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世代交代  作者: 砥左 じろう
37/92

加茂東シニア

良く知らないチーム同士の対決を制したのは加茂東シニアで、スコアは6対3だった。

投げていた投手はそんなにすごそうには見えなかったけど、無難にゲームメイクをする能力はしっかりとある印象を受けた。

打線については半田ボーイズとは対照的でコンパクトなスイングをしているイメージだった。

試合が終わりベンチの人影もなくなったようなので、俺たちはグラウンドへと向かう。

ベンチ前に来るなり監督から集められた。

スタメンの発表だ。

オーダーはいつも通りの打順に戻っていた。だが、先発ピッチャーは弘さんと告げられた。

俺は定位置となっている6番センターでの出場なので、さっきの試合よりは打撃に集中できそうだなと思いベンチ前で素振りをしていると、前の試合3タコに終わったトミーが豪快なスイングでバットを振っていた。

ただでさえ暑くてシンドイのにトミーのスイングが空気を切り裂いて、俺の方へと熱風を運んでくるからなおシンドイ。

「トミー、気合が入ってるのは結構なんだが、俺の方に熱風を送ってくるのは止めてくれ」

と額の汗を拭いながら言うと、

「おおっ、悪い。前の試合打てなくて夢中になっちまってた」

と言っておどけている。

気落ちしてんのかなと思ったが、トミーの思考はすでに目の前の試合に向かっているようで安心した。

「昴は疲れてないのか?」

と訊かれたが、お弁当も完食したし特に疲労感はなかった。強いて言うならばこの暑さには参っている。

「大丈夫だよ。トミーは?」

「俺も大丈夫だ。この試合こそは打つ」

そう呟くと、さきほどの俺からの忠告など忘れたかのように黙々とバットを振りだした。

ホントに責任感の強い奴だなと感心する。


試合が始まり、先攻の俺たち支倉シニアはベンチから相手の先発ピッチャー、エースナンバーを付けた萩原さんの投球練習をジッと見つめていた。

見たところ、球速は130km前後だが、フォークのような球種がある。ベンチから見てもハッキリとわかるほどには落ちている。

カギとなるのはフォークの見極めだな。


颯馬は本来早打ちするタイプの選手だがこの大会ではボールをよく選んでいる印象があり、それはこの試合でもそうだった。

6球投げさせた結果セカンドゴロに倒れたが、当たりは悪くなかった。

ベンチに戻ってきた颯馬に声を掛けると、

「ストレートはそうでもないけどフォークは厄介だな」

という情報を教えてくれた。

2番の信介さんも慎重にボールを見極めていた。しかし2ストライク2ボールからの5球目のフォークにバットが回り三振した。

信介さんが三振するのはかなり珍しい。そんなにキレのあるフォークを投げるのか……。

続く3番の宗さんもフォークを引っ掛けてしまいファーストゴロに終わった。

特に見どころもないまま攻撃は終わってしまった。



正午を過ぎ、照り付ける陽射しがより一層強くなる中でマウンドに上がった弘さんは立ち上がりから気合の入った投球を見せ、危なげなく3者凡退に抑えた。

こっちの攻撃は4番の拓哉さんからだ。全国的に有名な拓哉さんとの勝負とだけあって、さすがにバッテリーの攻めは厳しかった。

それでも拓哉さんは食らいつき、粘り続けて四球を選んだ。

あのフォークにバットが止まるのすげえな。

5番のトミーは初球からきたフォークに豪快なスイングをするのではなく、コンパクトに拾うような形で打ち返した。その打球は……ピッチャーの頭上をライナーで超えていくかと思ったが、グラブを出して反応した萩原さんは弾いてしまうも落ちたボールをすぐにつかみ2塁に送球しアウトを取ると、続けざまにセカンドが1塁へと送球してダブルプレーとなってしまった。

何たる不運だ……。

ガックリと肩を落とし帰ってくるトミーの後ろ姿を眺めながら俺は打席へと向かった。

トミーもストレート勝負はしてこないと読んだ上で打ちに行き、それなりに捉えた打球を打ち返した。しかし結果は御覧の通りって感じか……。

おそらく、俺相手にもフォークで攻めてくる。けど今のトミーの打撃を見てストレートの比率も増やしてくるとも思う。

どっちを狙う?2アウトランナーなし。大きいのを狙ってもいい場面、だったら……。

キィィィーン‼

低めのストレートをすくい上げた打球は、センター方向にグングン伸びて行った。

しかし、予め深めに守っていたセンターの守備範囲だった。

3アウトチェンジ。

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