第37話:魔法の、師匠?
どもどもべべでございます!
昨夜、嬉しい事にレビューを頂いてしまいました!!
レビューが来たら押し込み時! という訳で連日投稿ですとも!
正樹さん、ありがとうございます~!
という訳でご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~!
俺とハノン、そしてフロキアが3人で訓練をするようになって、更に数日が過ぎた。
ハノンは、フロキアとパーティを組んでから、進んで行動することが増えてきた。一番の率先的行動は、盗賊ギルドに東の国への情報を漁ってもらうよう頼んだ事だろう。
滅んだであろう自分の故郷の情報を得るという点は、ハノンの行動理念の中枢だからな。訓練で経験を積み、フロキアという仲間を得た段階で、ようやく調査を依頼できた形になった。
あのギルドの微笑み野郎も、「東の滅んだ故郷ねぇ……とりあえず、お金はたんまりいただくからそのつもりでね?」と乗り気の返事を見せてくれている。まぁ、ひとまずは収集待ちって事だな。
「あ、あの、ヴォルさん……」
『んぁ?』
ハノンは俺達に教えられた事をしっかり反芻して、自分の物にしようと頑張っている。ペースは遅々たるものだが、俺の直線的な動きならば、なんとか追えるようにはなってきたみたいだ。
そろそろ、少し動きに工夫を入れてみるかな。フェイントや機動的な動きがくわわれば、またハノンに課題ができる。ハノンはそういう、課題を一つ一つこなしていくタイプみたいだしな。
「そろそろ、何かお仕事しないと……竜の息吹亭に、いられなくなるのでは……?」
訓練の最後、お決まりの柔軟体操をしながら、ハノンが話しかけてくる。
線の細いハノンは、見た目通り体が柔らかい。前までは前屈に限度があったが、体を解した今ならばぴったりと地面に顎がつく。
この辺りは、才能があると言えるな。体は柔らかいに越したことはない。
『あぁ、そうだな。この前の依頼で竜の息吹亭に払った金額は、ここ数日分だったから……また後二十日程になっちまったか』
ハノン達が受ける予定の依頼を考えると、そろそろなにかこなしていかないと、すぐに期限になっちまうな。
ハノンも、1対1で俺の突撃を防げる程度にはなったんだ。ゴブリンには勝てないだろうが、それ以下の魔物とやり合うのは良い経験になるかもしれん。
まぁ、攻撃はからっきしなんだが……。
「フ、フロキアさんは……どう思います?」
「ん、そうだな……私も同意見だ。というか、既にもう、竜の息吹亭に泊まるには厳しくなっている」
フロキアもまた、ゴブリン討伐で大枚貰っていたんだろうが、流石に金貨とまではいかなかったらしい。
現状、俺らと同じ所に泊まり続けるには無理があるみたいだ。
「しかし、せめてハノンくんの魔法適正を見てから依頼に当りたいものだ。そうすれば、依頼の中で魔力触れ、それがいい訓練になる」
「フス」
おう、良い意見だ。俺もそれに賛成だぞ。
魔法使いにとっては、空間全てが修行の場だと言って良い。自分の属性を把握し、その属性の魔力に触れ続ける事はかなり重要だ。
と、なると……できればハノンに魔法のノウハウを教えてから行きたいところだが?
「そのために人を呼んだのだが……いつ来るのやら、あの女は」
フロキアが小さくため息をつき、「あの女」と宣った。どうやら、パーティを組む条件として呼んだ魔法の指南役とは、女らしい。
こいつが女性と面識あるのは、なんか意外だと思ってしまうのは俺の考えすぎだろうか?
「その、ずっと聞きたかったんですけど……その人って、どんな人なんですか?」
「ふむ……まぁ、悪人ではないのは確かだね。ノリと勢いは相いれないが、彼女の在り方と実力は評価に値する」
「は、はぁ……」
うん、とりあえずノリと勢いが凄いのはわかった。
これは覚悟しておこう。
「まぁ、立場が立場なのはわかるがね。それにしたって、もう少し急いで欲しい所だが……」
「え……立場って、なんか……偉い人、ですか?」
「肩書だけはね。彼女は貴族だから」
え、という言葉と共に、ハノンが固まる。
おいおい……よりにもよって貴族かよ!? お前ナニモンだ!?
一介の冒険者が、手紙一つで普通に貴族呼んでんじゃねぇ!
「とはいえ、本当に肩書だけだ。本人は好き勝手に外を歩き回ってるし、家の仕事も全然手伝っていないからね。私と出会ったのも、依頼でベビーエントを仕留めに行った時にブッキングしてかち込んできたんだ……あの時は本当に焼け死ぬかと思った……」
フロキアが、説明から愚痴に移行しようとした、その時だ。
「オォーーーーーーーッホッホッホッ!! 今、ワタクシの話題で大盛り上がりではなかった!? 聞きました、聞きましたわよぉ!!」
俺達は、凄まじいノリと勢いに圧倒された。
訓練場の出入り口。そこに、一人の人物が立っている。
まず目に入るのが、赤。
全身を赤に統一したドレスに身を包んだ、情熱的な女性だ。
「フロキアさん! わざわざ貴方からこのワタクシに手紙を送ってくるなんて、どういう風の吹き回しかと思いましたわ!」
顔は……素直に美しいと言えるだろう。釣り目がちで強気な瞳、白磁の如き肌。
自信に満ち溢れすぎている口元は笑みを浮かべ、赤く化粧した唇が艶めかしい。
金に近い、淡い栗色の髪はウェーブがかかり、肩甲骨の辺りまで伸びている。ふんわりしているというよりは、ボリューミーで主張が強い印象を受けてしまう髪型だ。
「……来たら来たで、騒がしい女だ」
「直接の悪口は一日に1人3度まで許しますわ! しかしそれ以降は容赦なく燃やしますのでそのつもりでいる事ね! オォーッホッホッホ!!」
スパァン! と赤い扇子を開き、口元を隠すつもりがまったく隠れていない状態での高笑い。
腕を組んでそうしているため、ドレス越しにもたわわと分かる2つの果実が本人同様に激しい自己主張を見せている。
「「…………」」
あまりのインパクトに、俺とハノンは目を点にして硬直中だ。
なんだ、この……人生を一番楽しんでると、確信を持って言えそうな女は……!
「はぁ……ハノンくん、紹介しよう。彼女は【オリアンティ・フォン・ゴール】。君に魔法を師事してくれる女性だ」
「敬意を持ってオリィとでもお呼びなさい、庶民の坊や! オォーッホッホッホ!!」
「はわ……あ、あ、よ、よろ、よろしくお願いします……!」
「……フスゥ……」
これが、俺らとオリィの、最初の出会い。
まさかこの時、こいつにあそこまで世話になるなんて、俺らはまったく想像していなかった。
ハノンくんの目的達成のため、盗賊ギルドに情報収集を出すように追記しています。
行動1つ追加するだけで、物語が進展してるような感じになりますね




