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3.校庭侵入 (1)

 阿鼻叫喚の東正門ルートの子供達を尻目に、私達は南の道を進んでいた。

「何か北の方が騒がしいね」

「そりゃ、大人達に見つかった間抜け達がいるんだろ」

「間抜けって言うより、運が悪かったんじゃない?」

「まあ、運が最後に効いてくるとは思うけど、運を引き付けるのは日頃の練習とか注意深さだろ」

「そう言えば、サッカーの練習で疲れてないの?」

「クリスマス休暇中に練習なんかしないぞ。コーチ達がまず休みたがるからな」

「…サッカーの練習ってさ、大変じゃない?」

「大変だけどさ、出来ない事を少しずつ出来る様に練習する、それを続けないと試合に出れないだろ」

「ジムはさ、プロとか目指しているの?」

「とりあえずクラブで試合に出れないとな。それで年上のチームに移って、また試合に出られる様に練習する。それの積み重ねで行けるところまで行く、それ以外考えてないよ」


 ジムがサッカーの練習に行く様になってから、一緒にいる時間も話す時間も無くなっていた。だからこうして手を繋いで歩きながら話が出来るだけで、私は嬉しかった。今晩は風が弱いから、空気は冷たいけれどそこまで肌が冷えるという事もなかった。


「このまま南側を進むの?」

「ああ。校庭の南に近づくと、そっちの金網をよじ登って校庭に入ろうとする連中が見つかった時に巻き添えを喰らうから、少し遠回りして西に向かった方が良いんだ」

「遅くなっちゃうね」

「急がば回れさ」


 その頃、やはり少し南周りで東の正門に辿り着いた子供達がいた。

「アル、もうちょっと待った方が良いのか?」

「ああ。下手打って捕まる奴がいるから、そいつらに正門側の大人達が気を取られている内に校庭の木陰に隠れるんだ」

「面倒な事考えるよな、アルは」

「エドは考え無しだからな、黙ってついて来いよ」

「ちょっとは考えてるよ」

「考えてないからいつもしくじるんだろ」

「今晩は大人しくしてろよ」

「…二人して文句言わないでよ…」

サム、アルの二人の間で、小柄で気の弱いエドはおまけの様について回っていた。周囲からはパシリと見られている様だ。


 その東正門の門扉をずらして入り込もうとする子供達がいた。学校の敷地内に入り込むと、きょろきょろと周囲を見渡した。

「行こうぜ」

まだ門から中に入っていない子供に声をかけ、その子は外壁沿いに校舎に近づいて行った。

「はーい、お疲れ」

大人達がライトを点けて子供達の周囲に群がった。

「逃げろ!」

二人の子供は校庭の真ん中に向かって逃げて行った。


 それを見ていた三人組は続いて校内に入った。

「外壁を南に進むぞ」

エドが尋ねた。

「何でさ?今の内に校舎に近づいた方が良いんじゃない?」

「馬鹿だな、まだ校舎近くに大人達が待っているに決まっているだろ?だからまた校舎近くで捕まる連中がいたら、そことは違う方向から校舎に近づくんだ。まだまだ大人達は手ぐすね引いて待ってる筈だからな」

説明するアルにサムが続けた。

「そういう事だから、さっさと南に隠れるぞ」

「うん、分かった」

こうして三人組は校庭に侵入した。

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