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世代交代  作者: 砥左 じろう
10/92

あの日

終始試合の主導権を握りプレーできたし今日はすごく良かったと思う。

久々に守とバッテリー組めたな~。そんなことを思いながら通路を歩いていたら守を見掛けたので、今日の好リードを労ってやろうと思い話しかける。

「ナイスリード、守」

「昴こそナイスピッチだったよ」

「今日、守とバッテリー組んでてさ、昔のことを思い出したよ」


守とバッテリーを初めて組んだのは『NPB12球団ジュニアトーナメント大会』だった。

その大会で俺は世間に名を売ることになったのだが、そのきっかけを作ったのが数か月前に行われた地方予選だった。

当時、俺と颯馬の所属していた朝陽リトルはお世辞にも強いとは言えないチームだった。

そんなチームでプレーしていた俺と颯馬は完全に浮いた存在となってしまっていた。

しかし、小6の夏に行われた全国大会を賭けた地方予選で俺たちは決勝まで勝ち上がっていた。


俺はこれまでの敗戦を振り返り、力いっぱい投げるのではなく丁寧にコースを突く投球をするようになっていた。なぜなら本気で投げるとキャッチャーの子が捕れなかったからだ。

前年までガタガタだった守備陣がだいぶ成長し、安心して打たせられるぐらいにはなっていたから、この投球スタイルで決勝まで勝ち上がれた。

だけど決勝でそれは通用しなかった。そしてこの試合が俺と颯馬の野球人生に新しい道を示すきっかけとなった……。


試合前、いつもと同じようにお父さんを相手に投球練習をしていた。その様子をバックネット裏から観ているおじさんがいた。

最初はただの野球好きなおじさんが散歩がてら観に来ただけだと思って気にせず投げていた。

そして時間がきて試合が始まった。


初回にヒットで出塁した颯馬を俺がタイムリーで返し先制した。

投球面でもいつもの力をセーブして投げる抑え方でどうにか凌げた。最終回までは……。

1対0のまま最終回の裏の攻撃に突入した。

この時俺は人生で初めて本気で勝ちたいと思った。だって全国がすぐそこにあったから。

1人目をショートゴロに仕留め、2人目を平凡なサードゴロで打ち取ったと思ったのだが、緊張からかまさかのトンネルをしてしまいツーベースとなってしまった。

あわや同点のピンチだった。この試合の最中も何度かピンチはあったけど全部凌げていたし大丈夫だろと思った。

だが今度はそうはいかなかった。相手の3番に外の球を狙われライト前に弾き返されてしまった。これで1アウト1、3塁というピンチを迎えてしまった。

すかさずタイムをかけてマウンドに向かってきた監督とキャッチャーに俺は本気で投げてもいいですか?と聞いた?答えは『わかった』だった。


4番に対してこれまでとは別人なボールを放ったので相手もお客さんもみんな驚いていた。

3人の人物を除いて……。その3人とは、両親とバックネット裏から俺の投球を観てたあのおじさんだった。

4番に対してほぼ全部真ん中付近へのボールで3球続けて空振りを奪った……だが、3球目のおそらく1番速かったと思うストレートをキャッチャーが後ろに逸らしてしまい、振り逃げが成立してしまった……。

3塁走者がホームに返ってきてしまった。同点にされてしまう。

そして続く5番への初球もミットを弾き飛ばしてしまうパスボールとなってしまい、セカンドランナーがサードを狙って走っていた。キャッチャーの子は慌ててサードへの送球を試みたが、無情にもレフトの芝生へと逸れてしまいそのままサヨナラ負けを喫してしまうこととなった……。

これが幕切れで全国大会出場をかけた俺たちの最後の挑戦が終わった。

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