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世代交代  作者: 砥左 じろう
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決戦を前に

試合が終わったあとは、ミーティングには参加せずチームメイトたちとは別にマッサージを受けて疲れを取った。

マッサージが終わり疲労が軽くなった状態で部屋に戻ると、すでに部屋で守が須田コーチから送られてきた世良ビッグボーイズのビデオを観ていた。


「打線は旭山ほどではないにしても、接戦を勝ち切るいやらしさはあるよね」

と冷蔵庫から野菜ジュースを取り出し飲む直前の俺に言い出す。

「だね。先発はエースの長谷川さんだろうけど、土門さんはほとんど球数投げずに抑えたし、展開によってはリリーフしてくるだろうね」

「うん。長谷川さんには2種類のスライダーに緩急を付けるカーブがある。だけど1番厄介なのは140km前後のストレートだよね。コントロールもある程度まとまっているから四球で自滅するって感じにも見えない」

「ロースコアになると思っているの?」

「多分ね。問題は零さんと弘さんの2人がどこまで抑えられるかだよね」

「打線は攻略できると思う?」

と訊く俺に、

「俺は昴なら打ってくれると思っている」

と短く答える。

「ありがとう。けど俺以外も打って欲しいなぁ」

「それが叶うなら最高だね」

と先ほどとは違い冷静に返す。

「なんにせよ、厳しい相手であることに間違いないな」

「そりゃあそうだよ。決勝だもん。あー、そう言えばこれ」

と言って飲み干した野菜ジュースをゴミ箱に捨てた俺に守がタブレットを手渡してきた。


「何これ?」

「メッセージ画面開いて」

と言われるがまま開いてみると、監督からの今日の試合に関する感想と明日の試合に関する作戦が丁寧に書かれていた。

以前の監督はハイテクを使いこなせずに苦労していたらしいが、娘さんたちから、

「時代遅れだ」と言われたことがショックで覚えたらしく、現在ではここまで使いこなせるようになっている。

今では、「持つべき友はタブレットだな」と言い出すようになっている……。


その後は守と談笑していたが、21時を過ぎて消灯時間になったので俺たちは眠りに着いた。

明け方、それも5時には目を覚ましてしまった俺はまだ眠っている様子の守には声を掛けずにジーっと枕元に置いていたボールを見つめていた。

監督から送られてきた改善点に『チェンジアップの精度の向上と、三振でピンチを脱する能力があるんだから2アウトのときは走者を意識しすぎないこと』とあったな……。

鈴木さんの足を意識しすぎるあまり、バッターに集中できなかった場面が2度あった。

あの2回はリズムが悪かった。

今後の改善点として頭の片隅に入れて置くことにしようと思っていると、守は起きて身支度を整えていた。

俺も慌てて準備を整え終えたときには、6時を過ぎていた。


今日で3日目の朝食となったので、俺たちもこのバイキング形式に慣れ始めている。

食べ終えるとミーティングに入った。

だが、隣に座っているトミーは先程たらふく食べていたので完全にスイッチオフになったようで、監督の話を聴いているようには見えない……。

それでも途中から意識を取り戻したのか、急に背筋をピンと伸ばして聴き入っている。


トミーの集中力はミーティングが終わった9時過ぎまでどうにか持ち続けていた。

俺たちはバスに乗り込んで決戦の舞台があるフェニックスドームへと移った。

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