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第弐拾仇話 鳳凰橋

「あら、此処に白鷹君がいるなんて珍しいわね。書店でお買い物?良く、参考書とか漫画を買って帰っているわよね?」


「いや、あの...今日は別の用事があって。すみません、失礼します」


自分自身は口下手だと思っているが、周囲から見ればそれはクールな性格だと良いように捉えられてる事が彼にとって唯一の救いだった。

場所は関野(せきの)、希輝は勿論剣城の担当場所でもあるこの場所で自身のカードを見ながら溜息を吐いていた。


「まさか、僕の趣味を知ってるとかそんな事はないよね?心を見透かされているようで怖いんだけど」


そう言う彼にはある理由があった。勉強熱心な白鷹でさえも子供のように夢中になる漫画が存在した。

その作者はここ関野で生まれ、地元なのも合わさって彼は幼い頃から両親の進めもあり漫画は勿論、映画やグッズに囲まれながら現在でも過ごしている状態だ。


彼はこの状態を恥じているようだが、不幸中の幸いか仲間達に咎められる事はなく。

寧ろ家で勉強会をそっちのけで感想を言い合い、親睦を深める事も多い。


その事はさておき、本来の目的である鳳凰橋に彼は歩を進めた。


「此処からだと少し遠いな、俥夫にお願いしよう。...そこの青い人、僕を鳳凰橋まで連れて行ってくれないかな。貴方なら良く知ってるでしょう?」


「勿論。珍しいね、そこに言っても錫職人はいないよ。近くの寺なら名産品の大仏を見ることが出来るけど行かないのかい?」


「そう、そこじゃダメなんだ。あの橋じゃないと、僕の願い通りにはならない。お願いするよ」


2人が言葉通り向かったのは石畳が敷かれ、千本格子が犇く昔ながらの街並みだった。

ここら辺一帯は錫職人達が集まり腕を競いあった。

そのため、銅器の作品が寺やその周辺に数多く残っている。


その中で鳳凰橋は金色に輝き存在感を放っている。

この地名の由来ともなっており河川に合わせ上流にオス、下流にメスの鳳凰がそれぞれ鎮座している。


カードに記載されている通りの文言を白鷹は確認するように呟きながら歩を進める。


「これはどっちだろう?...いやそうじゃないな、見つけた。橋の手すりに何か繋がれてる。ロープかな?」


丁度、橋の真ん中に行き。目に捉えたロープを引き上げると何かが書かれた木板を見つける事が出来た。


「流石に乾かさないとダメだな。一度、拠点に戻ろう」


何か扇風機かドライヤー等の風を起こせるものが欲しいと望んだ彼は関野を離れて信濃のアパートへと移動する事にした。


そんな時だった、中に入ると見知った女性2人がいる事に気づく。その正体は浅間と白山だった。


「白鷹君おかえりなさい。関野に行ってるって希輝ちゃんから聞いてたけど大丈夫そうね。そんなに心配してた訳じゃないんだけど、確認の為に帰ってくるまで待ってようと思って」


「ありがとうございます。...でもこれ、橋に吊るされる状態で。濡れた状態じゃ文字も読めないから困るし、乾かしてから協会に持って行こうと思って」


「鳳凰橋の事か、じゃあドライヤーを持ってくるよ。浅間はそのまま自分の仕事に行っちゃって。1時間後に待ち合わせをしよう」


「分かりました。それじゃあ、お願いね。私はそのまま依頼をこなしてくるから」


そのあと、白山と白鷹は木板の復元作業へと取り掛かる。

そんな中で彼はある疑問を持ち、彼女に問いかけた。


「あの、浅間先輩のカード見ました?恐らく、貴女の事が書いてあると皆言ってましたよ」


「黒百合の事ね。あとは、無色と色鮮やかが矛盾しない物を見つければ良い話なんだけど。その態度だと君は分かっていそうな気がするな。流石だね」


白鷹は頭が良いと言われる事に対して慣れてしまっているせいか?純粋な賛美に聞こえないという彼自身が自覚するほどに難儀な性格となってしまっている。

その複雑そうな態度に白山は拍子抜けをしてしまったようだ。

もっと子供らしく純粋に喜ぶだろうと思っていたのかもしれない。


「あら?そんなに嬉しくなかった?何か、深読みか皮肉だと思われたのかな?今のは私の純粋な思いなんだけどね」


「...分かってます。ただ、僕も万能ではないんで。漫画のキャラクターとは違うから。藤居山はガラスが有名だから恐らくその事なんだろうなと思って。間違った事は言ってないと思います」


「良いや、やっぱり君は万能だ。でも、子供らしい所があって安心したよ。なんでも出来たらそれこそ、私たちの出番がなくなってしまうからね。ほら、乾いたよ。これで大丈夫。さぁ、行っておいで」


そのあと、白鷹は協会に訪れ揃いつつある神楽舞の資料を眺めていた。

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