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第弐拾参話 秘密組織

「…えっと、此処で間違いないはずなんだけど。中に入って大丈夫なのかしら?」


隈本に到着した瑞穂の目の前に聳え立っているのは以前、漆黒の将校と口にしていた場所だった。

建築物が真っ黒なのは、戦いに巻き込まれた際に場所が知られないようにする為だと地元の人に聞いた事を足を進めるのと同時に彼女は思い出していた。


「ごめんください。どなたかいらっしゃいませんか?」


最早、空き地なのか?持ち主がいるのかも分からない状態で辺りを見渡す瑞穂だが、誰かの視線を感じ取り。

大きな、銀杏(いちょう)の木に目をやると黒い学生服を纏った少年が木の枝に乗り。瑞穂を見下ろしていた。


「あぁ、良かった。あの、私の事覚えてくれてるかな?以前、この前を咲ちゃん。大柄な男性と通った事があるの。このカードを見て欲しいんだけど、この場所の事が書かれてると思って私は此処に来たの。何か不審な物や人が此処にいなかったかしら?」


カードを謎の青年に渡すと、すぐに瑞穂の元へと戻される。

そのあと、学生帽を深々と被り。目を合わせず気に寄りかかる仕草をする。


「いや、見てないよ。何か、探し物でも?此処は僕達にとって大事な場所だから近づかないでくれるかな、その権利はあると思うけど?」


「ごめんなさいね。私自身も困ってるのよ。私の事が気に食わないならそれで構わないから。巫女神楽に関する物を皆んなで集めていて、それに由来する物を協会に持って行きたいの」


「成る程ね、巫女神楽。やめた方がいいんじゃない?それをして君達に何か得でもあるの?最近の奴らは何を考えてるのかわからなくて困るんだよな。もう、いいかな?基地に戻らせてもらうよ」


突然現れ、突然消えてしまう存在に瑞穂は困惑の表情を浮かべていた。

しかし、絶対に此処に答えがあるはずだと彼の背を追うように足を進めた。


「基地ってどう言う事?此処は昔、将校として使われてたって聞いた事があるわ。何の用途で此処を作ったの?」


「まさか付いてくるとは。後悔しても知らないよ。僕達の活動を邪魔しないと約束してくれたら見学を許してあげる。いいね?」


瑞穂は二度大きく頷き、建物の中に入ると周囲は真っ暗で何もない。いや、と言うより真っ黒な服装をした人々が周囲の壁を覆い尽くす程に存在しているのだ。これには彼女も驚きを隠せなかった。


「まぁ、ハチロク様がお客様をお連れになるなんて珍しい事。どう言う風の吹き回しかしら?ナメクジに言いつけてもよろしくてよ」


「そんな性格じゃないだろう彼奴は。貴婦人、女性同士仲良くしてやりなさい。彼女の此処の担当じゃないんだが、今日は珍しく顔を見せに来てくれてね。普段は周防にいるんだ」


建物内に少し光が当たると真っ黒なドレス姿の少女が現れる。華奢な身体とコルセットで締め付けたような細い腰が印象的だなと瑞穂は思ったようだ。


「貴方達って渾名で呼び合っているの?貴方がハチロクで、彼女が貴婦人」


「あら?何もおかしな事はなくってよ。それでこそ、本来の運び屋というべき物でしょう?貴方達が個人情報を出しすぎなのよ。もっと隠密に、もっと俊敏に行動しなくては。貴女の噂は予々。周防にも広がっているわ。私達の陣地まで来てどうしたのかしら?この基地もお取り潰し?」


黒い扇子を懐から取り出し、目元だけを見せ此方を睨んでいるようだ。

どうしてなのかはわからない。しかし、此方を睨んでいる事だけは瑞穂にも理解が出来ていた。


「ねぇ、私の願いに協力してくれたら此処の事は誰にも言わないわ。貴方達の事も守ってあげられる。だから、もし此処に神楽舞の手がかりがあるなら教えて欲しいの。お願い」


「…貴婦人。そこを箱を開けて、中身を彼女に」


「あらまぁ、ハチロク様もお人好しよね。ご本名だけに。ふふっ、よろしくてよ。ご覧遊ばせ、貴女が知りたいのはこの事でしょう?」


案内され、壁際にある大きなトランクケースの中に瑞穂が求める物が存在した。

中には他の者たちが手にしたように巻き物の一部が入っていた。


「はぁ、瑞穂様とおっしゃる方。私を周防までお運びになってくださる?新しい依頼の時間ですの。近くまでご一緒しましょう?乗り合い馬車も悪くありません事よ」


さも、当然のように親しい関係に見えるような動作をする彼女に瑞穂は戸惑ってしまった。

このままでは聞きたい事も聞けなくなると、質問を投げかけた。


「待って、貴方達も私達と同じ運び屋なの?」


「えぇ、行動範囲は限られているけどね。血筋による力と異能力を引き継いでおりますわ。根本は貴方達と一緒。違うのはこれかしらね?」


そう言いながら貴婦人は胸元のブローチに軽く触れている。

新たな運び屋とその隠れ蓑になっている将校の存在。

比良坂町には疑問と不思議が溢れていた。



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