表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

2話「ワタシはベテランとルーキーどっちなのかね?」って、お婆ちゃんに聞かれた。

私をお婆ちゃん子と呼ぶ人は多くいるけど、……

「お婆ちゃん子」

ふん!そんな生易しいもんではないわよ!

夏にはかならず思い出すの、……5歳の頃の私が海水浴場でゴムボートから落ちた時、お婆さんが潜って助けてくれた事を、恐怖で萎縮している私を抱きしめてくれた事を、柔らかな身体で私を包んでくれた事を、……

私にとってはお婆さんは、ヒーローであり尊い愛の存在なの。

そして今日は、

「私の体にお婆ちゃんが入って、私の姿をしたお婆ちゃんを私が見ている。

眼福だなあ……」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


ワタシは80歳の身体に入っていたんだからね、単刀直入に言わせてもらうとね、……

15歳の身体は良いわーー本当に、何より足腰の軽い事、目がよく見えるし耳も良く聞こえる。頭の回転の速さもなんか全然違うし、……

勉強や運動を面倒くさがるなんてありえんわな、ワタシにとってはこの子の身体!

「まさに、パラダイス!!」

……つい、声に出してしまった。


えーっと、今日の授業は、1数学、2体育、昼休みに、3国語、4家庭…じゃな。


感想は、数学は算数の延長だとわかった。

ただ、ルールが分かっとらんと付いていけん、……

いや、そこが鍵なのじゃな。


体育は、この日水泳じゃった。

ワタシは、自身が海辺で育ったもので、泳ぎは達しゃなのじゃよ、先ずは水に逆らわない事じゃ、後は行きたい方へ掻く、蹴るじゃな。

泳ぎは海辺での子では必須じゃ!

……、最近ではそうでもないか……


自由時間で 調子乗って泳いでいると、三春が耳元で

「お婆ちゃん、やりすぎ!目立っているよ」

たしかに、注目されていると思ったが……


「三春は泳げないんじゃなかったっけ?」

クラスメイトが尋ねてくる。


しまったーー!三春は金槌じゃった!

「ちょっと練習したの、でもまだ無理……」

三春がすかさず入れ変わって、実演してみせる。

見事に泳げない、

……というか溺れている。


「つーーか、さっきすごかったのにね?」

クラスメイトは納得しているものの、怪訝な顔で散っていく。


「やっぱり、変わってくれる」

三春が、再びワタシと変わったが、落ち込んでるのが分かった。

あくまでも初心で、動きを鈍く、ってか……それって難しいのじゃよ。


気を取り直して、昼休み!

昼食が美味しい!

窓際の席で入ってくる風が気持ち良く、昼寝にはぴったりなんじゃよ。

この昼寝は……

人生の旅のオアシスじゃな!


国語じやが、なんとも漢字を覚えるのが大変じゃな。

日本語ってこうして観ると複雑なんじゃな、長年生きてきたが納得してしまったよ。


家庭科では、調理実習だったんじゃが、長年主婦をしていると、……

普通に段取り良く、調理を進めていってしまった。

包丁を研ぐのも、包丁で切るのも、思いのまま、……材料を見れば何が出来るかもわかるし、……

「まさに、ワタシの、エ、リ、ア、……」

浸っていると、 ……


「三春って、料理のプロみたい」

クラスメイトに言われてしまった。


「へっ?」

三春が瞬時に変わってくれる。

「そんな事無いよ、私は何も出来ないし」

三春はすかさず入って、……

水泳の時とは違って、私に何も言わずに出て行った。


さすがに、怒らせたかな、……?


そこからは、ワタシはあまり手を付けず、目立たないようにしたが、主婦でない子供達と合わせて主婦業をするのは難しいものじゃな。


ワタシは就寝時に三春に謝まった。


「うううん!かっこよかったよ!

私、また見たい!」


ワタシはどうすれば良いのかね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ