どこで(1/2)
みんなはどこへ行ってしまったのだろう。
深夜、幽霊が出ると噂のトンネルに一人きり。
コツンコツンと音がトンネルに響くのに前を見ても振り返ってもどこにもいない。
「ねえ・・・だれかぁ・・・」
弱々しい声でそう訪ねても返答はない。
一人警戒しながら途中まで進めた足を止め戻ることに決めた。
そこから十分、トンネルを抜けた。
突如、悪寒が僕を襲った。不安が恐怖が自分を支配する。
「どこに行ったんだ・・・」
悪ふざけにしてもやり過ぎだ。
一緒に来ていた友達どころか、自分の車さえなくなっている。
幽霊など比にならないほどの恐怖だった。
どう帰ればいい?どう・・・どうすればいいんだ?どうしようもない。
辺りは森。歩けば確実に遭難する。
考えれば考えるほど不安に陥る。
まずどうしてこうなったんだ。
みんなで心霊スポットに行って・・・僕がじゃんけんで負けて後から追ってくるって言って。誰も来ないで・・・帰った??
自分は何かしただろうか。誰かを傷つけただろうか。記憶にない。みんないつも楽しそうで。
でも現実、車は無く、置いて行かれている。
何か悪かったのか。わからない。でも何かが悪かったんだ。
ごめん。ごめん。
「ごめんなさい」
そう謝っても誰も来ない。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
何を謝っているかもわからない。そして誰も来ない。