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世代交代  作者: 砥左 じろう
57/92

4番の仕事

初回からいきなりチャンスで回ってくるとか、やっぱ俺って持ってんな―。

三田村には変化球が多い印象を持ってたけど、この試合はストレート中心の組み立てだな。。

俺相手にも同じ攻め方をしてくるのかはわからんが、取り敢えずストレートを狙うか。


まさか初球からアウトローにカーブを入れてくるとはな。これに手を出してもしゃーないし、次だな。

よっと、危ね~。胸元の厳しいところ攻めてくるね~。

これで1、1か。


キタ、さっきより甘めのストレート。これを仕留める。

キィィィィィィンン。

感触は良かった。どこまで飛んだかな?

しかし打球はライトポールの外側を行ってしまい特大のファールとなった。

ちょっと右肩の開きが速かったか……。

チッ。仕切り直しか。

まぁもう球筋はわかったし今度は完璧に捉えるわ。でねえと4番の面目丸潰れだしな。


そして2球変化球を挟んだあとのストレートを強振すると、打球は無人のライトスタンドに一直線で届いた。

「オオオオオオオオオオオオッッッ」

と沸き立つドーム。

こういう歓声を聞くのは大好きだ。

自分のプレーで周囲の人を沸かせるのはいつだって気分が良い。

この3点で準決勝進出に向けて視界良好になったな。


「見たか、昴?」

「はい。確かに強打者だとは思いますけど、今のは攻め方が悪いですよ。と言ってもあのピッチャー、変化球の制球に苦労していましたし、キャッチャーも頭が痛かったでしょうね」

「だな。俺は松前を封じるなら縦の変化球が有効になると思った。まぁ今の三田村の状態からすれば、こうなるのは必然だったのかもな。海のようにどんなところへのボールに対しても対応してくるほどのセンスは感じられないが、甘く入ったら危険な打者ではあるわな」


俺も同じことを思っていた。縦の変化球。これが重要になると思う。

船本さんと違って穴は多そうだからある程度の抑え方は想像できる。問題はそれを実践できるかだけ。それが一番難しいから目の前のピッチャーも苦労してるんだろうな……。


涼介からは「2球前のを完璧に捉えろよ」と突っ込まれたが、充実した気分だったので3球目の大ファールのことはどうでもよくなっていた。

4番としての仕事を果たせて上々の気分で1回の裏の守備に就き、さっき打ったホームランを思い出していた。

今までも人生でたくさんホームランを打ってきたけど、フェニックスドームで打ったのは初めてだな。

やっぱ雪国でプレーすんのとは気分が違うわな。

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