表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世代交代  作者: 砥左 じろう
23/92

予選決勝

「んじゃ行って来るね」

「気を付けてね。あとで私たちも応援に行くから」

「はーい。ありがと」

バタッとドアが閉まったのを確認して俺は集合場所の越智駅へと向かった。


ベンチ外の選手たちは今頃普段の練習グラウンドに向かっているんだろうな。

駅に着くとすでに颯馬やトミーも到着していてぼんやりと空を眺めている。空になんかいるのか?

俺も見上げてたが何も見えなかった。単なる空想かよ……。

「おはよっ!」

とトミーの背後から近づて言うとゾッとした感満載のいいリアクションを見せてくれた。

「なんだ昴か。おはよ。最近の俺は調子がいいから期待しとけよ」

「あれ?そんなに調子よかったっけ?」

「当たり前だろ。昨日もホームラン打ってるしな」

実際トミーは最近調子がいい。昨日はホームランを含む3安打だし、今大会すでに2ホームランを放っているから確かに状態は良いのだろう。

俺は直接口にすることはないが、いつもトミーのバッティングに期待している。

「そういやそうだったな。ならついでに俺が投げる試合でもガンガン打ってくれよ」

「おう。任せておけ」

「心強いな」


バスに揺られること20分。

遂に俺たちは球場に到着した。

去年と同じ球場だな。去年の決勝で俺は1年生ながら最終回だけリリーフ登板して試合を締めた。

それが俺のフェニックスカップ初登板だった。この球場で。

だからいくらかの思い入れはある。

今年は投げないっぽいけど、それでもまたこの球場に来れて良かったって思う。


俺たちが球場入りするより早く対戦相手の蔵元西シニアは来ていたらしくすでにアップを始めていた。

こっちもすぐにアップにとりかかり零さんは投球練習を開始した。

初めて見た時から変わらずに思っていることだが零さんは肩を作るのが速い。

俺もあれくらい速く準備できるようになりたい。

零さんは投球技術以外にも尊敬できる所がたくさんある先輩だ。

だから今日投げられないことに対してもなんら不満はない。


試合が始まった。

先攻の俺たちは相手の先発ピッチャー西田さんの投球練習をじっくりと観察していた。

出てて130kmってとこだな。

まっ、本選に向けて丁度いい練習相手になるか。


先頭の颯馬は珍しく初球攻撃で右中間を破る痛烈なライナーを放った。

チーム1の足を誇る颯馬は難なくサードまで陥れ、たった1球でいきなりのチャンスを演出した。すげえ。

2番の璉さんはじっくりとボールを見て行き5球目のストレートを振り抜いてライト前に運んだ。

あっさり先制したものの後続の宗さんと拓哉さんは連続で外野フライに倒れた。

今最も乗りに乗っている男トミーは打席に向かう途中ネクストバッターズサークルに向かう俺に対して、

「追加点取ってくるわ」

と言ってきた。

ホント自分で自分を追い込むのが好きな選手だよな。

M気質なのかね?

だが今のトミーは自分自身に対して掛けたプレッシャーにもキッチリと応えられるほど状態がいいようで、2球目の高く浮いたスライダーを見逃さず強振した。

おおおおー。すげえ伸びてくな。入ったか?

だが若干上がり過ぎたのか、打球はフェンス手前で勢いを失くした。でもフェンスに直撃するほど大飛球となった。

宣言通りの追加点……か。

これで2対0。


俺はリラックスして打席に入る。

相手の西田さんは相当動揺している。

このチャンスに2塁ランナーのトミーをホームまで返したい。

デカいのは要らない。コンパクトにいこう。

2ボールからの3球目、真ん中低めのストレートをしっかりと捉えセンター前へと打ち返した。

だが打球が速過ぎたせいかトミーはサードで止まっている……。

おい‼ホームまで帰れよ。全く、これだから足の遅い奴は……。

と言っても俺や颯馬と比べると遅いだけで、鈍足だっていじられるようなレベルではない。

例えるなら颯馬が特快で、俺が快速、そんでトミーが各駅停車ってとこか。

結局次の藤田さんが良い当たりをライトに放ったものの正面でアウトだった。2者残塁か……。


いつも通りセンターの守備位置に着き、零さんが投球練習をしている間レフトのトミーとキャッチボールをする。

程なくして投球練習が終わり、投げ始めた。

先頭打者には得意のスライダー。2番にはアウトローにビシッと決まるストレートで見逃し三振。

キレッキレだな、おいっ‼

3番にはボールになるスライダーを振らせての三振とこの上ない出来の投球で相手を圧倒した。

2回、ウチの攻撃は8番の巧からだ。

四球を選ぶことが上手い巧は6球目のストレートが高めに外れたのを見逃さずキッチリと選んで出塁した。

ラストバッターの零さんは手堅く送りバントを決め、これで1アウト2塁のチャンス。

打順はトップに帰って1番の颯馬だ。

前の打席とは違ってボールをよく見ている。

2ボール2ストライクからの5球目の膝元のカーブに上手く反応しライト線に鋭いライナーを弾き返した。

悪い球じゃなかったのに……上手いなぁ。

颯馬は低めの変化球を拾うのが抜群に上手い。

何というか、低めの変化球を上手く拾える選手ってセンスを感じるよな。あくまで俺の主観だけど。

これで3対0か……。

颯馬も最近調子いいよな。この大会の前にあった全日本シニア選手権のときは不調気味だったけど、ここにきて状態を上げてきている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ