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僕の正体と望みをいうよ。

「我が愛しき姫、ハリー、玻璃。どうか扉と開けておくれ」

閉め切った暗い部屋の扉の向こうから、低い甘い男の声が聞こえる。

「だったら、オニキス。僕の長い話を聞いてよ。それで僕の正体と望みがわかるから」

僕は何日も水を飲まなくて、掠れた声で答える。






生まれた時から魔法の属性が色で決まっていることが当たり前の世界で僕は無色透明の龍に生まれた。

僕は、とても高貴な龍貴族の家に生まれらしく。

影しかない僕を受け入れられず、生みの親は僕を夜の山に捨てた。

その時は悲しくて、辛くて、寒くて、怖くて泣いた。

その鳴き声に呼び寄せられた魔物に食われかけた時に、その魔物を育ての両親が倒してくれた。

美しい水色の目の見えない耳のいい母と森に溶け込むようないろんな緑のかっこいいマダラ模様の龍の姿をもつ父に拾われた。

母は耳や感覚が鋭く、深い森で泣く僕を見つけてくれた。

父はその魔物を食い殺してくれた。

色がない無色透明な僕を二人はさ、優しく厳しく育ててくれた。とってもかっこよくて優しくて美しい人たちだったよ。

男同士では子供ができないから、二人の子供を欲しかったけど、欲しくて悩んでいる時に僕を見つけて。

お互い言葉を交わすことなく、すぐに僕を育てることを決めたそうだ。

そうして、僕は優しく厳しい両親の元、山奥の小屋で育てられた。

異常な僕を隠すために、人里から離れて、二人は私を育てた。

母からは学を、父からは武芸を習い、僕はぐんぐん吸収した。

そしてとうとう、100年目に人化けできるようになった。

銀髪で赤い目の少女になった。

人化けする時に天啓として、属性が伝えられる。

本当は生まれた時の色で判断される。

天啓は確認みたいなものだ。

けれど無色透明で属性がわからない僕は、それが街どうしくて、来た時は嬉しかった。

「属性、模倣」

面白い能力だと両親は喜んでくれた。早速使ってみると、母から水の能力を模倣した。すると私の髪は銀から青になった。

さらに父の能力を真似することもできた。これって、ゲームでもすごいレアな能力。僕と同じくらいレアな隠蔽だ。

レアな能力ってなんだ

僕自身の考えに疑問を持った。

姿見に映る鏡に映る自分の瞳をみる。

違う。

僕の目は丸い瞳のはずなのに、今の目は縦長の瞳孔だ。

まるで、猫やトラ、ワニのような目をしている。

それを皮切りにせききったように記憶が溢れる。

この世界は、前世やった龍人育成ゲームによく似た世界だ。


ゲームの内容。

プレイヤーがプレイするのは一匹のドラゴン。

生まれた時は無色透明で人化けできるようになったことを境に食べたものや触れた環境によって徐々に色を手に入れていく。

触れ、食べ続けないと定着しないし、使用できない。

一定量触れる食べると性質が固定される。

僕はずっと、父と母のそばにいて、教わっていたから、すぐ使えて、父と母の力を固定して使うことができた。

けど普通は、いやというほど属性持ちの魔物を喰らわなければいけない。

僕は運がいい。

このまま、両親のもとで平穏に暮らそうと思ってたんだよ。

母から学んだ学とゲームで覚えた強化や属性の薬のレシピを使って薬屋をやって行こうと思っていた。

それがだよ。

僕を捨てた人たちの親戚がどこかの王族に嫁ぐからって、血縁者でいろいろ問題のある人たちとその関係がある人を根こそぎ、灰すら残さないで、燃やしてけしはじめたんだよ。

なんか、どこからか、僕の噂を聞きつけて、僕を殺しにかかってきたんだよ。

わざわざ、人里離れた山奥まで。

僕は親から独り立ちして、ひっそりと暮らしていたのに。

僕の悲鳴を聞いて、文字通り父と母が飛んできて、大乱闘が起こった。

三人で戦ったけど、人数が圧倒的に多くて、押され始めた。

「母さん、玻璃(ハリ)を頼む」

父がそう言うと、母は戦うのをやめて、僕の腕を引っ張り、そして龍の姿になり、空に駆け上がった。

その直後、僕の視界は真っ赤になった。

真っ赤な火を得意とする龍人が僕たちにむかって、火を使ってきたんだ。

山一つが吹っ飛んだよ。

母が庇ってくれたおかげ僕はかろうじて生きることができた。

けれども、それで母が死んだ。

自分の体が炭と化した母の体を崩す。

それがわかって、気が狂いそうになった。

けれども、体の傷が酷くて、動けなくて。

そのおかげで、死んだと思われたのは幸いだった。

あいつらが僕を死んだと思い込んでいたおかげで、復讐の準備に集中できるのだから。

人の姿を捨てて、蛇のように這いずる。

とにかく、回復作用のある薬草を食べて、回復しないと。

絶対、あいつらに死を望むほど恐ろしい目に合わせてやる。

死に物狂いで、周りに生えている薬草を食べまくった。

突然、内臓が引っ掻き回されるような痛みが生じた。

気を失いそうになるが、死んだ父と母を思えば、失っている場合ではない。

それでも、耐えきれなくて、僕は意識を失ってしまった。

そして起きると、体が縮んでさらには性別が変わっていた。

そういえば、ゲームでキャラを再設定する時、特定の薬飲んで、ダメージを受けてゲームオーバーならないと再設定画面が表示されない仕様だった。

さらにそこから、成長して伸ばしたところもリセットされる。

謎の鬼畜仕様と騒がれていたな。

生き残っていることがこれなら簡単にバレない。

ありがとう鬼畜仕様。


これで僕の正体と望みがわかったでしょう。

この世界を遊戯の世界だと思い込み、愚かにも、皇族の力を欲して、復讐に使おうとした。

それでも、僕を好きなままで望みを叶えてくれますか?

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