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第拾伍話 真夜中

時刻は夜の八時過ぎを回った所、約束通り望海と圭太は朝日奈兄妹に会うべく協会に滞在していた。


「それで?衣装の採寸は終わったの?」


「はい。最初は戸惑いましたけど何とか無事に終わりました。あっ、お二人とも此方です!」


望海が手を振る先にいたのは瀬璃菜と八雲であり、前者は元気良く手を振りかえし。後者は気怠げに自身の腕時計を確認している。


「望海さん、お久しぶりです。圭太さんも無事に帰国されたんですね。今回もまた、奇妙な事に巻き込まれたんだとか?」


実際に見てもらった方が早いと圭太は自身に送られてきたカードを彼女に渡した。

八雲もチラリと視界に入れ、内容を確認している。

すると納得が行ったかのように、両者とも頷いているようだ。


「あぁ、これってまさに俺達の事じゃない?夜に業務してる朝日奈兄妹って事でしょう?母さんの可能性もあるけど、あの人は出雲って周囲から呼ばれてるし。馴染みは薄いかもな」


「そう言えば、お母様も復帰されたんですよね?担当場所は以前とお変わりなく?」


すると、一瞬周辺の電気が消え。暗闇に包まれる。

停電か?と狼狽える望海と圭太とは対照的に嬉しそうに微笑む朝日奈兄妹の姿があった。

その後、カランカランと下駄の鳴る音が聞こえ。周囲に煙が立ち込める。


「あら?どなたか私の名を呼んだ?この出雲、神の()る所まで連れて行ってあげるけど」


「出雲さん!相変わらず、派手なご登場ですね。噂は予々聞いております。復帰されてからも人気が止まる事はないんだとか。傾奇者(かぶきもの)の異名を持った運び屋だと有名ですよ」


望海は素直に彼女に褒め言葉を送ったのだが、当の本人は聞きなれているのか?涼しい顔をし、何かを考えるように瞳を閉じその場から動こうとしない。

その意味深な“間”こそが彼女が大物である事を示していると周囲は思ったようだ。


「…お二人とも、この後時間は?」


「勿論、空いてますよ!出雲さんの為ならいつでも時間を作ります!」


珍しく興奮した様子の望海に対し、圭太は慌てて彼女の腕を掴み耳打ちをする。


「ちょっと、姉貴!僕のミッション忘れたの!?朝日奈兄妹に何か手がかりがないかを聞くんじゃなかったの!?」


「確かに、指示はそうですけど。だからと言って、出雲さんの存在を無視する必要はないと思うんです。ご家族なら共通の話題が聞けるかもしれませんし。話も広がって、手がかりも増えるかもしれないでしょう?」


二人でヒソヒソと会話をしていると、怪訝な表情で出雲が此方を見ている事に気づいた。

それにフォローを入れるように瀬璃菜が声をかける。


「あの、もうそろそろ宜しいでしょうか?お母様が是非、お話ししたい事があるそうなので振り向いていただいても。恐らくなんですけど、皆さんがお知りになりたいのって古くから伝わる神楽舞の事ですよね?それなら、母が一番詳しいと思います」


「東屋のご姉弟はウチのと同じく随分とお元気なのね。夜中に出歩くだけの事はあるわ。私、生前のお父様と顔見知りなの。お仕事で何度かご一緒した事があってね。その中で良く、昔話や噂話を聞いた事あるの。子供達にも話した事があるって聞いた事があるんだけど貴方達は神楽舞や儀式について何か知ってる?」


望海と圭太はお互いに顔を合わせ、それぞれそう言った思い出がないかどうか?を思い出そうとしているようだが父親が亡くなったのは物心ついて直ぐの事だった為。朧げな記憶しかなく、何も思い出せないでいるようだ。


「すみません、私達では何も思い出す事が出来ず。改めて、その事についてお話を伺えますか?」


しかし、彼女の言葉とは裏腹に出雲は口を閉ざし。その後、ゆっくりと歩を何処かへと進めている。

その後、口を開いたかと思えば突如聞きなれない住所を口にした。


「比良坂町第参区吉備、(きじ)通り参ノ弐ノ捌。吉備にはね、昔話の名残で他にも犬通りとか猿通りもあるの。ウチの家の住所もその仲間ね。一緒に来て、直接アレを見せた方が良いと思うの。ついて来て」


出雲が雲が棚引く自身の印に触れると瞬きする時間も与えず、目の前の一軒家へと到着した。

そのまま、鍵を開け一直線に階段まで向かい二階の彼女の部屋に招き入れられると乱暴に触れば繊維が切れてしまいそうな古びた紙を見せられた。


「貴方がたが必要なものってこれでしょう?神楽舞の一節。何処までの長さになるのかは検討がつかないけど、全てを揃えたらある儀式が完成するって貴方達のお父様が言っていたわ。ちょっと、大袈裟だと思ったけどね。何処か、魅入られいる様子だったから注意はしたんだけど。これが必要になる事があるかもしれないって当時も言っていたからもしかしてと思って」


「ありがとうございます。では私達の大きな目標はこの神楽舞の情報をかき集める事なんですね。これでようやく、全体像が見えて来たかも」


「とりあえず、これを協会に持って行こう。解読出来ない所は花紋鏡を上手く使えば良い話だしね。でも、少し気になるな。神楽舞と儀式って一緒じゃないの?神に奉納する踊りだっていう認識はあるけど。…もしかして、まだ秘密があるのかな?」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

次回から毎週月・木曜日の投稿となりますのでご了承下さい。次の更新は12/18を予定しています。

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