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世代交代  作者: 砥左 じろう
32/92

VS半田ボーイズ

本選の初戦、マウンドを任されたのが俺だったことに驚いている観客はいなかったと思うが、キャッチャーが守でファーストが拓哉さん、サードが宗さんという布陣になっていることには驚いている観客は多いだろうなと思いながら投球練習をしていた。


昨日の練習終わりのことだった。

監督に俺と拓哉さんと守と板谷さんが呼ばれ、こう言われた。

「明日の試合、キャッチャーは迫田に任せようと思う。それでもいいか?」

「はい」

と即答した拓哉さんの目に曇りはなかった。

隣にいた宗さんと守は驚いていた様子だったが、すぐに切り替えたようだった。


そうして今、俺たちは公式戦では初めてゲームの頭からバッテリーを組んでいる。

完成しているとは言い難いチェンジアップをどれくらい投げることになるのかはわからないが、やるしかない。

1番の足川さんが右打席に入る。

初球は外へのストレートのサインだった。

頷いて投球モーションに入り、左腕から1球目を投じた。

見逃しのストライクだった。


順調にカウントを重ね簡単に追い込むと、チェンジアップのサインが出た。ここでか。

俺は練習通りのイメージで投げた。だが……高く浮いたただの棒球になってしまい右中間へのスリーベースとなってしまった。ヤバイ……かなりヤバイぞ、これ。

2番の吉田は同世代の選手だった。

しかしここで守は保守的になるのではなく攻めのリードを見せる。

3球続けてインコースを要求し俺はそこに投げ切って見逃しの三振を奪う。

だがまだピンチは続いている。安心はできない。

3番の中村さんに対しては簡単に追い込むも粘られ、7球目のチェンジアップを叩きつけてしまう形の四球となった……。ピンチ拡大。

この状況で対するのが4番の岩田さんかよ……。

だが逆にここを抑えればウチに流れが来る。そう思い帽子を被り直す。


岩田さんは典型的なプルヒッターだけど、得点圏に走者がいる場面では結構右方向への軽打もある。

初球はカーブから入った。これに岩田さんは反応し、ショートに合わせた感じだが颯馬の頭上を越しそうな打球が飛ぶ。しまっ……って捕ってる‼

打球をつかんだ颯馬は飛び出してしまっていたファーストランナーの中村さんをアウトにするため素早く送球する。併殺となった……。


アウト宣告を聞きベンチに引き下がろうとすると、背後から迫ってきた颯馬に脇腹を小突かれ、

「しっかりしろよ」

と檄を入れられる。

「すまん。助かったわ、ありがとう」

「どういたしまして」

と言っておどけたあと、ヘルメットを被り打席に向かった。


相手のエース安田さんのボールを冷静に見極め打者有利の状況を作る颯馬に頼もしさを覚えている内に四球で出塁していた。

次の璉さんもボールを見ていたが、4球目で送りバントを決め作戦に忠実に役割を果たした。

ここで今日サードに入っている3番の宗さんだ。

板谷さんは3球目のストレートを捉えるもセンターライナーだった。

ここで4番の拓哉さんだ。

初球から期待に応えるホームランをセンター後方へ放った。

2対0。

続くトミーはカーブを引っ掛けてショートゴロだったが、初回から大きなプレゼントを貰う形になって少しホッとしている自分に気づいた。

「大胆に攻めたい」

マウンドに向かう前、守にそう言った。

守は目を丸くしたあと、微笑んで頷いた。

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