表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世代交代  作者: 砥左 じろう
73/92

先輩として

追加点が欲しい。2番の信介さんから始まる攻撃に期待しながら、ファールグラウンドで守を相手にキャッチボールをしていた。

信介さんは粘りを見せたが最後はアウトコースへのストレートに詰まりサードフライに終わった。

続く宗さんは早打ちでセンターへ抜けるかというような打球を飛ばす。

ピッチャーの安藤さんが咄嗟に出した右足で止めてピッチャーゴロかと思ったが、1塁への送球がギリギリ間に合ってアウトとなった‼まだ流れは相手にある……。

熱投を続ける安藤さんに球場の雰囲気を支配されているのは確かだが、確実に疲労は蓄積している。

そろそろ試合を決めたい。


投打に渡り2年の昴に引っ張られているようじゃ不甲斐ないよな。

『キャプテン』として、『4番』として、何より『先輩』としての意地を見せる。

真ん中低めに少し甘くきたスライダーを完璧に捉えると打球は一直線にレフトスタンドへと伸びて行った。

「……ォォオオ‼‼」

一瞬静まり返った球場に歓声が起こる。

追加点を取れて良かった。

ホームベースに戻ってくる途中マウンドの安藤と目が合ったが、下唇を噛んで悔しそうな表情をしていた。

俺は小さく右拳でガッツポーズを作りベンチへと戻って行く。

途中ですれ違ったトミーに、

「続けよ」

と声を掛けた。


拓哉さんのホームランで重苦しいムードが一変し、トミーも左中間にツーベースを放ち2アウト2塁となった。

慌ててマウンドに駆け寄る旭山の監督とバッテリーの話し合いが終わると、俺は打席に入り直した。

1ストライク1ボールからの3球目のアウトコースへのカーブが浮いたところを見逃さず、センターのやや左に鋭いライナーを弾き返した。

2アウトだったので鈍足のトミーでも余裕を持ってホームまで帰ってきた。


これで5対1ね。

追加点が入りオフィス内も球場内に負けないくらい沸いていた。

特に酩酊状態のおじさん社員たちで……。

またしても打った昴くん。テレビ越しでもハッキリと分かるほどの抜群のスター性を持った選手なんだというのが伝わってくる。

試合を観ていて打算的な性格の私は、将来昴くんが有名になったときに育児本とか出したらバカ売れするんじゃないかと考えてしまう。

私みたいに出世とか金儲けが優先順位のトップで子育てはほどほどでいいとしか思っていない人間じゃ、きっとこれほどの子供は育てられないか……。


さらに1塁に俺を置いた状況で、代打の誉がコールされた。

浮いたカーブに反応し引っ張った打球が三遊間を破って行く。

誉は出場機会に恵まれているわけではないにも関わらず、出場時にはキッチリとアピールを続けているよな。


安藤くんは接戦の中で粘り強く投げているなとは思っていたけど、拓哉くんのホームランで緊張が切れたな。

接戦となっている試合をずっと集中して投げ続けるのは思っている以上にしんどい。

ここにきて限界がきたか……。

さっきの回に颯馬くんの大きなライトフライも会心の打球だったし、この回で決まりそうな雰囲気はあったわな。

巧くんが鋭いライナーを三遊間に放ったが夏川くんが飛びついて捕球した。

このプレーにドーム中から拍手が起こる。

見事なプレーだったな。

大丈夫だとは思うけど、あとは昴が3点のリードを守り切れるかに懸かっている……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ