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第参拾話 美術館

「うわぁ、とても特徴的な外観ですね。藤居山にこんな場所があるなんて私、今まで知りませんでした」


1時間後、白山と浅間は待ち合わせをした後藤居山に存在するある建物へと向かった。

此処は図書館は勿論、美術館を兼ね備えた総合施設であり。

彼女の目の前には雪が降り積もった山のように繊細で美しい外観をした建造物があった。

陽が当たるとキラキラと輝き、より幻想的な見た目となる。


「山の季節移り変わりをイメージして設計されたらしいよ。雪が降り積もる岩石みたいだって、白鷹も以前言ってた。さぁ、中に入って真相を突き止めよう」


彼女に案内され、天井まで吹き抜けとなった館内を見上げる。

周囲はガラスだけで無く、木材や鏡も使用されており中に入る陽の光に反射して色鮮やかに煌めき、揺らめいている。

正に無色かつ、色鮮やかな美術館。その矛盾を叶えてくれる施設がそこにあった。


「此処なら何か得られる物があるかもしれない。ありがとうございます。案内して頂いて、どう言った作品が展示されているんですか?」


「私は学芸員じゃないから詳しく話は出来ないけど、気に入っている作品があるんだ。ガラスを花で例えた作品は圧巻だよ。彼は、船にガラスで制作したフロートが乗っかっているのが綺麗だってさ。浅間は何が好きかな?何か気にいる作品があると良いね」


館内を巡り、手がかりを追うと共に作品類を眺めていると彼女にとって印象的だと思えるような作品にであった。

それは天井にあり、まるで海の中にいるような気持ちになり。

淡い照明に照らされ、細かく見ると海洋生物であるヒトデを模したガラスアートが存在した。

作品の解説を見ると、それは勿論。天使をイメージしていると紹介されている。

どうしたらそんなふうに見えるのか?浅間は首を傾げていた。

それを思うに、自分は芸術肌の人間ではなく、リアリストなんだろうなと改めて自覚したようだ。


「この作品も綺麗だよね。天井を覆うように展示されているから、存在感があるし。どうしたの、浅間?溜め息なんかついて」


「いいえ、自分にはこの作品の素晴らしさを理解する事は出来ないんだなと思って。作品を見ても、なんとなくしか分からないんです。何処をどう見たら天使に、見えるんだろう?って考え込んじゃって」


「芸術品なんてそんなもんだよ。これを作った人だって、自分でなんでこんなのを作りたいと思ったのかなんて理解してないと思うよ?それが感性って奴なんじゃないかな?んっ?見て浅間、天井に何かある。見えずらいけど何かのカードがあるな」


良く目を逸らしてしてると、確かに作品に紛れて天井に付着したカードがあった。

浅間はその場でジャンプし、内容を確認すると看板の写真のようで皆が探し求めている神楽舞の物であった。


「あった!やっぱり此処で合ってたんですね。直ぐに協会に持って行かないと」


「じゃあ、急ごう。ほら、私の手を握って。行くよ!」


次に2人が向かった場所は収集した手がかりを並べている会議室だった。

白鷹の姿もあるが、彼は別の人物の相談に乗っているようである。その正体は隼だった。


「颯先輩はもう行き場所が決まってるし、山岸先輩も那須野先輩を連れて亀ヶ(かめがおか)まで行くって言ってるから俺だけ分からなくて。このカードの意味、どう思う?」


「…どう?ってそのままの意味だと思うけど。浅間先輩、お帰りなさい。ちょっと困った事になっちゃって。隼が行き場所が分からないって言うからアドバイスをしたんですけど、逆に首を傾げちゃって」


「ふふっ、希輝ちゃんや剣城君じゃないと阿吽の呼吸は通じないものね。確か、隼君のは昼間の北極星と静寂の場所を見つける事ですよね?なら、逆に夜騒がしい場所に行くのはどうでしょう?白鷹君の言いたい事と一緒だと思いますよ」


すると、安堵したようにホッと胸を撫で下ろす彼の姿があった。

何か気づいたのか?隼は勿論、同行していた白山も目を見開いた。


「成る程ね、繁華街か。私じゃ担当場所が違うし、結論を出すには早計だけど。きっと隼の所にも似たような場所はあると思うな。検討は?」


「ある。恐らく大友だと思う。ありがとうございます。俺1人じゃ、このまま悩んでいただけかもしれない」


「お役に立てたようで何より。是非、頑張って手がかりを見つけてくださいね」



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