何かに、気づいた友人
京藤side
「ねぇ、京藤さん。」
俺はどこぞの遅刻魔と違って
ゆーとーせーだから朝は基本早くに来てる。
誰もいない朝の教室は静かだから割と好き。
その静寂を邪魔する奴が最近いる。
「なんでしょーか、イケメンくん?」
「京藤さんって紺野さんと付き合ってないよね?紺野さんって弟いるよね?隣りのクラスの紺野 萌葱って紺野さんのお兄さん?」
あっらっらー、面倒なのに好かれたなーアイツ。
まー面白いからいいけどw
「付き合ってないけど?
アイツと付き合うくらいならゴキブリ食うわ俺。」
弟ね…あー、そーいえば
この間、夢でどーのこーの言ってたな。
「なんか昔はいたらしいぞ。
今は同い年の兄貴が一人いるんだよ。
アイツ、意外にブラコンでさ…あ
「そんなの昔から知ってる。」……、」
兄貴にベタ惚れって言おうとしたら
途中で遮られそのまま持っていた本を開き読み始め
明らかにこちらと話すつもりは無い姿勢を取る転入生。
本のタイトルは”近親愛”
一つの可能性に気づいたが
面白そうなので浅葱には黙っておこう。
***
「お前って弟くんと双子だったりする?」
一限目と二限目の間の中休みに
京藤が唐突に弟について質問してきた。
「あー、確か年子らしい。」
「へー」
「お前から聞いてきたのになにその反応。」
「いやー、別にさほど興味無いなぁと思ってw」
「んじゃ、聞くなっ!」
「…っ、痛っぇえ!!!」
授業が始まるまで時間がないので
喚く京藤を無視して教科書の準備をする。
だから、私たちのやり取りを転入生が
見ていたことに気づかなかった。