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世代交代  作者: 砥左 じろう
54/92

まだだ

1点ビハインドで2アウトランナー1、2塁。

昴が作ったこの流れを悲しい結末で終わらせるわけにはいかねえな。

いや……きっかけは零さんの粘りの投球からか。


これが4打席目の対戦だ。いい加減捉えてみせる。

初球、2球目と見送って0ストライク2ボールだ。

球威もキレも落ちているわけではないと思うけど、制球力には変化が現れているような気がする。


2塁に足の速い昴がいることもあってか外野は前進している。

この場面、ストライクを取りにきたところを強く叩くことができれば、ほぼ間違いなく外野の頭は超えるし、上手くいけば1塁ランナーの誉も生還できる可能性だってある。

そんなことを考えていた矢先、インコースやや甘めのストレートに体が反応しお尻から回転する感じでボールを強く叩いた。

キーンと鳴り響いた快音をに残して、打球はグングンと伸びて行きそのままライトスタンドまで届いた‼

球場中がウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオと熱狂した‼

打球がスタンドまで届いたことを確認した俺はゆっくりとした足取りでベースを回り、ホームインした。

めっちゃ嬉しい‼人生で一番嬉しかったホームランだと思う。

ベンチでチームメイトから祝福され最高の気分を味わった。


茫然自失としてしまったエースの田中さんに代えて俺たちと同世代の2年生右腕、野沢優(まさる)が出てきた。

一応ということなのだろうけど、この回に入ってからベンチ横で投球練習をしていたので、リリーフしてくるかもしれないと思っていた。

その野沢は2番の信介さんを133kmのストレートでセンターフライに打ち取り、ベンチへと戻って行った。


最終回のマウンドに向かう俺にドヤ顔の颯馬が話しかけてきた。

「俺からのプレゼント、無駄にすんなよ」

「ありがとな。わかってるさ、勝って準決勝決めるぞ」

そして俺は1人に四球を与えるも、アウトは全て三振で試合を締めた。

決め球には全てチェンジアップを使った。

小学生以来の対戦となった石野はストレートで連続して空振りを奪われたあとに新球チェンジアップで三振に斬って取られ、悔しそうな表情を浮かべながらベンチへと戻って行った。

船本さんから空振りを取れたことで、自分の中でこのボールを決め球として今後も使っていけるなという確信を持てたことが個人的な収穫だった。


観戦している俺たちの存在に気づいてなどいないであろう好リリーフを見せた一条と、逆転の決勝3ランを放った畑下を、スタンドから眺めていた。

「おいっ聖。そろそろ帰るぞ」

と背後から遼が呼びかけてくる。

「わかったー。すぐ行く」

同世代で知らない人はいないであろう一条昴、一度でいいからあいつの球を打ってみたい。

俺たち世良ビッグボーイズは今日の試合に無事に勝利し、ベスト8へと駒を進めた。

ここから先が正念場やな。

明日は渉で明後日は長谷川さんか。これで決まりや。

俺や遼がガンガン打って点取ったる。

見とき、一条。この世代の中心におるのは俺らやってことを証明したるわ。

そう決意してホテルへと向かった。

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