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1週間に1回くらいのペースで投稿していきます



 今日は3人目のヒロインである私、猫宮乃愛と主人公の放課後イベントがある。


 ストーリーの内容は、放課後学校の中で探している私(ゲーム内の私)を見つけ、主人公が声を掛けてくれる。そこで私がキーホルダーを落とした事を伝えると、一緒にキーホルダー探しを手伝ってくれる。そんな優しい主人公にときめく私……そして2人は仲を深めていく……といった内容だった。


 昨日家に着いてからバッグに付けていたキーホルダーが無いことに気付いた時は本当にゾッとした。ゲーム通りすぎて。

 

出来れば主人公とはあまり関わらずに過ごしたいので、私はある作戦を考えた。

作戦名は「キーホルダーは諦めよう!」だ。

作戦名通りただキーホルダーのことは諦めて速攻帰る!それだけ!

 すごい可愛いデザインで、ゲーム内の私もすごく気に入っていたと思うけど、仕方ない。

 探し物をして主人公と関わる方がめんどくさい。


 **


 ……あっという間に放課後になったので作戦通り速攻帰ろうと立ち上がる。


「あれ、猫宮」


 後ろから聞きたくない声が聞こえた。

 無視をしたいけど隣に最推しである伊織くんがいるので精一杯優しい顔をしながら後ろを振り向く。(もし人之間 蓮だけだったら無視か睨みつけてた)

「いつもバッグにつけてたキーホルダーが着いてないぞ?」

 声の主はやっぱり主人公の人之間 蓮だった。

「ほんとだ。気に入ってたけど無くなっていたものは仕方ないね。」

 なんてヒロインが絶対言っちゃいけないような事を言う。

 すると更に隣にいた伊織くんが、「せっかく可愛いデザインだったのに、悲しいね」と会話を繋げてくれる。

 あぁいうデザインのキーホルダー可愛いと思うんだ。そういう所も可愛い!!

「っ……悲しいけどまた新しいの買いに行くから、大丈夫。」

 これなんかゲームのなかの私っぽいから好感度上がっちゃわないかな?

 チラッと人之間 蓮を見るとなんだか真剣な表情をしていた。

「猫宮って今日何か予定とかあるのか?」

「よ、予定?な、あ、ある!」

 あぶない。ないって言いそうになってしまった。

「そっかじゃあ良かったら俺今日何も予定とかないからキーホルダー探しておくよ。」

「え!?」

 それはさすがにいい人過ぎて焦る。やめて欲しい。

「……予定まで時間があるし、私も探す」

 あー。ゲームの中の私っぽい。

 なんて他人事に思えてしまった。


 なんだかんだ、主人公である人之間 蓮はいい人なんだと思う。優しいし、シンプルに顔がいいからモテるんだと思う。

 今だってまだ3日くらいしか一緒にいないクラスメイトの為にわざわざ放課後に落し物を探してくれている。

 今もしも、前世の記憶を全てなくして人之間 蓮に会っていたら好きになっていたかもしれない。なんて思ってしまうくらいに人之間 蓮はいい人だと思う。


 伊織くんは今日予定があったようで私と人之間 蓮の事を心配しながらも帰ってしまった。悲しい。

 出来れば伊織くんと一緒に探してフラグ立てまくりたかった。

なので今は主人公と2人きりでキーホルダーを探しているということになる。


 結局2人で話を少ししたあと校庭を探すことになった。

 探し始めてから30分ほどたっただろうか。

「……全然見つからないな」

 ボソッとつぶやく人之間 蓮を無視しながらひたすらキーホルダーを探す。

「猫宮は真面目に探してるんだな」なんて声が聞こえたような聞こえてないような気がするけどそれも無視する。


 ゲームをやっていたくせにキーホルダーが結局何処に落ちているのかは全然覚えていなかった。

 このイベントには伊織くんは一切登場しないからほぼ流しながらやっていたことに私は心から後悔している。


 先程、人之間 蓮には1時間くらい一緒に探して無かったらもう諦めると伝え、「わかった」と言われた。

 ふぅ、とため息を着きながら昨日のことを全力で思い出してみる。

 たしか伊織くんと一緒にいた時は外れていなかったはず。

伊織くんと離れたあとの事を思い出してみる。

 ……1番可能性として有り得るのは下駄箱なんじゃない?だってイベントっぽい。


 人之間 蓮の事を放置して下駄箱に行こうかと思ったけどさすがに一緒に探してくれるのに申し訳ないから声をかけることにする。

「……」

 ゲームの中の私はなんて呼んでいたっけ?

 いきなり名前呼びはきもいだろうから苗字で、くんはつける?付けない!?

 焦り焦った私は

「……人之間 蓮くん」と、フルネームに君をつけるという結構印象的な声のかけ方をしてしまった。

「どうした?」

 少しビックリしたようだったけど、声をかけられ直ぐにこちらを見てくれる。

「落とした場所どこか思い出したかもしれない」

「本当か?じゃあその場所に行こう」


 昨日のことを軽く伝え一緒に下駄箱に行く事にした。


一緒に下駄箱に行き探すこと5分

「見つけたぁぁ……!!!!」

 一瞬で見つけた。

「よかったな!」


 ……やっぱりいい人なんだよなぁ。


 結局キーホルダーは汚くなっていたので付けることは諦めた。

「一緒に探してくれてありがとう。」

「全然いいって、それより俺のことは蓮って呼んでくれ。それがお礼って事でさ。」

 とこれまた爽やかな笑顔で言われた。

もし私がゲームの中のヒロインだったら好感度がピロリンっと1つ上がっていただろうな。

 嫌だなあと思いつつも一緒に探してくれた仲だ。仕方ない。


「わかった。ありがとう蓮」

思わず普通に微笑みながら伝えると

「っ……!」

 少しびっくりしたような蓮


 ……もしかして今までの流れって全部ゲーム通り?

 無意識の家にゲームと同じことをしていた事にゾッとしてしまうが、この後予定があると蓮に伝えていたのでもうこのまま帰ると伝えた。


 蓮は送るよ(というか一緒に帰ろう)と言われたが普通に断ってダッシュで帰った。

 心の中でお願いフラグ立たないで……!と思いながら。


 

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