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第弐拾肆話 薬屋

「そうだ、思い出した。砂時計みたいな旗模様が吉田にあるじゃないか。でも、本当にそう言う意味なのか?」


自分の行動範囲である吉田に到着した児玉だったが、半信半疑でこの地に辿り着いた為。途方に暮れていた。

しかし、こう言う時こそ。地元民の力が必要だと此処は素直に俥夫に案内を任せるようにしたようだ。


「あぁ、確かに此処の周辺はそう言う模様の旗を掲げてますね。商店に行きたいんだったら、田村屋が此処では一番由緒ある所だと思いますよ」


「じゃあ、本当に商店があるんだな。それなら一安心だ。そこのお店は何を生業としているんだ?」


「代々医者の家系みたいで、薬剤師としてはもちろん。大学の薬学部で教鞭を取られてる偉い先生の一族が経営してる薬局になります。醤油作りも出来る蔵も保有していらっしゃいますよ。実際に見て頂くのが一番だと思います」


到着後「田村屋」と書かれた旗を確認し、中に入ると老人が1人店番をしている姿を児玉は捉えた。


「ご主人、失礼します。この近辺で運び屋をしている児玉という者なんですが。探し物をしていまして。何か巻き物や看板は近くにありませんか?持ち帰って調査をしたいと協会の方で言われまして」


「あぁ、名前なら知っておるよ。ワシも血隈大で教鞭を取っていたからな。もう何年も前の話だが。今は細々と薬師をしている。店の中なら勝手にご覧くだされ。何かあるとは思えんがな」


許可を貰い店の中を探索する児玉だったが、薬品の種類が多く。その分、瓶も多い為移動させるのに多くの時間を費やしていた。しかし、その浪費に値する成果が出ていないのも彼の壁になっていた。


「此処で間違いは無いはずなんだ。商店の中に何かがある…はず。ご主人、随分と沢山の種類の薬品があるんですね」


「漢方も混じっとるからな。昔、医者というのは歯医者と一緒で薬の管理も同時に行っていた。そこから負担が大きいと薬剤師という職業が生まれたんじゃ。何か熱心に物を動かしているがそんなに大事な物なのかね?」


「さぁ、良くある話ですよ。皆んながやってるから自分という同調圧力です。後輩達も今頃、必死に手がかりを得る為に探し回っている事でしょう。そんな中で自分だけ怠けてる訳にも行きませんから」


必死に商品を動かす児玉を見て、店主は「ほぉ」と言いながら感心したように頷いているようだった。


「働き者じゃな、関心関心。では、ワシも一族に伝わる階段箪笥を開けてみるとするか」


「お願いします。自分のご先祖を知るいい機会だと思いますよ」


その数分後「あっ!?」という声が店内に木霊し、彼が店先の縁側で待っていると店主が驚いたように巻き物を手に取り持ってきたのだ。


「それです!零央の物と一緒だ。早速、お預かりして協会で調査させてもらっても良いですか?後日、お礼の品と此方をお送りします」


「それは良いが、薬品の陳列がバラバラじゃ。直すまで手伝ってもらうぞ」


その数分後、児玉は協会へと帰還した。帰ってきた父親に零央は喜んでおり自身の巻き物と繋げようとするが切り目が噛み合っていないようだ。


「パパ、おかえりなさい!あれ?くっつかないね。ちがうのかな?」


「全部揃ったら本当の長さが分かるさ。これで4人分は揃ったな。後は身内だと望海だけか」


「やっぱりカードの言う通りの場所にそれぞれあるって感じだね。私の時も絡繰時計にセッティングされてたし。望海も今、風間様の協力を得て安芸の斎島(いつくしま)に行けば大鳥居が見えると思ってそっちに向かうって。ただ、潮の満ち引きがあるから今日中に行けるか?はわからないけどね」


「少なからず、今日では都合が悪いというメンバーもいるからね。仕事の片手間で現地に向かうのは容易ではないよ。もう夕方だ。施設によっては閉館してる場所もあるだろうね」


会議室の窓からは夕焼けが差し込んでおり、周囲からはカラスの鳴き声がする。

零央は「かえりましょう」と母親に教えてもらった曲を口ずさんでいるようだ。


「正直、この1日だけでこれだけ巡れたのなら上出来じゃないか?どのくらいの期間でこの巻き物達が必要になるのかがわからないしな。早いのには越した事がないと思うけど」


「多分、大祭に関わる事だからそれまでに踊りを覚えて衣装を着て実際に儀式を行うって事なんだろうね。でも、私が知りたいのは他にも沢山ある。そもそも、大祭が上手く行く保証もない訳じゃん?あれだけ交通規制をして、私達をかき乱して選手の安全は大事だろうけど。護衛だって私達がするんだぞって話だし。ほら、以前もそうだったじゃん?私と玉ちゃんで選手の護衛と輸送をしたよね?」


「やったやった、今は仲間が増えたから仕事量が分散出来るもののもう沢山だ。浅間も苦労してたしな。悩みが尽きないよ」


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