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始まりの温泉街で果実酒売り

飲酒の表現あり

『オニキスへ、僕外行く。部屋に入っていいよ。』

そう書いた手紙を部屋の扉の外側に、貼り付ける。

オニキスは仕事でしばらく、この屋敷を留守にしている。

定期的に毎日手紙は届く。

僕の生まれ故郷に外交しに行っているようだ。

おかげで僕は、屋敷の中を歩き回ることができている。

木造建築でどこか前世の西洋の建築を思わせる作りの屋敷の中を探索しつくしたら、飽きた。

外に行きたくなった。

「奥様、本当にどこに行くか告げずに行くのですか?」

「アンバー、大丈夫だよ。ちゃんと『外』行くとは伝えたし、夕刻までには帰るよ」

アンバーは僕が寝ている間に勝手に付けられた侍女だ。

「外のどこに行くのかをちゃんと伝えておいた方がいいのでは。」

気まずそうに、アンバーは言ってくる。

「ここの近所の温泉行って、お土産買ってくるだけ。もし、言ったら、あそこが厳戒態勢敷かれて、お店や歩き売りしている人、温泉の人が困るでしょ」

「そうですか。」

アンバーは首をかしげて、なんとか納得しようとしているようだ。

「それに、アンバーも一緒だから。たくさん食べていいよ。優勝と準優勝のお金で」

「わーい、奥様ありがとう」

アンバーはテンションが上がった嬉しそうな顔をした。

「あと、屋敷の外では奥様は禁止。そもそも、僕は奥様になってない。クリスと呼んで」

「わかりました。おく、じゃなかったクリス様」

「様もいらん」

この名前と今から行く温泉街は懐かしいものだ。

あの街は僕の復讐への第一歩の街なのだから。






「一年きのみ漬けの酒、入りませんか。お風呂上がりのいっぱいに」

「クリスくんが売っているお酒は美味しいねえ」

常連さんのおねいさんが買って行く。

大きめの樽と、100を超える木彫りのコップを背負って僕は歩き売りをしていた。


僕は復活したあとも、野草などとにかく口に入るものを食べ続けていた。

父の隠蔽で魔ものに襲われる心配はなく。

母の水のおかげで、水不足に落ちいることはなかった。

そしたら、いつのまにか僕の生まれ故郷である炎龍国から、三つも国を超えたドラゴンエンパイアという大きな国に入り込んでいた。

その頃には体が回復して人化けできるようになっていた。

ゲームの知識から、体力の回復と経験値が増えやすくなるバフのため、温泉街通っていた。

近くでジュースをある商売を思いつく。

なぜ半野生生活でいろいろ耐性は着いているものの。

安心して眠った方が、成長速度は早かった。

たくさん稼いで良い宿で眠りたかった。

ここに来た時、野生生活で拾った珍しいものをあったおかげである程度懐はある。

けれども、稼げる方法があるなら、稼ぎたかった。

なにせ、こちらはなんのつてもないただのひとりぼっちの若い少年だ。


歩き売りで、体が元気になるバフ付き果実酒をうることにした。

この世界の人は酒好きというか、水のように酒を飲む。

だから、こんな若い少年でも、簡単に酒を買うことができる。

けれどそこから、工夫しようという考えはなかったようだ。

なぜかって、すぐにそのまま水のように飲むのだから、せいぜい果汁を加えたり、少し砂糖を入れたりする程度だ。

だから、苦い酒が多い。

ジュースのような甘い酒はほとんどない。

酒屋から、喉が焼けるようなアルコールの度数が高い酒を購入した。

柑橘とりんごを切り刻んで、砂糖をいれて、酒を入れた樽を作った。

それを部屋の日当たりの悪いところにおいた。

一ヶ月立って、歩き売りをしていた。

「果実漬けの酒、入りませんか。温泉上がりや辛い酒の口安めにどうですか?」

なんか歩き売りしていたら、同じことをする人が増えた。まあ、作り方を聞かれるたび、僕が素直に答えていたのもある。

「クリスくん、君のおかげでうちの酒屋も、酒が足りないくらいだ」

そう酒屋の店主に言われるほど、果実酒の歩き売りは流行った。

分母が増えると分子の売り上げが減る。果実酒も売れ行きが悪くなった。

まあ、仕方のないことだ。

下手に秘匿にして、僕に探りを入れられたら、僕も困る。

そろそろやめようかと歩き売りしている最中に子供を見つけた。

顔と頭上半分を布が覆って、属性がわからない。

のぼせて蹲っている子を見つけて、水を使って何倍にも薄めた果実酒をあげた。

身なりのいいキラキラと光を反射するネックレスのような装飾品を首に巻いた人化け仕立ての子供のようだ。

差し出すと無我夢中で飲んできた。

「ありがとう。これ!あげる!」

幼い子で、お金を持っておらず。

代わりにその装飾品を僕の首に引っ掛けてきた。

冗談じゃない、僕はただ子供を助けたかっただけだ

元々お金を取る気はなかった。

「いらない」

「もってて!あした、またあうから!」

そう言って、目にも止まらぬ速さで、観光客に紛れ、去っていった。

そして、翌日。

布団でぬくぬくと寝ていた僕は宿屋のおかみさんに揺すり起こされることになる。

「クリス、あなたを探している貴族の子供が従者引き連れて、うちを訪ねてきる。会っておくれ。」

僕が泊まる宿屋は、せいぜい金持ちの商人が泊まるようなシンプルで清潔な宿屋だ。

予想外の来訪者に、おかみさんも動揺しているのが伝わった。

寝巻きから、急いで着替えて、子供のもとへ向かった。

子供は気づくと僕に駆け寄ってきた。

まるで、花が咲いたような整った顔を笑顔にして僕に抱きついてきた。

「見つけた。クリス。俺はオニキスといいます。助けてくれてありがとう。」

果実酒代をもらいネックレスを返そうとした。

「持ってて、その俺のだから。持っていても大丈夫だから」

そう言われて、果実酒代をもらったけど、それで終わらず、歩き売りの手伝いをしたいと言い出した。

こちとら、平民なのでダメとはいえず、お供の従者に助けを求める目をしてもそらされてダメだった。

そうして、この貴族の子供を連れて歩き売りをすることになった。

まあ、それで売り上げがまた伸びて、さらには酒屋さんと子供の親を通して正式契約することになった。

身元を聞かれた時山に捨てられた孤児だと打ち開けた。同情されて、おかみさんか酒屋さんのどっちかに養子になるかとすすめられた。

嘘は言ってない。

しかし、その矢先、温泉街に歩き売りに対する規制が入り、僕は歩き売りを辞めることになる。

なんでも外国の偉い人たちが温泉街の視察というなの観光に来るためだということでしばらく禁止された。

しばらくなので再開する予定だった。

けれども、そのえらい人たちの中に僕の仇の龍貴族がいた。

僕は、まだ時ではない。

そう頭ではわかっているのに、復讐したくてたまらない。

にけたぎるような復讐心が心を支配した。

だから、温泉街から夜逃げするように離れた。

このまま、龍貴族が温泉街を離れるのを待っていてたら我慢できない復讐心が、龍貴族に手を出す。

ネックレスとお世話になった人たちへの手紙を宿屋において僕は隠蔽のスキルを使って、街をでた。

「オニキス、あんたのおかげで楽しかったよ」

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