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未練  作者: 木田悠花
1章 抱える想い
4/12

自分のいる場所①

あの、夢のような試合を終えてから1ヶ月たった。

チームメイトはみんな、試合の悔しさからは解放されたらしい。

前までは笑いも少なくなっていたが、今では廊下ではしゃいで生徒指導の先生に怒られる奴もいる。

朋輝も、昼休みはバスケで遊んでいるみたいだし大丈夫だろう。

あとは俺だけ。俺だけがまだあの試合のことを引きずっている。

みんなに昼休みを誘われても断っている。ボールに触るのも今は遠慮している。

アホみたいだけど、どうしても思い出してしまう。自分のせいで負けたのだと。

前にボールを持ったとき、頭の中に「お前のせいで」と頭の中でみんなにせめられる映像が

浮かんでくる。みんなももう大丈夫になったし、俺がバスケをかかわる意味はないと最近思えてきた。

だから少し静かにしてほしいんだが、必ず昼になると『キーンコーンカーンコーン』と

チャイムとともに


「おーい、バスケやろうぜ悠花~」

こうやって朋輝と何人かのチームメイト他のクラスにも関わらず俺のクラスに来る。

だから毎日

「すまん勉強する」「えー最近ノリ悪いな~」「わり。」「ういーす」

と同じような会話を交わしている。正直メンドクサイ。もうやめたんだからいいだろうと思う。

だけど、今日はいつもと違い、朋輝が最後に「誰も気にしてない」とささやいてきた。

ほんとうにメンドクサイ。俺はあいつのことをなんでも知ってるがアイツは知らない。

そう思っていた。思っていただけだが・・・やっぱ小学校からの付き合いだとばれるな。


「馬鹿だねホント。いい加減わかればいいのに。 

 あの試合のこと、気にしすぎなのよ」

「ずいぶん、バッサリ言うよなお前さん」

「ネチネチ言ってほしいの?」

「とても遠慮する」

こいつは、本当にいいやつなんだか、悪いやつなんだかわからない。

それでも、今回のように俺の体のことを唯一俺が言った相手だ。

まあ、俺が朋輝のほかに信頼してる人である。

しかし俺もバカだ。こんなに人のことをいじめる人間にベラベラものを話すんだから。


「まあ、私にはわかんないけどね。そもそも体育系じゃないし」

「妃奈が先輩だったら俺はその部活を即辞めるだろう」

「なにそれヒドイ!」

「笑いながら泣きそうな声でしゃべるな!ややこしい」


まったく人を食ったような性格だ。

きっと腹は真っ黒だろう。黒人もびっくり、レントゲンを見たら医者に「・・・脂肪ですかね?この黒いの・・・少しやせたほうがいいのでは?」

と云われるくらい腹の中までまっくらだろう。


「悠花、最低なこと考えてるでしょ」

「べっつに~」

「腹立つね。きっとあんたの腹は真っ黒よ。中まで真っ黒ね。」


グハッ・・('д`)同じことを考えるとは・・・俺もいじめる人間の仲間になってしまう。

これでは、優しい先輩二年連続バスケ部一位の座が!まあ、いらないけどね。


「たまには朋輝と遊んでやりなさいよ。いくらバスケしたくないからって

 朋輝のことをさけるのはやめなさい。」


はあ、本当に痛い所をつくよこの御嬢さんは。

それでも俺がバスケをやらないと云ったら朋輝の悲しい顔が浮かぶ。

それはそれで面白い気がしないでもないけど、さすがに親友は傷つけられないでしょ。


「落ち着いたらそれなりにいじめとくよ。 

 立ち直ったばっかの人間になんて、泣きっ面に蜂だろ」

「そうだけど・・・」

「朋輝にはお前からなんかいってといてくれ。彼女だろ?」

「う、うるさい!」


おーおー顔がみるみる赤くなるねえ。

しかし、こいつは俺を攻撃すつなんて無理!

それは俺が仲をもってやったという偉業があるから。朋輝がOKを云うとは俺も予想外だったけどね!

実は前から好きだったらしいけど、面白いから何も言ってないぞ~


「おい木田!バスケ部の監督よんでるぞ!」

「ん?おお今行く。」

「いってらー」

「うい~」


監督?田島先生か?いったい引退した人間になにをいう気なんだ。

説教とかやめてくれよ。中学三年間で一度も説教受けなかったで賞を

自分で作って自分に渡すという悲しいことをしようと考えてたんだから。


「おー、木田。元気だったか?」

「はい。部活辞めてから太った以外は。」

「そうか、それぐらいなら普通だ。先生なんか・・・」


それから、どうでもいい話を数分していると、先生が「あ!」と思い出して

「すまんすまん、今日はお願いできたんだよ。」

「お願いですか?タバコなら買えませんよ。」

「いいよ、ちゃんと上着のポケットにあるから。」

あんのかい!やめろよタバコ!子供生まれたばっかだろ!


「実はな、バスケ部の顧問が2人ってことで大変なんだ。わかるだろ?な!」

「はあ、まあ田島先生は全体見なきゃだめだし、伊藤先生は男子しか見ないし。」

「そう!だからさ、お前に臨時コーチやってほしんだよ。」

「・・・コーチ?えっとコーチ?」

「だから、コーチだって!」


コーチ!?教えるの?俺が!男子の後輩にはよく教えてたけど

話の流れ的にたぶん・・・それに俺は今バスケをしたくないし・・・


「一応聞きますけど、どっちを見るんですか?」

「女子にきまってるだろ。」


やっぱりだぁ!無理だよ!会話したことないよ後輩の女子となんて!

無理だって、ありえねええええええええええええええ


「校長には了承もらってるし、お前の家は放任主義だから大丈夫だろ。

 じゃ、今週の土曜からよろしく。」

「え?ちょ・・・行っちゃった。」


頭がまぶしいよ~田島先生~

じゃなくて!拒否したいけどもう授業始まるし、それに確か今日は田島先生、出張でいなくなる。


「しょうがない。明日言っておこう。」

「明日はもう土曜日だよ」

「マジで?妃奈様」

「マジマジ」

「ってか聞いてたの?」

「もちろん」

「あー、はい」


もうなんかどうでもいいや。とりあえず明日は休もう。

そうすれば田島先生も諦めるだろう。


「ねえ悠花、これ」


妃奈に渡されたメモには「天才田島より」と書いてある。


「なあ、嫌な予感がするんは俺だけか?」

「むしろ私てきには面白い予感」

「ホントひでーなお前」

「褒め言葉、ありがとう」


あーもうやだ。とりあえずメモを見ると

『拝啓、悠花くん。明日休んだら、部活評価・生活評価その他もろもろさげちゃうぞ。』

逃げ道はどこにもなかった。


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