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第参拾漆話 入り口

後日、大祭も迫る中協会の人目につかない多目的室に舞い手の候補となった望海達三人の姿があった。

皆、額に汗を滲ませそれを拭いながら永遠と続くこの神楽舞の動作を確認している。


「これで衣装と仮面を着けるとか正気!?ただでさえ、運び屋の仕事もあんのにその間を縫ってこの練習をするとか常識外れにも程があるでしょ!」


希輝は内心苛つきながらも、その動作を止めることはない。彼女もその理由は分かっている。

練習を重ねれば重ねる程、身体の負担が減り楽になるからだ。

その彼女の考えに後押しをするように望海も口を開いた。


「歌舞伎でもそうですが、独特の動きになれるまでは筋肉が上手く動かないのは当たり前です。それによって身体のバランスが不安定になって苦しい思いをする。身体に馴染むまで何度も挑戦しましょう。幸い、赤い血を持つ私達なら寝る間を惜しんで練習が可能です」


すると小町はハッとした表現をし、二人に自分の考えを違えた。


「もしかして、以前の巫女さん達も皆んな赤い血を持ってたんじゃないの?いや、違う。それを条件に招集していたとしたら?家系も限られると思うし、現実的な案なのかは分からないけどあり得ない話じゃないと思うの」


「ずっと舞を踊り続けるのに適した血筋って事だよね?確かに小町の意見は当たってるかも。...って!ぎゃあああああ!お、おじいちゃんがいる!だ、誰の?」


突然、部屋に訪れた斑鳩の姿に希輝は勿論。

対面していた彼自身が驚き目を丸くしていた。

望海は申し訳無さそうに頭を何度も上げ下げし、事なきを得たようだ。


「ははっ、構わないよ。望海ちゃん以外のお嬢さんとは面識がないからね。私の名は斑鳩合蔵、燕ちゃんの大叔父と言った方が分かりやすいかな?今日は舞手である三人をとある場所に案内したくてね。迎えに来たんだ」


「とある場所って何?おじいちゃんは何を知っているの?」


「小町さん、高天原ですよ。神楽舞は指定の場所で踊らなければ意味がありません。それを叶える舞台が其処にあるんです。ようやく、その時が来たんですね」


「皆で協力して、神楽舞の準備を整えた。亘君も鏡の用意をして車内待ってもらっている。着替えた後で構わないから協会の入り口で待っているよ」


斑鳩は一度その場から離れて、言った通りの場所で待ち合わせする事を約束した。

三人は練習着からそれぞれの私服に着替え、車に乗り込み走り出すと亘の方へと視線を向けた。


「皆んな、揃ったね。今回向かう高天原なんだが恐らく洞窟であろう場所の出入り口が封鎖されているんだ。節子嬢の協力で剣の力を使い半分程瓦礫を取り除く事が出来たが完全ではない。危険な場所である事には変わらないから気をつけてほしい」


「良く、半壊するまで瓦礫を動かせましたね。そちらの方が驚きなんですが。でも、それなら旭さんや白鷹さんのように水流を使って瓦礫を退かすという事も出来たのでは?ほら、良く言うでしょう?上流の大石も下流に向かえば小石となるって」


「でも、今回は別でしょう?中に聖火があるんだから。それで、その社の場所は見つかったの?」


その質問に答えたのは斑鳩の方だった。

彼は自身の手帳を取り出し、簡易的な地図を書き皆に見せている。


「この洞窟の奥に聖火を祀る社と何も置かれていない台座を発見したんだ。苔まみれで、詳細は掴めなかったけどね。ただ、不思議な事に湿度が高い場所にも関わらず火は健在だった。間違いなくあれば聖火だと思うよ」


「うっ、そんな場所で神楽舞をするとか苦行でしかないの。でも、小町達がやらないと別の異変が起こるかもしれないって事でしょう?凄い脅されてる気分なの」


「確かに、それは否めませんよね。これまでの行動、犯人からしてみれば私達は都合の良い存在という事になりますから。でも、やれるだけのことはしましょう。これが大祭を成功に導く鍵になるのかもしれませんし」


無事に現地に到着し、瓦礫の向こう側にある洞窟へと足を進めた。其処には古めかしいものの、原型を留めている神楽舞の舞台があった周囲は湿気は勿論、苔に覆われ最初は息苦しさを覚えたが風の動きを感じると幾らか気持ちも呼吸も楽になる。


亘はそのまま真っ直ぐ専用の台座であろう場所に向かい鏡の一つを設置しその中には舞台と昔に行われたであろう神楽舞の記憶が映し出される。


「永遠の舞台という事は花紋鏡を二つ使用し、鏡合わせにしなくてはならない。それは最後に僕の方でやっておこう。この延長線上にもう一つを設置する。それで完了だ」


「なんとか当日までに舞を仕上げないとね。これで何か異変があるのかな?それとも別の問題が起きるだけ?素直に心配だな」


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