夜這いなんざするか!
探索者互助組織に登録した次の日、時間帯は4時である。買った家から外へと出て散歩する。ただの散歩ではなくタブレットを使い装備を揃えていく為の暇つぶしみたいなものだった。付近に公園もあるしそこに行こうとふと思い立ったからだが。
「装備に関しては今から製造するか……ただの鉄剣、じゃあダメそうだからタングステンを中心にミスリルで覆うかね」
製造をダンジョンの工場に指示し次に和弓を考える。あれって確かハゼノキって木だよなぁ……いや別に和弓である必要は無いか、弓が使えるなら他の種類の弓も使えそうだ。無理だとしても威力重視で変えてもらおう、命には変えられないからね。
「ならコンパウンドボウかな。確かあれって銃弾なみに速く、強いらしいし」
こちらの素材はミスリルオンリーで行こう。糸の部分は化学繊維じゃダメだな、てことはサタナグマスパイダーの繊維を使おう。アホみたいに頑丈だしな。
「んで俺の装備だが……オールラウンダーってことにしてるから何でもこなさないといけない」
遠距離は魔法でいい。中距離ってのは槍を使おう。だが近距離はどうしたものか……ま、なんとかなるか。斥候に関しては俺自身が加速するし、技術的に気配も消せる。なんら問題なかったか。
「ヒヒイロカネ製の槍作りますか」
しばらく散歩し、装備が揃った上で家に帰ると既に2人は起きていた。すると意外、みたいな顔をこちらに向けてくるではないか。なにが意外……?
「きっと夜這いすると思ってたっす」
「え、俺どんなふうに見られてたんだ……?」
「今までの行動見返すといいわよ」
言われた通りに今までの行動を少し見返そう。確かこいつらに会ったのはなんかやべぇヤツらに絡まてたからだったな。それで助け出すために奴らを油断させてからの電気ショックだろ。そのあと警察に事情を話し、ファーストフードで会話して偽造したマイナンバーカードを渡し、探索者互助組織で登録することにした……と。
「割と怪しいなぁ」
「納得してくれたっすね」
「そもそも偽造なんて技術を持つ人を信用なんて簡単に出来ないわ」
「何も言えねぇなぁ……」
思わず苦笑いが漏れる程度には自分自身に呆れた。確かにこれはなんかあるんじゃないかって疑われるわな。
「それに私たち太郎さんに借金があるっす」
「借金だぁ?」
「探索者互助組織に登録する気との料金よ、私たちは借金だと思ってたんだけど」
「そんな気微塵もなかったなぁ……別にあの程度端金だし」
実質無限だけどね。無闇矢鱈に使う気は無いし、地球で探索者としてやって行けたらそのデータは消して普通にやっていくつもりだ。
「それでも私たちはスッキリしないっすから借金ということにしたいんすよ」
「にゃるほどねぇ」
まぁそれならいいかな、なら一応借用書作らないといけないが後だな。今やる事ではない、多分。
「それでいいなら俺は構わんよ……ほれ、ダンジョンの話に移るぞぉ」
「はいっす」
「どんな話をするのかしら?」
【ミスリル】
非常に柔軟性のある摩訶不思議金属、硬さと柔軟さが物理的に再現不可能と言われている。現在は魔法により生成できないか研究中。主に発掘される場所は鉱山系ダンジョン、動物系ダンジョンやダンジョンで時折生成される宝に入っている。主人公の場合は人造で作っているため非常に安価で手に入る。生成の仕方は魔力を銀が蒸発するほど注ぎ、凄まじい圧力をかけて物質化すれば出来上がる。主人公はどっから銀を調達してんだよ……宇宙船型モンスターのドロップ品?あ、はい。
【ヒヒイロカネ】
実はこいつ鉱石の性質を持った、通常時は液体の宝石である。オマケに不思議なことに特殊方法で異常に固くなるという性質を持つ。加工する時は液体化してるヒヒイロカネをハンマーで叩き続け、固くなったら加工ができるようになる。多分ダイラタンシー現象とかそこら辺の類だと思う、魔法があるからよぐわがんね。なお加工する時が一番大変な模様。主人公はヒヒイロカネをどこで手に入れてるの?え、ヒヒイロカネスライム……?そんなのが宇宙に居るんだ……怖。
【サタナグマスパイダー】
宇宙空間を糸で移動するやべぇやつ。糸を噴射する時の最大速度は光を超え、空間が歪むほど。その歪んだ空間が正常に戻る瞬間の勢いを利用して移動する。そのせいか度々瞬間移動する、多分狙ってる。主人公は奴らの卵を全勢力をもって回収したおかげで養殖ができている。なお他にも宇宙規模のヤバいやつらを養殖している。宇宙空間をワームホールで泳ぐ魚とか、流星群に紛れて走る牛とか。なお一番ヤバイと言えるやつは現在主人公と共に地球にいる。