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救うべき者達の為に

「…………それで、生産状況は?」

「芳しくはありません」

 療養所の設置者の問いかけに、言葉を濁した報告があがる。

 そんな報告はずっと続いている。

 それこそ活動開始の頃から。

「難しいものだな」



 困窮してる者の救済。

 その為に続けてる活動。

 しかし、依然として状況は変わらない。

 誰かを救っても、まだ救われてない者が残ってる。



 例え救う事が出来ても、それで終わりではない。

 食べ物を与えてるだけでは終わらない。

 そもそも、何時までも粗末なものを出してるわけにもいかない。

 少しでもまともな料理を出せるようにしていかねばならない。



 最低限の事が出来たらそれで終わり……ではないのだ。

 そこから更に底上げが必要になる。

 おかげで状況が良くなる事はない。

 何か一つ達成すれば、次の目標が出てくる。

「芳しくない」という報告は、その為に無くなる事はない。



 特に生産状況。

 これが好転する事はない。

 貧困や困窮を解消するには全然足りない。

「厄介だな」

「まったくです」

 設置者も報告者もため息を吐く。



 療養所で提供する食事。

 様々なな道具や機具。

 これらを手に入れるために、設置者達も生産活動をしている。

 ようは、労働だ。

 それによって賃金を得て活動にあてている。



 それだけではない。

 少しでも自前で調達しようと、活動の幅を拡げている。

 農作業をしたり、製造業に手を出したり。

 高度な製品を作るには至らなくても、自前である程度賄う事で出費をおさえている。

 また、多少なりともそこで作られたものを売って資金を得ている。



 こうした活動資金や資本を得る行動。

 それを設置者達は生産活動と称していた。



 これがなかなか思うようにいかない。

 活動規模に得られる資金が追いつかない。

 更に活動を拡大したいのだが、生産活動が追いつかない。

 どうしてもどこかで頭打ちになる。



「寄付も集まらないか」

「以前よりは増えてますが」

 そこも頭の痛い問題である。

 世の中の多くの人間は苦しんでる人を助ける事に関心がない。

 その為、寄付はそう集まりはしない。

 だからこそ設置者達は、生産活動を自ら行う事にしたのだが。



 その生産活動もままならない。

 世の中、上手くいかないものである。



「まあ、仕方が無い。

 頑張っていかねば」

「はい。

 状況を改善する努力はしていきます」

「頼む、少しでも多くの人を救うためだ」

「もちろんです」

 設置者も報告者もそう言ってやるべき事に目を向けていく。



 立ち止まってはいられない。

 やらねばならない事はまだあるのだから。

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