第23話:vs???
どもどもべべでございます!
戦闘シーンはやはり難しい……毎回言ってる気がする。
わかりにくとこあったら、教えていただけると幸いです~。
そんなこんなでご投稿! どうぞ、お楽しみあれ~!
さて、まいったね。
俺らのいる路地裏は、T字だ。その全ての道が潰された。
角兎の感覚をもってしても、この段階まで気付かなかったってぇことは……おそらく、向こうさんはかなりの手練れだろう。今までの話を統合して可能性を考えるに、おそらく貴族付きの暗殺者だ。
『ハノン、絶対に盾を手放すな……相手はガジルデを確保するために動いてる。問答無用の可能性もあるが……そうなったらこちらがやられる可能性のがでけぇ。会話のチャンスがあれば手放すな』
「わ、たっ、は、はい……ガジルデさん、落ち着いてくださいっ」
「あ、あわわわ……オラなんで、こんな目にあってるだか……!」
うん、ハノンよりテンパってるガジルデがいるから、逆にハノンは冷静になれてるな。
その分、お荷物が厄介だが……っとと、もう考えてる暇はねぇ。向こうも声が聞こえたんだろう、すぐに足音が雑多なものに変わった。
一般人のふりがうまいもんだ。
「あぁ、見つけましたよガジルデさん」
現れたのは、稚拙なマスクで口元を覆った、実にチンピラ臭い面々だった。数にして3人。
「困りますねぇ、借金踏み倒して逃げるなんて。こっちは善意で貴方に金貸したんですよ?」
「な、なに言ってるだ!? オラ、オラを殺さねぇでけろ!」
「そんな物騒な真似しませんよ……はぁ、すみませんね坊ちゃん。オジサンたち、その人にお話しあるんですわ」
なるほど……借金取りの真似事して、尻尾を掴ませないようにしてる訳だ。
同じ犯罪者でも、闇金のチンピラと貴族付きの暗殺者じゃあバレた時のリスクが違う。随分とまぁ、教育が行き届いてるご様子で。
今喋っている男は誤魔化し要員……つまり、最も上の立場の人間。
事実、他の2人とは足運びからして【雑】だ。2人は、どこかプロの足運びを隠しきれていないからな。
つまり、完全に雑魚にしか見えないこの男が、一番底が見えねぇって事になる。
「あ、あの……僕、冒険者です。ハノンと、言います……」
「あぁ、身なりからしてそうだとは思いましたが、やはり冒険者で。参りましたねぇ……冒険者さんと事を荒立てたくはないんですよ。俺らはただ、その人から借金を返して欲しいだけなんで」
「お、オラ借金なんかしてねぇ! あんたらにご褒美ってんで高い宿に泊めてもらってただけでねぇか!?」
「はぁ、世迷言はそのくらいにしてくださいよ。ほら証文もあるでしょう?」
男が見せるのは、おそらくこういう時の為に偽造した証文。なるほどよく出来ている。
うぅん……外堀は埋まってるなぁ。舌戦だと言いくるめられてガジルデ渡すしかなくなるんじゃないか?
かといって、やり合うとなるとハノンが危険だ。どうすっかな。せめて、襲ってくるタイミングがわかればなぁ。
「その……ガジルデさんの傷の件で、ギルマスから頼まれたんです。最近同じ被害を受けた人がいるとかで……どんなモンスターにやられたのか、改めて聞きたいそうなんです。情報が少しでも欲しいって……」
「そう言われましてもねぇ……」
「ま、町の平和に繋がる、大事な案件です……! あ、貴方達の安全にも繋がるんですから……少しくらい、取り立てを待っててくれても、いいでしょう?」
「…………」
お、おぉ?
なんだよ……すげぇじゃねぇかハノン!
まさかお前がここまで口が回るとは。オジサン完全に予想外だわ。
……うん、おかげで、横2人のアイコンタクトが確認できた。多分これ、不意打ちで殺る流れになってるな。
俺は今、ハノンの前にいる。ハノンの後ろにはガジルデ……うん、うまくすれば、ハノンは無事でいられる陣形だな。ガジルデが無事ですまなくなりそうだが。
まぁ、最上は2人を逃がす事と考えて動こう。
「なるほど……若いのに正義感に溢れた、いい冒険者じゃないですかぃ。そういう事なら、仕方ないですねぇ……」
『ハノン、右来るぞ。俺が合図したら盾を右に構えろ。いいな?』
軽く背中蹴られた。了解の合図ってか。いいねぇ。
「じゃあ、俺らの安全のために、特別ですよ?」
男が、ハノンの気が緩みそうな事を言った。それが合図と見ていい。
俺は即座に左に飛ぶ。ハノンは、右に盾を向けた。
「「っ!?」」
無言だったチンピラ風2人は、音も無く抜いたナイフを構えて突っ込んで来ていた。俺らが即座に対応してみせたが故に、動揺したのが見て取れる。
「フシッ!」
「がっ……!」
俺は、角で男のナイフを払うと、空中で体を捻り足を振り抜いた。回し蹴りって奴だ。
蹴りは男の無防備な顎に吸い込まれ、カクンと衝撃を与える。
それだけで、脳が揺れたのだろう。男は白目を剥いて崩れ落ちた。
「チッ……!」
「ひぃぃぃ!?」
背後から、ガキィン! という高い音が響く。同時にガジルデの情けない悲鳴。
どうやらハノンもうまく一撃を凌いだようだ。ゴブリンの時に言ってたゲンコツはチャラにしてやろう。
「わ、わ、ヴォルさぁん!?」
「フシッ!」
わぁってるよ。一撃防ぐのがやっとって事だろ!
体に気を纏わせ身体強化し、着地と同時に一気に後ろに飛ぶ。
空中で振り向けば、盾を上に弾かれ、無防備なハノンとガジルデが見えた。その向こうには、ナイフを少ない動作で刺しに来ている男。
「フスッ」
このままでは間に合わない。だから俺は、ハノンを通り過ぎると同時に、その盾を蹴り飛ばした。
わかってるなハノン、離すなよ?
「ぐえっ」
「なっ……」
よぉし、良い子だ。
ハノンは盾を手放さず、そのまま後ろに飛ぶ。ガジルデは置いてかれたが、まぁ一番はハノンの安全だ。
それに、男はハノンを狙っていた。ナイフは空を穿ち、男の顎が無防備になる。
その顎にもう一発……
「ヴォルさんっ!」
「っ!?」
っぶねぇ!?
蹴ろうとした瞬間、横合いからナイフが飛んできた。慌てて攻撃をキャンセルし、回避を選ぶ。
その甲斐あって、ナイフは俺の身体を掠めるだけで済んだ。体を掠めたおかげで軌道が変わり、ガジルデの股間スレスレに刺さって停止する。
「ひ、ひ、ひいぃぃ!?」
防衛本能ってのは面白いな。ガジルデは股を濡らしながら転がり、飛んだハノンの近くまで退避していったようだ。
これでひとまず、2人の退路は確保した。数秒の間にしちゃ上出来だわな。
「……ナニモンだよ、この角兎」
「……フス」
着地した俺は、作った退路を背にして男2人と対峙する。
ハノンとガジルデは後ずさり、俺の前には寝ている男とリーダーと部下。
他に人の気配はねぇし、新手は無いだろう……いや、遠くの方でざわめきは聞こえる。ハノンが鳴らした剣戟が聞こえたんだろう。
つまり、男たちにとっては都合の悪い展開だ。
「あー、あー……クソッたれぇ」
男もそれを察したらしい。頭をワシワシとかき回す。
「どうします……」
「どうするもこうするもねぇよ。死んで来い」
「ハッ」
それだけのやり取りで、部下が動いてきた。狙いは俺……じゃねぇな。ガジルデ一直線だ。
ったく、これだから暗殺者ってのは嫌なんだ! 感性が人間じゃねぇ!
俺は咄嗟に、突っ込んで来た奴の前に立つ。角でナイフを迎撃できるように……
「おら、いつまで呆けてる」
「ぎゃっ!」
した所で、リーダーが動きやがった。
寝ている部下の腕にナイフを投げ、突き刺す。その痛みで部下が覚醒した。
陣形は変わったが、形勢は変わんねぇままかよ。やりづれぇ!




