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第弐拾話 天を貫く塔

2026年もよろしくお願いします。

黄泉の助言通り、小坂へと到着した児玉と零央だったが次の行き先を決めかねており途方にくれていた。


「さて、小坂に着いたのは良いもののどうした物か。とりあえず、高い場所に行きたいんだよな?」


「うん!ねぇ、パパみて!あのビルすごいおおきいよ、れおいってみたいな」


零央が指差したのは遠目からでも見える高さ300m以上にも及ぶ高層ビルであった。

改めて、カードの内容を確認すると天に近く“ラッキーボーイ”と呼ばれる存在が必要という事である。


「そのビルにラッキーボーイが入れば良いんだけどな。俺も中心街から離れた所は疎いし、そう言う時こそ御堂のおばちゃんに頼めば!」


児玉がそう言おうとした時、丁度仕事を終えたのか?瑞稀の乳母である御堂が近くまで寄ってきた。

白いエプロンが目を引くものの、赤い髪のパンチパーマ、同じくトラ柄のスエットが印象的な女性だ。


「まぁ、児玉さんやないの!今日はどうしたん?成安(なりやす)に買い物?可愛えぇ、息子さん連れて!ほら、飴ちゃん食べる?何味にしよっか?」


「いいの!?じゃあ、れおはね。ぶどうあじのキャンディーがたべたいな」


「流石、小坂のおばちゃん。人の心に入り込むのが尋常じゃない程に早いな。俺も見習わないと。そうだ、御堂のおばちゃん。色々と聞きたい事があって、俺たちこのカードが書かれた場所に行きたいんだ。「高い場所」と「ラッキーボーイ」この二つの条件を叶えられる場所を探しているんだが、何かピンとくるものはないかな?」


すると御堂は現地人という事もあり、直ぐに答えのヒントになりそうな事を教えてくれた。


「「ラッキーボーイ」ってビリーさんの事やないの?頭を撫でると幸せになれるって此処一帯じゃ有名なんよ。あのビルは新しく作られたばかりで、歴史があるのは向こうの展望塔の方。零央君、おばちゃんが途中まで連れてってあげよか?四天王寺(してんのうじ)までしか行けんけどそれでも良いっていうなら」


御堂の誘いに零央は嬉しそうに頷き、三人は共に別の場所へと向かった。

到着すれば、自分達の目の前には上と下。まるで異なる建築物を合体させたような目を引く存在である。


「パパ、みてみて!あそこにすべりだいがあるよ。れお、あそびたいな!」


「あぁ、でも零央君何歳?彼処の滑り台は7歳以上が対象なんよ。60メートルって結構長い奴だからね。危ないから」


「零央はまだ、5歳だからな。もう少し大きくなってからにしよう。所で、此処からの移動手段なんだが案の定。交通規制が引かれてるみたいだな。…あっ、あの馬車はどうだ?」


児玉が指差した先にあったのは、馬車が収納された車庫と馬小屋だった。

二人ほど人影があり「チンチン」とベルの鳴る音も聞こえてくる。


「まいど、おおきに。歴史ある馬車の旅は如何でっか。あら、怒らせたら虎をも怖気付く御堂さんやないの。素敵なお客さん連れて。絶対金持ちやって分かるやつやん。此処まで仕事の範囲を広げられたら困りますよ。勘弁したって」


「そんな冗談は今はえぇねん。この方達をあの展望塔まで連れて行って。ビリーさんに会いに行くんやって。別に串カツ屋にもあるとは思うんやけど。そこが一番有名やろ」


「あぁ、ビリーさんな。俺も、アレ出来るようにお願いしたわ。仕事が上手く行くように願掛けですか?精が出ますね」


小坂の独特な会話のテンポや雰囲気に児玉は飲まれそうになるものの。

本来の目的を果たそうとなんとか食い止まる事に努めるようだ。


「まぁ、そんな所かな?息子が行きたい場所なんだ。連れて行ってもらえないか?」


「勿論、ええですよ。今、準備しますんで待っといて下さい。此処は(えき)言うて、馬車とか馬を一時的に留めておく場所なんですよ。色んな所に点在してて、行ったり来たりを繰り返すんで自然と同じルートを通る事になるんですわ。この馬車の緑色、綺麗でしょう?ウチの伝統カラーで、ちゃんと名前もありますから無断使用はしないように。利用料とりますから。冗談です、ほな行きましょか」


二人で普段は滅多に利用しない馬車の中に案内され、零央は目を輝せながら周囲の景色を見ているようだった。


「パパ、すごいね!れおたちをはこんでる。はこびやさんだ」


「確かに、こんな風に客人としてお世話になるのはツアー以来だな。不思議な感覚だ。俺たちの方が、仕事が早いと自負はしてるけど。それだけじゃ、得られないものもきっとあるって事なんだろうな。このゆったりと流れる時間にも価値があるって事か。もうすぐ着きそうだぞ、零央。ビリーさんは何処にいるんだろうな」


御者に別れを告げ、二人は展望塔に入り。展望エリアの一部へと足を踏み入れる。

そこの一面は金一色であり、児玉はまるで自分が作り上げた城にある茶室と一緒だと思ったようだ。


「この像の足を触ると幸せになれるみたいだな。折角だから触れて…あっ!?」


「どうしたの、パパ?れおにもみせて?」


零央の問いかけの後、児玉は何か異変に気づいたのか?像の後ろに何かの巻き物がある事に気付く。

それを彼に開いて見せ、重要な物だと感じ取り無線機を手に持った。


「協会本部、此方児玉だ。今、零央の付き添いで小坂にいるんだが絵はあるものの解読出来ない巻き物を見つけた。…分かった。塔の関係者には預かっていると伝えておいてくれ。黄泉の方でも見つかったのか。零央、とりあえず協会に急ごう。仲間達が待ってるって」


「うん!じゃあね、ビリーさん!ありがとう!バイバイ!」


《解説》

零央のカードに書かれていた内容は大阪のランドマークである「通天閣」と幸運の神様として有名な「ビリケンさん」の事でした。

通天閣は歴史が長く、浅草にあり何度か作中でも登場している大正時代の建築物である「浅草十二階・凌雲閣」と同じ年頃に初代通天閣が誕生しています。

この作品は浅草十二階と東京スカイツリーの要素が混ざっておりまして、元々後者は東武グループが所有している為。真霞宇宙はツアー中に紹介をしていました。

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