第77話:vsスケルトン
どもどもべべでございます!
今回は、ヘナちゃんを出した時から想定していた展開をご開帳!
どうぞ、お楽しみあれー!
即座に戻り、ハノン達に情報を伝える。
スケルトンは、ダンジョン外でも発生する恐れのあるモンスター。それ故に、誰しも名前くらいは聞いたことがあるだろう。
白骨死体がアンデット化し、動き出した存在。肉がついたまま動くリビングデッドと双璧を成すくらい、アンデット系ではポピュラーな相手だ。
「スケルトン……勉強したことはあります、ね。見たことは無いんですが」
『そうそう無いだろうな。白骨化が進んでからアンデット化するよりも、先にリビングデッドになるだろうし』
「いや、リビングデッドもないんですけどね?」
コイツらの厄介な点は、強さが読めない所にある。
スケルトンは、生前の力を丸々残してアンデット化するからだ。弓士だった者は弓を使うし、魔法使いだった者は魔法を使う。
もちろん、生前とくらべて筋肉とかは無いわけだから、力は落ちてるし機敏でもない。しかし、生前の強さがそれを補う所まで行っていたら、途端に厄介な存在となる。
それは、ダンジョンに生み出されたスケルトンでも一緒だ。
一説ではアンデット系ダンジョンでは、食った奴の力を器に移してアンデットにする、なんて説もある。
今回見えたのは、剣士タイプが3体。前のめりな構成故に、如実に相手の強さに難易度が依存するだろう。
「……退く、べき?」
「うぅん、そうですね……」
さて、どうするかね。
出口がどちらかわからない今、先ほど言ったように戦って判断するのが一番手っ取り早い。
しかし、スケルトンではランダム性が強すぎて、判断としては付きにくいところだ。
ここは、ハノンに判断を任せてもいいだろうな。
「……戦いましょう」
『ほう、逆の道を進まないのか?』
「はい。あの、ぶっつけ本番で強い奴に当たる前に、この3人でどこまでやれるのか……見ておきたくて」
なるほど、いい判断だ。
確かに、フロキアやオリアンティが居ない状況で、どこまで戦えるかを見ておくのは必要だな。
「……で、でも……」
「どうしました? ヘナさん」
「……て、敵、3体……私と、兎さんで、2体抑えても……その、残りが……」
「あぁ、僕に来たら大変ってことですね。確かに……」
ふむ、確かにな。
先程までなら一体くらい何とかしてみろと言っていたが、今のハノンには盾が無いからな。
流石に、万全ではない状態で、魔術師と剣士でタイマン張れなんて言えないな。
『特に、スケルトンみたいなアンデット系は、どいつを狙うかなんて読めんからな。威嚇も効果薄いし』
「うーん……」
今の俺らの布陣は、以下の通り。
・俺、前衛、物理攻撃型。
・ヘナ、前〜中衛、防御型。
・ハノン、後衛、支援型。
バランスが取れているようで、均衡が崩れやすい構成だ。
『せめて、ターゲットのばらつきを抑えられれば、対処のしようもあるんだがな』
「そうなんですか?」
『あぁ。俺やヘナじゃなくて、ハノンも狙われる可能性があるって状況が、気を張りすぎて変な判断ミスをしかねん。それよりは、むしろハノンは分断行動して隠れてもらってた方が……』
「それです!」
「フシッ?」
どれだ!?
ハノンの叫びに、俺とヘナの毛が逆立つ。
隠れて待ってるって事でいいのか?
「対象が多くて、一人が脆いから不安なんですよね?」
『あ、あぁ』
「だったら、対象を減らして、硬くなればいいんです」
うん?
……おぉ、なるほどな。
ハノンが何を言いたいのか、ようやく理解できたわ。
俺とハノンの視線が、ヘナに集中する。
「……な、なに?」
「ヘナさん。お願いがあるんです」
ハノンがヘナに説明し、ヘナが目を見開く。元から眼球しか見えないけど。
その後、ヘナの意見とすり合わせたが……どうやら、その案は実現可能らしい。ヘナ自身も戦闘に不慣れな分、有難い提案だったようだ。
「よし、これで後は……」
『アイツらをぶちのめすだけ、だな』
「ち、ちょっと言い方悪いですけど、はいっ」
さて、初めての試みだから、どうなるかはわからん。だが、これが上手くいけば、ハノンとヘナは結構いい線行く戦いが出来るんじゃなかろうか?
「……で、できました」
ヘナの準備が終わり、問題が無いかを確かめる。
ハノンも、今のところ違和感はないらしい。
よし、それじゃあ……行こうかね。
◆ ◆ ◆
『カタカタカタ』
『カタカタカタ』
スケルトンが、俺たちを認識する。
それぞれが得物構え、明らかな臨戦体制だ。
1体は剣と盾、残りは剣のみ。盾持ちがこの中ではリーダー格だと思っていいかね。
『よしっ、行くぞハノン!』
「はいっ。ヘナさん、よろしくお願いしますっ」
「う、う、うん……!」
俺が跳躍し、ハノンが【盾】を構える。
「フシッ!」
盾持ちスケルトンの眼前に躍り出て、開幕の一発。
その蹴りは案の定、盾に受け止められた。だが、所詮はスケルトン。
俺が足を振り抜くと同時に、盾が思い切り弾かれる。筋肉がないと、踏ん張れないからな。
フロキアがいればここに追撃をしてくれたんだろうが、今は俺だけで対処せんといかん。
『カタカタカタ!』
盾持ちは俺の相手をしてくれるらしい。
もう一体もこちらへ来た。ここまではよし。
3体目は……チッ、ハノンか。
ハノンがウォーターシールドの詠唱を始めるよりも速く、スケルトンが剣を振り下ろしてくるのが見える。
同時に、俺の所に来た奴も攻撃をかましてきた。避けるのは容易いが、こうなるとハノンのフォローが出来ん。
「っ!」
だが、ハノンは相手の攻撃を【盾】で受け止め、逸らす事に成功する。
ダメージはゼロ、か。うん、中々相性がいいみたいだな!
「ありがとうございます、ヘナさん!」
「う、うん……!」
ハノンが話しかけているのは、例の盾。
その盾は真っ黒であり、網目が重なり合って出来ていた。
何重にも重なりながらも、重量はハノンが楽に立ち回れる程度。それでいて、剣も突き通さない程に頑強だ。
なにより、喋る。こんな不可思議な盾、俺ですらお目にかかった事はない。
そう、その盾は、ヘナが変質して出来上がったものだった。
「『水よ、命の源よ。主を守る盾となりて、潤いを持って事を成さん』……【ウォーターシールド】!」
ハノンが水の盾を構築し、ヘナの盾をスケルトンに向ける。
その瞬間、盾から柱みたいな塊が伸びて、スケルトンの頭蓋にクリーンヒットした。
スケルトンの頭は吹き飛んでいき、違和感にカタカタと身を揺らしている。
ハノンがヘナに頼んだ事。それは、盾の形態になれないか、というものだった。
器族の形状変化は様々だ。自分で戦う者もいれば、誰かと共に在る者もいるという。
ヘナは、掌サイズになって運べるというタイプで、かつ防御型の器族だ。ならば、盾になって誰かを守れるのでは。そう考えたハノンの案は、見事に功を奏す事となった。
『カタカタカタ!』
『さて、俺は安心してよさそうだな!』
体勢を立て直すのに行動を消費したスケルトンの足に、追撃の蹴りを叩き込む。
膝を割られ、バランスを崩したのを確認して、もう一体の剣持ちと対峙。常に一対一を意識すれば、死ぬ事はない。
首が無くなったスケルトンが、再度ハノンに剣を振るう。しかし、今回の一撃は力任せのものだ。それでは剣の強さを全く発揮できないだろう。
案の定、ウォーターシールドによって威力を殺されたその一撃は、ハノンによっていなされた。
ダメ押しとばかりに、ヘナからのカウンターで壁際に吹き飛ばされている。
ヘナの攻撃は、威力を度外視して相手を吹き飛ばす事に特化したプッシングだ。これもまた、ハノンと相性が良さそうだな。
「『清浄なる水をここに。我が敵を打ち倒す槍となりて、天翔け突き進まん』……ウオータースピアっ!」
吹き飛ばされたスケルトンに、ハノンの魔法が撃ち込まれる。
威力はさほど高くないが、これを繰り返していれば、無傷でその場を凌ぐ事が出来るだろう。
さて、つまるところ……現状俺たちに、負ける要素は一切無い。
かと言って油断も慢心もしないが、この結果は良い判断材料になるな。
『カタカタカタ!』
連携もクソもなく、振るわれる一撃を角で受け流す。
同時に、その無防備な骨盤に、思い切り蹴りを放った。骨盤を砕かれたスケルトンは、立つこともままならなくなり、その場に崩れ落ちる。
1体が行動不能。もう1体は足が折れて、最後のは距離を取られて攻めあぐねている。
初めての、ハノンのアンデット戦。
それは、ヘナという最高の盾のおかげで、難なく突破出来たのであった。
さて、追加をば。
私、TRPGで大好きなプレイングがあるんです。
それが、『無機物キャラになって誰かに装備してもらう』!
これが大好きなんですよ。
ヘナちゃんを出したのは、ハノンくんに新しい力と仲間を提供するため。
そして、私の欲求を満たすためです(キリッ)
これにより、ハノンくんはオート反撃機能付きの盾を手に入れました。
これなら、弱いハノンくんでも、ヘナちゃんと協力して前線に立てるはずです。
やったね!




