10話 『~聖剣伝説~ 嫌だ ダメだ 最悪だ』③
勘違い系を入れるとどうしても短くなってしまう……。
さて、どうしたものか……。
―――クラディ 視点―――
俺達は、塔を壊した犯人として村の全員に謝り、少しの手伝いをした。
掃除だったり洗濯だったり、料理を作ったりした。
そして、俺はうっかり口を滑らしてしまった。
「そういえば、ノーベで武道大会が……しまった!」
「武道大会!!行くぞ。行くぞクラ」
まるで、子供のその姿はほほえましいなんて姿など一瞬も思い浮かばない。
まさに鬼だ。
何故黙っていたという怒りをもった……。
「で、でも……学校が始まりますし……ね?」
「……仕方がない……」
しぶしぶといった顔をする姫様。
俺としては、こんなにあっさりと引き下がると思わなかったのでビックリしている。
「学院は休むむか……」
「ダメですよ。帰ります」
「クラぁ~、キスしてやるから」
「ボフスト、帰る準備」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「ん?」
姫様から視線を離し、ボフストのほうを見る。
そこには、ボフスト、フィーカ、シアの三人と村長さんが居た。
「おぉ!!作戦は順調か?」
「作戦?」
「しまった……」
口元を押さえる姫様。
俺は、手首を押さえてもう一度聞く。
「作戦って何ですか?」
「え、えぇ~と、題して『イルシアを王都へ連れ帰ろう大作戦』だ!!」
「本人の意思は?」
「勿論無視だ」
「ボフスト、フィーカ連れて馬車まで運んで」
「い、いや、それがだな……」
困った表情を浮かべるボフスト。
これはこれで珍しいのかもしれない。
「どうしたの?」
「見てくれ」
村長含め三人の方向を見る。
「王都で店を出せば儲かりますよ~。私の父に頼み店を貸すことだってできるからな」
「う、う~ん……」
「わ、私は武器とか作りませんよ?それでも……いいのなら……」
「何故?」
「時と場合によりますけど……人を傷つける道具は作りたくないんです」
「軍事利用するならダメ……と言うことか?」
「この子の言い分もわかってやってください」
村長さんがぺこぺこと頭を下げる。
フィーカが悪役に見えるな……。
「軍事利用?」
驚いた声で隣の姫様が言う。
「何を言うか。その子を私……いや、私たちの侍女とするのだ!!」
ガッツポーズする姫様。
勿論、俺を含め周りの人はみ~んなきょとんとしている。
「お、奥様?」
「いいぞ。いいのだ。そう、来るがいい!!そして、私達の愛を語り継ぐがいい」
最後に本音が出ているような気もするが、まぁ武器を作らせないのならいいだろうという事で村長さんとは話がつき次は親を説得しないといけない。
まぁ、俺達より年下だから親が居ても不思議ではない。
簡単に説明をすると、感動のあまり涙を流し了承してくれた。
魔物はまだでるそうなので近くの城の小隊を置いておく事になった。
そして、俺は怪我した。
話が飛躍したって?
……よし、簡単に説明しよう。
まず、村から出発した。
山を一つ超え、夜になると姫様に捕まった。
俺は最大の交渉をし、シアを俺と姫様の間に入れることになった。
シアの寝相悪いな~。
わかっていただけだろうか?
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……その……、恩を仇で返すような事を……」
「無意識だし……いいいぃいたいぃい!!」
「面白いな。手の甲に踵落しを食らうとは……。っと、たぶん骨が折れているな」
姫様の簡単な診断が終わる。
骨が折れているらしい。
この子は格闘センスがあるらしいな。
「シア、回復薬とか錬金できない?」
「え、えっと……私には薬物の知識は無いので作れません。薬師さんじゃないと……」
どうやら明日になったらあのお兄さんにまた薬を作ってもらうことになりそうだ。
時間も掛かるし一人で残る事になるだろう。
「錬金で骨はくっ付けられないのか?」
「あ、それいいですね」
「ダメだ!!それは絶対やっちゃいけない!!」
失敗の予感だ……。
「フー、出発するぞ。できるだけ早くルティア城へ行くんだ。ボフストを気絶させろ」
「了解しました」
ボフストを一撃で気絶させるあの女。
やっぱり、フィーカは危険だ。
「では行くぞ」
こうして出発したのだが、偶に来る揺れで手首から指先にかけて痛みが走る。
そのたび、顔が歪み、そして二人から心配するような視線が来る。
しかも、二人とも美少女だ。
だが、俺はこの状態を不幸としか思えない。
まず、俺の右側にシア。これはいい。
しかし、左側に姫様がいるのだ。
手の骨が折れているというのに偶に指先で弄ぶ感覚で手を突かれるのはどうしたものか……。
無理という結論に達し諦める。
俺は城に着くまで死んだ。
生きる屍になった……。
☆
―――フィーカ 視点―――
何故か、生きる屍と化したクラを私が運び、姫様が薬師を呼びに行っている間、ボフストが目覚めた。
面倒なので気絶させたが、防具を買いなおして鉄の帷子の上から殴るのは感触が悪い。だが、直接殴ったら吐くだろう。それも嫌だ。
「しょうがない。クラを模擬案山子にでもして斬るか」
「……ハッ!!命の危険を感じる!!」
鋭い奴だ……。命拾いしたな……。
「ん?ボフスト?ボフスト!!死んじゃダメだ!!」
私は、クラの左手を思いっきり握る。本当は触りたくも無いのだが……。
「………」
「気絶したか……」
せめて何か叫び声でも上げたらすっきりするものを。
頭の中で毒薬の作り方の復習をしていると、姫様が帰ってくる。
「姫様!!」
「おぉ、殺さずに守ってくれた……何故かさっきよりも症状が悪化しているように見えるのだが……」
「き、気のせいですよぉ、全く」
とりあえず、シア見ておく。
姫様とは違うオーラというか……何かを纏っているように見える。
……イイかも……。っと、私は姫様一筋なのだ。きっと、あれは幻覚だ。
治療が終わったらしく、薬師の奴が薬を作りに部屋へ戻っていく。
私はそれを見送ると、クラを見る。
「……姫様に迷惑を掛けて……」
今すぐここで殺したい……。きっと、この感情はそうに違いない。
☆
―――姫君 視点―――
薬師の部屋に行くと、なにやら薬を作っている最中らしく部屋に鍵が掛かっていた。
が、関係ない。剣で扉を斬る。
「え?うわわっ、ちょ、あっ!!」
奇声ばかり発するコイツをクラの元へ連れて行く。
治療が終わると同時に、薬を作ると言って部屋へ戻っていった。
「……こ、これは!!」
クラが眠っている=キスがし放題
おぉ!!
しかし……寝込みを襲うのは何かに負けた気分になる……。
「フー、クラを起こせ。そう、起こすんだ」
「え?あ、あぁ、はい」
しぶしぶといった感じでクラを起こすフー。
私は、唇を嘗める。うん、これで大丈夫だ。
「ふにゃ?」
「クッ……」
こんな表情をするのは反則だろう……。
クラめ……やるな……。
「姫様?」
「フー、これは私の勝負だ。手を出すな」
「ま、まさか!!ダメです!!私は止めますよ!」
「何故だ!!何故私の愛を止めるのだ!!」
「何故ってそれは―――」
「ま、まさか禁断の……愛」
クラの事が好きだというのか……。
「そ、そうです。好きなんです」
何と!!
「な、な、な……そうだったのか……。まさか、こんな所に伏兵が……。だが、負けん!!私は勝つ!!」
「あ、あの……姫様?」
「すまんな、権力は使うものなのだ」
「え、えぇと……」
ふふふ、王都に着くまで待ってやろう。
フーよ、手加減なしで勝負だ!!
『後書きと言う名の雑談会』
作『前回、次回予告してなかったな……』
シタ『一時の混乱よ。では、今回ネタバレありの雑談に―――』
作『しないからな。そこは譲らない』
シタ『堅苦しいぞ。もう少し視野を広げるがいい』
作『……さて、自分が小説の中で一番好きな光景は、家族で食事をしている所なのですが、この小説には一切でてきません』
シタ『それはネタバレとしてギリギリか?なら、私もやらせてもらおう。実は私とクラは―――』
作『地球崩壊ぐらいの勢いで読者が減るのでNGとなっております』
シタ『しかし、今回は私だけか?』
作『多いと書きづらい(傷が増える……)』
シタ『それでも、少ない方だろうが!!』
作『な、殴られた!?(少なくても変わらないだと!?)』
シタ『さて、今回はしっかりやるぞ。次回予告だ』
作『次回!勝負は入学まで!決着はどちらにつくのか?『~聖剣伝説~ きっと恥ずかしさからくるものだと思う』④です!!』
シタ『武道大会……』
作『最後にそれを言うか!!』