4話「甘いお菓子の後に辛いお菓子を食べたくなるのは皆同じかなあ?」と、三春が聞いてきた。
最近、三春の中に入って感じる事は、ずいぶんとしっかりしだしている、という事、……
それは勉強が出来るかどうかではなく、積極的な考えを持つようになった。という事じゃな……
また、それに比例するように学校などではも頼られる事が多くなってるし、男女問わず人気が出ているのじゃ、じつに良い事じゃな。
今までワタシを頼りにする事が多かったのが、少なくなったのは少し寂しいがな。
ただ気になる事は、ワタシに対する意識が、……異常でな、……
これを「愛」と思って良いのか?
最近、身の危険を感じる時があるぞ(いや、ワタシには身体はないがな)
それに、三春は「男」には興味が無いのか?
いや、学校へ行って男子とも話をしたりするが、わかりやすく言えば、女子の中には親友からモブ、中には敵も少し居るが、……
はっきり言おう!
男子は全員モブなのじゃ!
ただ単に機会が無かっただけかもしれないが、少なくとも、緊張とか、トキメキとか、恋心とか、愛情という感情とは無縁だだったのじゃ。
戦後の日本の時代に駆け落ち同様で結婚したワタシの孫娘にしては、意外な事じゃ、……
ちなみに、駆け落ちを扇動したのは、ワタシじゃった(ワタシの旦那は、優秀なわりに積極的な人ではなかったからな)。
何も無い時代じゃったから、せめて好きな人と結婚だけはしたかったのだよ。
そういった経験から、ワタシは多少は男を見る目には自信があるのじゃよ、当然三春に好感を持っているかどうかも合わせて、……そうじゃな、ワタシのお墨付きは三人ってところか、この三人ならワタシは、……
イエス、ウエル、カム!!
じゃ!!
ただ、本当に三春の恋愛に対する、興味の無さは問題じゃな。
◇ ◆ ◇ ◆ ◆ ◇◆ ◇ ◇
私はお婆ちゃんに敵わないと思うのは、料理かな?
正直、洋裁なんてものは趣味でやってるので自信を持つているの、しかし料理は自分からした事がなかったな……
そういえば、お婆ちゃんの作ってくれたのはどれもこれも私の口に合ったよね。
そうだ!
「お婆ちゃん、家庭科の調理教えてくれる?」
「ああ、良いよ…」
うん!お婆ちゃんの二つ返事!
だから好き!
家庭科の授業が始まり、先生の説明の後、実習が始まる。
お婆ちゃんが、段取りを教えてくれる。
料理番組などでは計量しながら進めていくが、……
お婆ちゃんは違った!
「だいたいこれくらい」
お婆ちゃんが、念じてイメージを私の頭の中に浮かべてくれる。
調理を進めて、
切り方、火の大きさ、調味料も念じて、
「だいたいこれくらい」
それを繰り返していく。
「だいたいこれくらい」
周りの目をかわしながら進めていく。
「だいたいこれくらい」.
あれよあれよと、出来上がってゆく。
「だいたいこれくらい」
お婆ちゃんの、念じているイメージに近づいているのがわかる。
味見をしてみると、
「美味しい、……私この味好きだな」
これは、成功だ!
「お婆ちゃん、変わって」
「えっ?」
「変わって!」
お婆ちゃんは、察してくれたのか笑顔で変わってくれた。
そして、食べてくれる。
「ああ、美味しいよ!」
やった!
思えば私の手料理で本格的な手料理を食べてもらえたのは、初めてだよ!
片付けの時には私に変わり、授業が終わると私はお婆ちゃんに聞いてみた。
「お婆ちゃんって、どうやって料理を覚えたの?私、お婆ちゃんが料理本を見てるのを見たことないし」
すると、お婆ちゃんは笑って
「そんなの無いよ、そりゃ味付けの順番は誰かに聞いたし、健康的な方法とか、本を目を通した事もあるのじゃろうが、基本は家族じゃよ」
「家族?」
「家族に作って、家族に美味しく食べてもらえたら、それが正解じや、それがその家の家庭の味になっていくんだよ」
へーーー、私の中で一つ理解した。
「お婆ちゃん、私達の口に合わせて料理を作ってくれてたんだ、いつも美味しいはずだよ」
今度は、お婆ちゃんの口に合わせて私が料理を作ろう!