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3話「飴と鞭ではどっちが効果的なのかな?」って、お婆ちゃんがぶつぶつ言ってた。

ワタシは今まで気づかずいたのじゃが、

ワタシに対する三春のなつきかたが尋常じゃないんじゃな、三春の身体に入っておる時にワタシなりに調べてみたのじゃが、昔孫娘が溺れていたのをワタシが引き上げたのを鮮明に覚えているようじゃ、……


あれは、ワタシの育っていた海に一家で海水浴に来ていたときの事じゃった。

数件の家族で浜が混んでおったので、ワタシは念のため浜辺で警戒しておったのじゃが、よりによって三春がゴムボートから滑り落ちたのじゃよ……

そのときにワタシが飛び込んで引き揚げたのを覚えているのじゃな、……


三春は海に落ちたのがトラウマになり、ワタシがよほどカッコ良く見えたのが、愛情が尋常じゃない原因の一つになったのじゃな、……


うむ、何にせよまずトラウマをなんとかしたいところじゃな。


そうじゃ、良い事を思いついた。

ワタシの飴と鞭でトラウマを乗り越えさせようじゃないか。


ちなみに、ワタシが泳ぎがどうして達者なのかって?


ワタシの生まれた頃は今のようにスーパーなんてのは無かったのでの、海辺に住む者は海辺で漁れるものは獲って腹の足しにしたものじゃよ、

ワタシの旦那が海から離れた街に住まなければ、ワタシは海辺での仕事に正式に就いておったかもしれない、例えば海女とか、……

今は、そんな事はどうでもいいがな……


◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◆


三春の授業に今日も体育は水泳になっている。

「三春や、今日の水泳はお主で行こうと思うのじゃが」

「えーーーっ、お婆ちゃん泳ぎが得意なのにーー」

「本来、おまえのための授業だしねぇ、三春が結果を出さなくてどうするんだい?」

「私、金槌なんだよ、……」

「大丈夫、ワタシが付いて教えてあげるよ」

「本当に!」

三春の会心の笑顔に、ワタシはうなづき、ともにプールに入る事になる。


にしても、これは必要なのかの?

じつは霊体は人生経験によって姿を変えれるものでワタシの場合赤子から老婆まで変幻自在なのである。


で、三春の強い願いによりワタシは20歳頃の姿でビキニを着ている。


ワタシは若い頃に着たことが無かったのに、……記憶の仕業か?

とりあえず三春の前に出てみる。

「わーー……、小柄だけど、胸が大きい、……綺麗だよ!」

そんな目で見るんじゃないよ!


確かに今のワタシの姿は、ワタシの二十歳頃の姿であり、健康的なプロポーションをしているが、それは80を超えての身体では教習は無理だと思われたからなのじゃ……

「やはり、可愛いかったんだ、……しかもボンキュッボン……いいなぁ……しかも美乳で……いいなぁ……」

この孫は、ぶつぶつ言ってるし、……


ワタシは三春に憧れと興奮目で見られて恥ずかしくなったが、ワタシと三春は更衣室を出た。


周りの人たちにはワタシは見えておらず、三春ひとりで歩いているようにしか見えていない。

しかし、三春には見えるし、さらにワタシは三春にはワタシの肌と力を感じられるように霊体を強くした。

当然、他人には毛ほども感じることはないがな。


さあ、特訓の開始じゃ!

特に自由時間には……

手取り、……

足取り、……

腰取り、……?

それこそ、一体になりそうなくらい密着させながら水に逆らわない泳ぎを教えていく。


暫くすると、三春の身体から緊張が取れ、ワタシが触れなくても動揺しなくなっていた。


ふむふむ、水に対するトラウマは無くなったようじゃな、……

水泳の型も出来ているし、……

後は……


三春は、順調に泳いでいる。

三春が目標の端まで泳ぎきったとき、ワタシが飛び込み台から頭を撫でてやる。

「よく頑張りました!……じゃな!」

「えっ!……はぶぶぶ……はぶぶぶ…」

三春は、ワタシがついて泳いでいないことに気づき、溺れたふりを始めた。

しようのない孫じゃな。

「授業での水泳の評価でクリア出来たら何か言う事聞いてあげるぞ」

「えっ!本当!」


そうして、数分後、……

三春は、評価をクリアしてしまった…。


その日の寝る前、若い頃の体で様々なコスプレをさせられた挙句、若い頃の体のパジャマ姿で添い寝をする事になってしまった。


待てよ、……

ひょっとして、……

飴と鞭のはずが、……

ワタシは、飴しかあげていないんじゃないのか?

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