7.校内侵入 (2)
新館2階から旧館西階段に向かった子供達は、階段で待ち構えていた大人達に捕まった。
「はい、ごくろーさん」
「くっそー。良いとこまで来たのに」
「そうだな、一番時計台の近くに来たのはお前等だ」
と話しているところで、1階から絹を引き裂く様な少女の悲鳴が聞こえた。
「おい、1階に行くぞ」
大人達は捕まえた子供達を連れて1階に下りて行った。
教室を出たケイトとシャーリーは、隣の教室に移動しようと廊下に出た。すると背後から何か物音がした。小心者のシャーリーは震えあがった。
「な、何?」
「何かあった?シャーリー?」
「も、物音が…」
恐がっているシャーリーの気を鎮めるには、物音の正体を確認するしかないか、とケイトはライトを弱くして点けた。小さく左右に振ったライトの光に対し、地面に何か影が映った。
眉を顰めたケイトは、その影にもう一度光を当てた。小さい二つのものがキラリと光った。
「キャア~~~!!!」
シャーリーは思いっきり大きな声で悲鳴を上げて、ケイトにしがみ付いた。
(あちゃ~)
とケイトは思ったが、もう遅かった。その物体は「チュッ」と声を上げて去って行った。
そこに正面玄関での攻防を終えたサム達と彼等を捕まえた大人達、2階から下りて来た大人と子供、更に職員室から教師達も駆けつけた。
「どうした!」
大人達の問いかけに、ケイトは答えた。
「ネズミがいて、ライトを当てたら目が光ったんです。それで、恐がっちゃって…」
大人達はホッと安堵の息を吐いた。
「何もないなら良かった。でも、ここでゲームセットだな」
「そうですね…」
シャーリーは泣きじゃくりながら何度もケイトに謝った。
「ごめんね、ごめんね」
「良いよ。今晩は頑張ってくれたから、楽しかったよ」
中々泣き止まないシャーリーの前髪を両手で押し退けて、ケイトはシャーリーのおでこにキスをした。
更に上の階からも大人達が駆けつけた。
「どうしました!?」
「いや、ネズミに驚いただけです」
「そうですか…何もなくて良かった」
上の階からも足音が下りて行ったのを聞いたジムは決断した。
「上の大人達も下りて行った様だ。ここで階段を上がるしかない!」
「でも、悲鳴が上がったんだよ?」
「大人達が向かったから、俺達に出来る事はないだろ。薄情かもしれないけど、ここで上がるしかない」
「そうだね。暗幕はどうする?」
「ここに置いて急ごう。後で取りに来れば良い」
「そうだね」
ジムは私の手を引いて廊下を走った。そしてそのまま音を立てるのも気にせずに旧館の西階段を駆け上った。




