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生徒会と愉快な仲間たち  作者:
余興その4:生徒会IFカップリング
37/44

零×鈴奈

さぁ、今回の余興はIFカップリング…つまり、生徒会のキャラたちにイチャコラさせます。作者であるこの私が非公式に書いた、二次創作的カップリング小説です。

…もちろん、本編とは何ら関係ございません!ご注意を!!


最初の犠牲者は、幼馴染組こと零&鈴奈。

ツン鈴奈にメロメロな零の話と、デレ鈴奈が零に甘える(?)話の2本立てでお送りいたします。

「キライだよ、零なんて」

 じっとりと恨みがましく、たっぷりと涙なんて蓄えながら、その茶色い瞳は俺を見つめる。

 嫌いだなんて、そんな言葉嘘って知ってる。だってそんなにも物欲しそうな、真っ赤に上気した顔で言われたって、まったく説得力ないんだから。

 普段は覇気がない、時に聡明な光を放つ綺麗な瞳。けれどもきっと、誰も知らない。彼女の瞳がこんなにも隠しようのない、激しい感情を宿らせることがあるなんて……唯一そんなことができる自分に、俺は内心で打ち震えていた。

「鈴奈」

 名を呼べば、びくりと跳ねる肩。幼い頃からよく知っている、けれど確かにたおやかな成長を遂げている、その女性らしく細い身体を抱き寄せた。抵抗しようと力の限りもがくのを無理矢理押さえつけ(悲しいかな、年頃の男女の差とはこんなものだ)、ありったけの想いを込めて抱きこむ。

「好きだよ」

 怠慢であまのじゃくで、素直じゃない君のことが。

 自分でも何となくわかる表情――幸福に満ちた、穏やかな笑みを浮かべながら耳元で囁けば、腕の中の可愛い存在は、急に恥ずかしくなったのか石のように固まってしまった。

 どんどんと熱くなっていく体温が、布越しに伝わる。それさえも愛おしく思えてしまう、なんて言ったら、きっと彼女はいつものように『馬鹿じゃないの』と嫌そうに顔をしかめるのだろう。まぁそれも、可愛いけど。

 やがて腕の中ですっかり静かになった鈴奈は、擦り寄るようにしてその頭を俺の胸に寄せてきて……聞こえるか聞こえないかほどの声で、小さく「ばーか」と悪態を吐いた。


    ◆◆◆


「零」

 ずっと呼んでいるその名を紡げば、彼はひどく優しい顔で振り向いた。胸の高鳴りを知られたくなくて、思わず顔を背ける。ときめいてしまっただなんて、口が裂けても言えるわけない。

 幼い頃から互いを知っている。だからこそ、素直に胸の内をさらけ出すことは、なかなかできることではないのだ。

「なぁに、鈴ちゃん?」

 その冗談交じりに自分を呼び返してくる声も。

「……鈴ちゃんって呼ぶなって言ってるでしょ」

「ふふ、それはすまないね」

 勝ち誇ったように、厭味ったらしく笑うその顔も。

「どうしたのさ」

「別に、何でもないわよ」

「だって、何か言いたげにしているから」

 なまじ付き合いが長いからなのか、そういうことに関してこの男はひどく聡い。彼いわく、わたしは分かりやすいのだそうだ。……とても、癪だけど。

「鈴奈」

 既に知り尽くした、わたしが好きなトーンの声で、わたしが一番気に入っている呼び方をする。他の、例えば生徒会で一緒の友人二人も同じ呼び方をするのに、これほどまでに違って聞こえるのは何でなんだろう。

 こんなにも、愛おしそうなオーラが出ているからなのか。

「……っ」

 ドキドキとうるさい胸を押さえて、唇を噛む。

 何も言わないわたしを心配したのか、零は眉を下げながらわたしの顔を覗き込んできた。

 こういう時に、何でなおも近づいて来ようとするんだこいつは。空気を読めこのバカ、と心の中で散々悪態を吐く。

 何でこんな奴のことを、わたしはたまらなく好きだと思うのだろう。……そう考えたら、もうキリなんてないんだけど。

 悔しくなって、近すぎる距離にある顔同士を近づける。唇を触れ合わせれば、戸惑ったような吐息が伝わってきた。

「構いなさいよ、零」

 顔を離し、言い放ってやる。正直今の自分がどんな顔をしているのか、意地でも確認したくない。零の瞳にうっすら映って見えるけど、気付かない振りだ。

 零はびっくりしたように目を見開いたあと……いつものように厭味ったらしく、ニヤリと笑った。

「仰せのままに、レディ」

 ……反吐が出るほどクサい台詞だって、本当はわたしだけに言って欲しくてたまらないものだったなんて、絶対言ってやらないんだから。

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