分からないと言う顔だった。

 マキノはメイルを真っ直ぐ見つめて話を続ける。


「実を言えば、私自身がティグールに赴くのは最初から問題があったんです。あそこには元々、王宮に大規模な工房を持っている魔法使いが多いですから。私が近づくと、その……」

「感づかれる? そんな奴いるのかい?」

「冬の魔法使いだ」


 アレクが憎々しげに言った。


「前にも聞いた事がある。確かお前の天敵だったな。一体何があった?」

「それはまたの話にしましょう。メイルさんも名前くらいは知っているでしょう?」

「……現行最強の魔法使いだ。もう三十年も前からフェルディア王のお抱えで、戦地にも相当顔を出している。たった一人でルベリア軍を返り討ちにしたって噂だ」

「そんな奴の懐に異端の魔術師である私がのこのこ顔を出すのは厳しいんです。だから万が一の時はメイルさんに代わりを頼もうかと思っていたんですが、思ったより数段前倒しになりました」


 メイルにはまだ分からなかった。自分はただの足手纏いだ。そうレネと話していたばかりなのに、マキノは随分前から自分の代わりを任せようかと考えていたと言う。それが出来ると思っていたのだと。


「フィンさんがいれば危険は無いと思いますが、今のティグールは恐らく蛇の巣穴と同じです。誰が敵に回るか分からない。ですからもし無理なようなら、潜入は私とフィンさん、捜索はアレクとメイルさんでと言う事になります。ですが」

「やる」


 考えるよりも先にメイルは答えた。マキノもフィンも少し不意を突かれ、アレクはフンと鼻息を上げた。


「やるよ、ボクがやる」


 マキノは、メイルが方針を決めるのに少し時間がかかると思っていた。クライムの捜索に行きたいと言い出し、そして最悪の場合は動けなくなったままフィンに預けるだけになると。じっとその目を伺った。そこにアレクが一言かける。


「マキノ、大丈夫だ。やらせてみろ」


 マキノの心に不安は残る。だがアレクはメイルを一目見てそう判断したようだ。その言葉でマキノの決意も固まった。


「ではお願いします。苦労をかけるようで申し訳ないですね」

「大丈夫。やってみせるよ」


 マキノは微笑んで手を伸ばす。また頭を撫でられるかとメイルは思ったが、その手は力強く、メイルの肩に乗せられた。


 マキノはそのまま詳しい作戦内容を伝える。それにメイルは最初不思議そうな顔をしていたが、最後にはあんぐり口を開けて驚愕した。一体どんな無理難題を吹っかけられたのか。マキノは準備は出来ていますとばかりに、懐から何か取り出してメイルに渡す。


 黙って二人の様子を見守るアレクの頭に、いつも通り無遠慮にフィンが飛び乗った。


「これでしばらくお別れになるね。その汗臭い顔ともおさらばだと考えると感慨深いよ」

「言ってろ。俺としては代わって欲しいくらいだ。何が悲しくて野郎なんざ探しに」

「それは僕だって同じさ。追い付いた時に、今度はどんな面倒事に首を突っ込んでるかと思うとね」

「あの馬鹿を一人にしたらいつも手に負えなくなるからな。今回ばかりはその前に捕まえてやる」


 それを聞いて。

 ははっ、とフィンは乾いた笑いをこぼした。


「クライムがいつも通りなら、多分、もう手遅れだ」



***



 巨人は三日三晩、僕を乗せて走った。

 昼も夜も、ひたすら巨人は走り続けた。


 巨人の瞳に宿る鈍い光が闇を切り裂く。疲れを知らない巨人は、ただの一度も休まなかった。飲まず食わず、僕は寝る事も忘れてそれにひたすらしがみ付く。


 辺りの地形が目まぐるしく変わり、どこへ向かっているかも分からず僕らは風を切る。辺りを確認するごとに段々と人の気配は無くなり、土地は荒れ、空気は淀んでいった。


 それは目的地が近い事を否応なく僕に知らしめる。心臓が高鳴った。興奮からか、不安からか、自分でも分からなかった。


 そして、もう幾つ目になるかも分からない山を越えた時、それは見えた。見えた事が恐ろしかった。だって封印されている筈なんだ。そこに閉じ込められた怪物達はこの五百年出れずに押し込められていた筈なのに。


 それは、まるで山のような建物だった。

 見上げるほど大きな山から削り出した、とてつもなく巨大な城だった。


 黒光りする鉄の城門。戦争の傷跡が付いた堅固な城壁。遠くからも感じる音で無い音が、絶えず大気を震わせていた。


 辺り一帯には岩と灰だらけの荒野が延々と広がっていて、巨人はそこに降り立つと速度を緩めた。昔の戦争で何があったのか、荒野にはひしゃげた鎧や、人の背丈よりも大きな魔物の肋骨が至る所に転がっていた。


 近づくごとにその圧倒的な大きさを思い知らされる。これは城と言うよりも、一つの街のようだ。一個の城の形をしているのは、ねじ曲がった多くの建物が複雑に重なり合って出来た城下町だ。


 そして城はまるで夜の街のようにあちこちで火が灯っていた。誰かが、何かが火を焚いている。まるで城自体が巨大な製鉄所であるかのように、真っ黒な煙を吹き続け、本来は青かったであろう空までも漆黒に塗り潰していた。


 もう何かが目覚めている。

 無数の魔物が、封印が解けるのを今か今かと待っているんだ。


 遂に正門まで辿りつき、ようやく巨人の足が止まる。見上げれば普通の城壁と同じ高さまで門が広がり、この城の城壁はその遥か上まで続いている。もう何が何だか分からなかった。この門に似合うだけの巨大な何かが城の中にいるって言うのは、余り考えたくない。


 ぎしっと、鉄が軋む耳触りな音がした。


 続いて固い歯車や太い鎖が動く重々しい音がして、徐々に門は開かれる。その僅かな隙間から、空気が一気に吹き込んで急に辺りが寒くなった。古びた鉄の中を冬の風が通るような音、それは火を吐く直前に竜が風を吸い込む音に良く似ていた。


 低い音を立てて分厚い城門が開き切る。僕には、姿も見えない怪物が僕を飲み込もうと口を開けた様に見えた。入って来いと。体が、少し震える。


 しばらく、それを茫然と見ていた。

 巨人は相変わらずそこを動かない。

 僕はその肩から下りた。

 恐る恐る二、三歩近づく。

 鉄の混じった灰褐色の土を踏む感触が、妙に僕に現実を突きつけた。


 賭けには勝った。

 発見不可能なはずのヴォルフの黒の城を、とうとう見つけた。


 でも、見つけてしまったと言う思いもある。目の前に広がる城の奥へと続く道が、地獄への道に見えて仕方が無い。何かの苦悶の叫びが聞こえる。夢の中で感じた、身を斬る様な冷たさを感じる。怖かった。今すぐこんな所から逃げ出したかった。


 この中にいる怪物達が、後ろに控える巨人同様、僕を見逃してくれる可能性はどれだけ残っている。

 フェルディア軍を圧倒した何万と言う軍隊の中をどうやって通り抜ける。

 星食らいの狼はまさかまだここにいるのか。

 国を覆った程の蟲の大群は、今もこの城に巣食っているのか。

 大体、僕はこんな所に、一体何をしに来たって言うんだ。


 一体、何をしに。


「はっ」


 そんなの、決まってる。今度こそ、あの我儘で嘘つきで自分勝手なお姫様を引きずり出すためだ。マキノに取り敢えず謝らせて、フィンとは思う存分喧嘩してもらって、メイルとも気の済むまで一緒にいてもらって、アレクに一発殴られてもらうためだ。


 そうだ、ここまで来たんだ。今更引き返すなんて出来ない。


 腕をぎゅっと掴んで、自分に自分を思い出させる。

 暗闇はどこまでも深く伸びていて、僕はその奥からたった一人を見つけ出す。


 レイめ。待ってろ。

 今度こそ追い詰めてやる。



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