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世代交代  作者: 砥左 じろう
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森垣渉

第1試合の世良ビッグボーイズVS中岡シニア戦が始まる前、ドーム内のトイレに向かっているときに懐かしい顔を見かけた。

森垣渉(もりがいわたる)だ。こいつの名前は珍しかったからすぐに覚えられた。

小6の大会で初めて会ったとき新垣(あらがき)って読むのと同じ感じで森垣(もりがき)と呼んで怒られたのが、俺たちの出会いのきっかけだ。

読み方を間違われやすいんだから、もうこの際『もりがき』に代えればいいのにと思う。


去年はお互い控え選手だったし所属リーグも違うので、顔を合わせる機会はなかったが今年は両チーム共に勝ち残っているので久しぶりの再会となった。


俺の存在に気づいてなさそうな渉に近づいて話しかける。

「よっ‼久しぶり、もりがき」

それを聞いた渉は、

「はぁー」

と溜息を吐いてこちらに振り向いた。

「昴か。久しぶりだな。それと俺の名前は『もりがき』じゃなくて『もりがい』だ。悪いな昴。大事な試合を控えているからボケに付き合ってられん」

と再会早々に真顔で本音を伝えてきた。

そっか。やっぱり渉も今日投げるのか……。

「渉も今日投げんだろ?」

「そうだよ。だから余裕がない。全国ベスト4まで勝ち上がってきた相手だし抑えられる自信はない。でも任された以上期待に応えてやるのみだ。それより『も』ってことは昴も投げるんだね」

「そうだよ。良い心構えだな。対戦相手そんなに強いの?」

「まぁ、準決勝で対戦する相手が弱いなんてことはないでしょ?前の試合観たよ。チェンジアップなんていつ覚えたの?」

渉も前の試合を観ていたのか……。

「予選の準決勝の直前から練習し始めて、本選の初戦で初めて使った。まだ覚えたと言えるほど上手く操れている自信はないけどな」

今年のフェニックスカップで世良相手に投げる可能性が消えて話しても問題ないと思ったので、現状を正直に伝える。


マジかよ‼予選の準決勝直前ってことはほぼ1週間前か……。

たった1週間で覚えたっていうのにあの船本さんを空振りさせたんだから、やっぱり昴はすごい。

「そうか。まぁ何にせよお互いに勝ち上がって決勝で戦おうな。んじゃ」

と言って昴は観客席へと戻って行った。


まずは俺の番か。

いざ出陣‼

初めて立ったフェニックスドームのマウンドに地方球場にはない高級感を覚え気持ちが高ぶっていた。


相手の中岡シニア(岩手県)には注目されている選手がいる。

それはエースで4番の川上竜平さん。投手としては最速138kmのストレートとカーブにフォークを操る本格派で、野手としては今大会すでに2ホームランを放つなど強打で存在感を見せている。

試合前のフリーバッティングでも力強い打球を連発していた。

他にもいい選手はいるけど、やっぱりキーマンは川上さんだ。

この人の前に走者を出したくないし慎重に投げないとな。


初回から得意のカットボールが冴えて3者凡退に仕留める。

上々の滑り出しだ。

ホッと息を吐いてベンチに向かっていると、レフトを守っているエースの長谷川さんからナイスピーと声を掛けられた。

長谷川さんはウチの絶対的エースで今大会の№1投手と評判になっているほどの超大物だ。

そんな人が後ろに控えているんだと思うといくらか緊張が和らぐ。

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