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世代交代  作者: 砥左 じろう
76/92

決勝戦

決勝戦だからといってお客さんの入りがいいわけではないフェニックスドームだけど、それでも俺の気持ちは高ぶっていて興奮が抑えられずにいた。

今大会No. 1との呼び声高い長谷川さんと対戦できるのは一打者として光栄なことだと思う。

長谷川さんのボールを頭の中に浮かべてベンチ前で黙々と素振りをしている俺の側で、同じようにトミーと颯馬も真剣な表情で振り込んでいた。

監督から発表されたオーダーは普段通りだった。

「いつも通りプレーすればいい」

今朝のミーティングで発した監督の力強い一言に押され、チームの士気は高まっているように思う。


後攻の世良の選手たちが守備位置へと向かう。

その姿を見ながらゆったりとマウンドへと向かう背番号1を付けたエースの長谷川将暉さん。

今大会で喫した失点は驚異の0。故に防御率も0.00。

大会期間中の投球映像を見た限りだけど、これまでに対戦してきたピッチャーとはレベルが違う印象を受けた……。

なんにせよ、どんなに零さんが好投したって俺たちが点を取れなきゃ優勝できない。

ベンチから長谷川さんの投球練習を観察しながらそんなことを考えていたら、プレーボールの声がかかった。

試合開始だ‼


「1番ショート畑下くん」

と女性の高くてキレイな声でアナウンスされ、気分良く打席に入った。

ズドーン‼初球のストレートがミットに収まった。

は、はえぇ……。マジか‼

思わずバックスクリーンに表示された球速表示を見てしまうと、そこに表示されていたのは140kmという数字だった。

そりゃあ速く感じるわけだ……。

2球目もストレートだったので打ちにいったが、球威に押されてサードファールフライに終わった。

想像以上に球質が重い。

これは厳しい試合になりそうだなぁ。これ浜野シニア戦からずーっと思ってるよな、俺。


信介さんも宗さんも呆気なく倒れて3者凡退に終わった。

ベンチに戻ってきた2人は口々に、

「速い。スライダーキレすぎ」

と漏らしていた。

俺はベンチから外野手用のグラブをはめてセンターへとダッシュで向かって行った。

同じタイミングで向かっていた颯馬から、

「今まで見たことないレベルの相手であることは間違いないぞ」

と笑顔で言われた。

打ち取られていながらも勝負できることにワクワクしている颯馬の表情はイキイキしていた。

ほぼ同じ球歴を歩んでいる颯馬が言うならそうなんだろうなと思いながらセンターの守備位置に就き、レフトのトミーとキャッチボールを始めた。


これが支倉のエース小田嶋零か。

まっ、コントロールは良さそうやな。

初球から3球続けて際どいコースを攻められ2ストライク1ボールと追い込まれた。

追い込まれるまでは中々手が出せへんな。

さすが支倉のエースってとこやな。

そんでも俺も世良のレギュラーとして簡単に打ち取られるわけには……っと、空振り三振……。

ちくしょー。ええスライダー投げるな。長谷川さんのとはまた別のやな。


2番ライトの杉山虎太郎さん。

この人は2番を任されていて繋ぐことを期待されているように思えるが、かなりの強打者で、実際に2カ月前に行われていたボーイズの大会では3ホームランも放っているらしい。

そしてU15の代表候補に挙がっている。

それほどの選手なので、センターの俺をはじめとする外野陣3人は定位置よりも多少後ろで守っている。

その杉山さんが右中間に大きな打球を弾き返した。

先に追いついた俺が打球を抑えた。センターフライだ。

深めに守ってて良かった~。

ここで3番の橋舘か……。

一昨日の試合でのホームランが脳裏を過ぎる。

橋舘はリトルの頃はアベレージヒッタータイプの選手だったが、中学生になってからはパワーヒッターとして鳴らしている。

零さんはその橋舘を相手に際どいコースを攻め続けるも、5球目の少し甘く入ったカーブをレフト前に拾われた。

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