生首一週間レンタル
(r15と残酷、ホラー、嘔吐、暴力表現注意!)
「玻璃、お前の望むものを持ってきた」
家に帰ったら、オニキスが溢れんばかりの笑みを浮かべて出迎えた。
三つも国が離れた僕の生まれ故郷からは明後日帰るんじゃなかったの。
「望むもの?」
一体、何を持って帰ってきた。
まさか、そんなことありえない。
ドラゴンエンパイアと炎龍国は、同盟関係を結んでいる。
オニキス皇子の関係者になってしまった僕の願いは、それにひびを入れるようなものだ。
だから、移動するたび、名前も色も姿を変えた。
誰とも深い関係にならないためだ。
とにかくたくさん魔物を食べて模倣した。
参加した武闘会で、強化素材をひとかけらだけ、お願いするはずだった。
それでもし、体が強化できたら、相打ち覚悟で一人でも、あだの龍人を殺そうと考えていた。
なのに、目の前にあるこれはいったい。
生首となった復讐相手たちの頭が青い顔をして、生花のように針の筵に刺さっていた。
その数は十こえる。
「こんなことして、大丈夫なのか。炎龍国と戦争になるんじゃないか?」
僕はそいつら以上に青い顔をして聞く。
「大丈夫だ。向こうの王様もだいぶ、そいつらに手を焼かされていたようでな。
なんでも、自分の娘が必ず王妃になると盲信していた。
挙句、王様の最愛たちを襲って、殺しかけた。
向こうの王様もカンカンに怒っていて、俺が来た時にはこの状態だった。」
そう言って、オニキスは筵の端を軽く蹴る。
むしろが少し波打つ。
それと同時に、死んでいると思われた生首が目を開きうめき声をあげる。
「向こうの王様に寿命か、頭に埋め込まれた逆鱗潰す以外で死なない体にされてる。
一週間、これらと遊ぶことはできるよ。
でも、殺すことは俺たちにはできないんだ。」
オニキスは眉尻を下げて、困った顔をしている。
「どうして、僕のために」
「それはもう、復讐をさっさとやって欲しかったからだ。復讐から解放されて欲しかった。
本当にやりたいことをやって、楽しく過ごしていたあの時や今日みたいな笑顔を見たかったんだ。」
まるで、ボールを持ってきた犬のような目で僕を見てくる。
「それぞれの罪にあった罰を」
言いかけた僕は体を震わせた。
「うぇ」
さっきまで、アンバーと食べたご飯が口から出る。
「どうして、笑顔になってくれないの」
僕はしゃがみ込み吐く。こいつらにあったら思いっきり、嗤って復讐しようとしていた。
なのに、全然、笑えない。
気持ち悪い。
魔物と違って、死体もすぐに消えないから、普通の生き物は苦手だ。
「玻璃、大丈夫?」
オニキスは服が汚れることも構わず、駆け寄り、膝を折り、僕の背中を撫でる。
オニキスは悲しそうな顔をする。
「ごめん、敵でも人のグロはきつかった。でも、ありがとうオニキス。」
そういうと、オニキスは目を細め、口角を上げて、溢れんばかりの笑みを浮かべた。