4.校庭侵入 (2)
一方、北門は駐車場が近くにあり、22時頃に教師が皆帰るまでは門が大きく開かれていた。北門の右側と左側に別々の子供達がくっついて、校内の大人達の動向を見ていた。
「いないっぽいぞ、さっさと行こう」
「おう」
男の子達が入って行くのを見て、逆側にくっついていた女の子達も校内に入って行った。
それを見て、ダリルとニックも門の右側にくっついた。
「見てろ、あいつら必ず大人達に捕まるから、その隙に校舎の西側に向かうぞ」
「物音を良く聞きながら進むんだぞ、ダリル」
「分かってるよ!」
その二人を1ブロック向こうの壁に隠れてケイトが見ていた。シャーリーはケイトの影に隠れていた。
「ダリルとニックは詰めが甘いから、必ず大人に捕まるよ。その隙に進むからね」
「うん、分かった」
こういうイベントでは、運動能力も高く度胸もあるケイトにシャーリーが自然と従う形になっていた。
さて、最初に侵入した男の子達は来客・教師用の玄関に向かったが、扉を開けたところでいくつものライトに照らされた。
「うわっ」
「逃げろ!」
男の子達は急いで引き返そうとしたが、校舎近くに植えてある低木の影に隠れていた大人達に囲まれ捕まった。
「はい、お疲れ」
「ちくしょ~!!」
同時に侵入した女の子達は東非常階段に向かったが、当然そちらも大人達が見張っていたから、階段に取り付く前に捕まった。
「行くぞ!」
「おうっ!」
ダリルとニックは北門から中に入り、校舎裏を西側に進んで行った。
続いて校門に取り付いたケイトは、玄関付近の大人達の動きを見ていたが、とりあえず捕まえた子供達を校内に連れて行く様に見える。
「今が手薄よ。入るわ」
「うん」
背の高い女の子と低い女の子が並んで校舎裏を進んで行った。
ダリルとニックは校舎裏をかがみながら小走りに進んで行った。続いてケイトとシャーリーは距離を置きながら木陰に身を隠しながら進んだ。小走りに進むダリルとニックは何やかやと言って焦りがあり、少し足音を立てていた。
(この辺が詰めの甘さよね)
ケイトは冷静に男の子達を見守りながら進んだ。シャーリーは元々小心者だから、隠れながら進むのは彼女の気質に合っていた。
ダリルとニックは前ばかり気にしていたから、旧館の西側に増築された新館に回り込んだ後に何かが後を付けて来るのに気付かなかった。一方、後ろから付いていったケイトには見えた。だからシャーリーに小声で告げた。
「少し距離を開けるよ」
「うん」
小走りに進むダリルとニックは、西校舎の南端の南非常階段に近づこうとしたが、その時、前後からライトで照らされた。
「はい、ご苦労さん」
「ちくしょー」
そう言いながらダリルはニックに目くばせした。こうなったらどうするか、二人は決めておいたんだ。
ダリルは走りだして、ニックはその後ろに付いて行った。ライトを持つ大人の中で先頭に立っている大人に向かって行き、直前で右に躱そうとした。その右側では手を地面に着いてしゃがんでいた大人がいて、手をそのままで腰を上げた。ダリルはそこに突っ込んでいき、タックルでひっくり返そうとしたが、相手も腰を低くしていた為に受け止められた。
そこでダリルは言った。
「行け!」
それを聞いたニックはダリルの横を抜けて低姿勢で突っ込んだが、やはりそこにも低姿勢で構えていた大人が待っていた。大人に受け止められたニックは、タックルを受けてひっくり返された。
「くそっ!」
「サイドアタックとは気の利いた作戦だが、当たりが弱いぞ?」
そう言われてニックは答えた。
「俺はサッカー選手を目指すから当たりは弱くて良いんだよ!」
それを聞いた大人は寂しい顔をした。
「サッカーも良いけど、ラグビーも良いぞ?」
そもそもタックルやらサイドアタックをやっている段階でダリルもニックもラグビー好きに見えるのだけれど。
そんな騒ぎを横目に、ケイトとシャーリーは音もなく南非常階段の出入口から校舎内に忍び込んだ。
イングランドですから→ラグビーネタ




