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第参拾壱話 昼間の静寂

「昼間に此処に来るのは新鮮だな。夜の賑やかさが嘘みたいだ」


白鷹の助言を受けて、大友の繁華街へと向かった隼だったが。

冷たい風が意図も容易く自分の元へ吹き抜ける程、違和感のある後継に戸惑いを隠せずにいた。

いつもなら、煌びやかな照明に包まれた看板が目を惹き。人々で賑わっている。

しかし、今はそうではない。逆にこれを利用して上手く目的の物を探す事が出来たらそれはそれで自分にとって幸運だったと思うだろう。


今、自分に出来る事をしなければと周囲の噂話に聞き耳を立て。

辺りを見渡すものの、手がかりを得られそうにない。

大友もまた人工的な区間をされており、十字路が多く近くの川を基準に数字により住所が決められている。

洛陽と同じく道が入り組んでいるため、全てを網羅するのは隼でも難しい。


地元民に協力を仰いだ方が早いと思いながらも対人能力に恵まれない彼では困難が生じていた。

自力で探すか?勇気を出して話しかけるか?そんな事を悶々と考えてると後ろから肩を叩かれた。

肩をビクッと振るわせ、後ろを振り返ると1人の少年と目が合う。

一瞬、幽霊かと思ったがニコリと微笑みを返されたのでそうではないらしい。


「こんにちは、珍しいですね。協会の運び屋さんが此処まで来られてるなんて。今、お仕事ですか?」


「いや、そうじゃなくて。なんて言えば良いのかな?物探し?これを探してるんだけど、君知らない?」


彼自身も言葉足らずなのは知っていながらも、携帯の写真を見せ協力を仰いだ。

すると、隼の手を掴み。とある場所へと誘導する。


「それならこっちこっち!僕、知ってますよ。古い立札があるって先輩達に教えてもらいました」


その言葉を聞いてホッとしたのも束の間、隼はカードの文言を思い出した。

自分は昼間の北極星を探し出す事も使命の一つだと。

確認のために、一度目の前の彼に尋ねてみる事にした。


黒いコートを着込み、所々に白いベルトが見える。

新人なのか?制服のデザインも機能的で目新しい。


「ねぇ、君が昼間の北極星なの?星について何か知らない?」


「北極星?あぁ、ポラリスの事ですか?それなら僕の事と言っても過言ではありません。お客様からも言われていますから。こぐま座の2等星をそう呼ぶんです。でもね、他にもシリウスって呼ばれている仲間もいるんですよ」


「武曲先輩や五曜先輩みたいなものか。この地域はそう言う文化が根強いのかな。やっと謎が解けた。それで、あれか俺の探していた物は。正直、地元民でも難しい課題だったな。ありがとう、手伝ってくれて」


二人は普段から人気が無さそうな路地裏に入り、無造作にそこだけ律儀に空間を開けたかのような場所に立札があるのを発見した。

隼は直ぐ様、写真を撮り。協会は勿論、周囲に連絡を入れた。


「颯先輩、大友で立札を発見しました。後で協会に報告してきます。今夜中に集まりそうですかね?神楽舞の手がかり」


「だといいけどな。皆んな、それぞれ動き出しているし。終わらせた奴も多い。後は、俺と山岸、初嶺、朝風会長、富士宮の令嬢か。なら、大丈夫だろう直ぐに見つかるはずだ」


「夜間じゃないと二人は動けませんからね。それじゃあ、後はお願いします。小町もやる事があるみたいで協会で待ち合わせをしているので言ってきます」


隼がその場から協会に移動すると、いつもの待ち合わせ場所である銀の鈴の前に小町の姿があった。

しかし、いつもの彼女らしくなく。

深刻な表情をし、俯く仕草をする。


相手の感情に乏しい隼でさえも何かあったのだろうと気にかける素振りを見せ声をかけた。


「小町、この前みたいに体調が悪いなら無理せず休んだ方が良い。仮にも俺達はバディだろう?こう言う時こそ支え合わないと」


「うん...わかってる。分かってるから今は何も言わないで。これは小町の問題だから。隼はどう思う?急に自分の素性を周囲に明かされたら。きっとビックリすると思うの」


「どうだろう?確かに最初は驚くかもしれないけど、次第にそれが当たり前になっていくと俺は思うよ。だってそうでしょう?新しい物がドンドン出てきても同じ事の繰り返しだ。それが当たり前になっていく。それで1番怖いのって自分が恵まれている事に無自覚な事じゃない?俺はそう思うけど」


「確かに隼の言う通り!大事なのはスタートじゃなくてそのあとね。小町、元気出た!最後まで油断せずに頑張るの!」


「なんのことを言っているのかは正直分からないけど、頑張って。小町なら出来るよ、期待してるから」


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