7話「手紙」と「メール」って同じ意味だよね、ってお婆ちゃんに確認されたんだけど、……
「三春はクラブ活動に興味無いのかい?」
って、お婆ちゃんに聞かれた事があったんだけれど、……
私は、体育会系、文化会系共に特別何か得意だと思っているわけでは無かったので、あえて入ることは無かったの。
「べつに、興味無いし」
って、返事しちゃったけどね。
うーん、中途半端な気持ちで時間を無駄にしたくないと思ったとか、好きでもない事に振り回されたくないとか、……それが自分に正直だと思うの。
◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◆ ◇
放課後、いつも通り早々と帰っていると、正門の横でいきなり男子生徒に声をかけられた。
「突然で申し訳ないんだけど、これを読んでもらいたいんだ、覚えていないかも知れないけど、僕はこのまえプールで会ってるんだ」
そう言うと、封筒を私に、渡して去って行った。
プールで会ったって?
あっ、カエルーランドか……
会ったのは、お婆ちゃん、……男児とそのお母さん……それと…….はっ!!
「あっ、.……ライフセーバーの人!」
ライフセーバーの人、実は私と同級生だったのね、アルバイトだっんだ……、
封筒……
カエルーランドのチケットでもくれたのかな?
だったら、ラッキーだよねーー
私の部屋で読んでみると、これって
「ラブレター!」
「恋文!!」
ハモった!!
お婆ちゃん、飛びついてるし
「三春よ、他のなんかと勘違いしていたようじゃが、気持ちはどうなんじゃ?」
幽霊状態で、飛び跳ねちゃってる。
「うーーーん、私、興味無いし、初めて会ったような男の人と、……ありえないよ」
私の返事に、首を横に振り私の両肩に手を置くお婆ちゃん、……
まあ、重くないけど、なんか窮屈だな。
「いいや、よく考えてみな、あの人はおまえを良くみて好いてくれているのだよ、実は何人かワタシは良さげな男の人を選んでたのじゃょ、彼はその中の一人じゃし」
知らないし!
男子って性的に二心ありそうな気もするもん。
というか、
「それは、お婆ちゃんの趣味じゃん!」
お婆ちゃんは片手を離して手のひらをふる。
「ワタシはワタシ好みで選別したのじゃないよ、人を幸せに出来そうな男の人かどうか見ていただけじゃ、知らないからと突っぱねるのではなく、付き合ってみるべきだと思うよ、.他に好いた男の人がいるわけでないだろ?」
はあ、何言ってんだよ、
お婆ちゃんの「お墨付き」だと言いたいんだろうけど、
「お婆ちゃんは私に?よく知らない人と付き合えって言うの?」
「いいや、初めて会う人を邪険にするのはいかんというのだよ、ましてやお前を好いている人だよ」
うーん、確かにお婆ちゃんの言う通りだよ、もう少し考えるべきだよね、
でも、
「なんか、めんどくさいよ、私お婆ちゃんさえいればいいよ」
「ワタシは、お前に出会いを大切にする人になってほしいんだよ」
うーん、うん!
実にそうだよ、確かに、解るよ、
でも、それが私かな?私は心から……
私は、……
なんだか、めんどくさい……
「お婆ちゃん、私の問題だからほっといて、……
いや私、お婆ちゃんが居ればそれで十分だよ」
さあ、お婆ちゃん喜んで、……
あれ?お婆ちゃん私から距離を置いちゃう、……
「ワタシも長く居すぎたのかもねえ」
「えっ、……」
「ワタシ本当は死んで居ないんだよ…」
そうだった、私はあまりに居てくれて心地よかったから、永遠に居てくれると何処で思っていた。
お婆ちゃんをみてみると、一見いつも通りなのだけど、いつも以上に生気を感じる。
しかし今、私はゾッとした……。
私、ひょっとして地雷を踏んだ?
「いや、いいや本来、人は一人で考える時間が本当に必要なんだよ」
お婆ちゃんは、フォローするように微笑んでくれる。
「私はお婆ちゃんが必要だよ!」
とにかく、お婆ちゃんを抑えなきゃ、私はお婆ちゃんに永遠に一緒にいて欲しい、
「いいや、よく考えておくれ、最近は全てお前が自分自身で出来ているだろ?」
確かに、私の生活は変わったし、様々な変化に気付いてもいる。
それは、お婆ちゃんが居てくれたから、だから、
「それでも私には必要だよ!」
お婆ちゃんは微笑んでくれるが、
「三春、お前の周りの変化がワタシと一緒だったから、と言いたいんだろうけどそれは違うよ、思い出してごらん全てお前の実力ではなかったかね?」
お婆ちゃんが、何かを決意した目をしている事に私は気付いて、私は何も言えなかった。
「これからは色々な出会いがあるし、それに
合わせる必要もあるさ、でも必ず別れは訪れるんだよ」
確かにそうだよ、
でも何も言えない……
「だから、出会いは大事なんだよ」
お婆ちゃんは、いつになく真剣な表情をしている。
うん、……お婆ちゃん……とうとう逝っちゃうのだね、決心が解るよ。
死神さんが言ってた、……いつかは逝くのだと、いや逝くのが本当だった。
私は、知っていた。
でも、忘れていた、……
いや、忘れていたかったのだろうね。
本当に、逝くのだね。
短い間だったけど、 私は本当に、色々お婆ちゃんに教えてもらえて、私は色々救われた。
それだけでなく、本当に楽しかった。
私は、それを伝えるべきなのを解っていたけど、言葉が出なかった。
「三春よ、短かったけど本当に楽しかったよ、ワタシには本当に娯楽じゃった。
ありがとう……」
八重は、懐からカードを取り出しボタンを押す。
何も起きない、
故障、……いや、こういうのは誤作動を避けるから、……
「ひょっとして、長押しじゃないの?」
カードを渡してもらって長押しをしてみた。
お婆ちゃんの姿が消えてゆく、
何か言わなきゃ、……
「私こそ、ありがとう楽しかった!」
やっと、言えた!
お婆ちゃんは、笑顔で消えていった。
祭りの後のような静けさが残ってしまう、……
「あーーあ、一人になっちゃった、静かだな、静か過ぎるよ」
本当に静かだ、……しばらくぶりの一人、いつかはこうなると知っていた。
でも、考えたくなかったんだよね、でも考えるべきだったね。
ラブレターか、……
出会いは、大切にしなきゃ、本当にそうだよね。
明日も学校だし、寝なきゃ……
とりあえずトイレっと……
ドアを開けると、……
そこにシルベスター.スタローンが立っていた。
「わぁお!ランボー!?」
「こんばんわ、死神203号です。
三春様、……貴方様に報告しなければならないと、思いましてな」
203号さんは、お辞儀をしてくれる。
「はい?」
203号さんはタキシードの胸からサングラスを取り出し、私にかけてくれた。
「えっ、お婆ちゃん!」
お婆ちゃんが手を振っている。
それも、会心の笑顔で!
203号さんはイヤホンも付けてくれる。
「このたび、貴方との成長が評価されましてな、守護霊に昇格されました」
へーーー、それって、……
203号さん、イザナミ様、ありがとう!!
「今までのように見えたり、触れたりは出来ないけど、側に居るからね」
お婆ちゃんは、Vサイを作ってる。
うん、……
「よろしくね!!」
心から嬉しいよ!!
この作品を始める時なのですが、とりあえずは、良いネタだと思っていました。
そして、この回で完結となりました。
今になって思うのは
「もう少し続けてみても良かったかな?」
でした。
そういう可能性を秘めた作品なのですよね。
出会えて良かったです!
ありがとうございました!