聖剣を携えた魔王軍最高幹部
アイデアが思い浮かんでも続ける気力がないので短編にしました。
宜しくお願いします
テンプレがあったりなかったりします
荒野 戦場
ウォオオオオオ
戦士たちの雄叫びが響き合う戦場。
その大地は両軍の血で汚れ、赤く染まっている。
激戦
人間軍と魔王軍。両者の軍は拮抗し、戦局は膠着状態となっている。
(どうなっている?)
魔王軍最高幹部の一人、バルザーは不思議に思っていた。人間と魔族、普通に考えれば魔族の圧勝に終わっているはずだ。
人間よりも魔族の方が、身体能力、魔力共に優れている。それなのに
(何故拮抗している?)
戦場の魔族と人間、両者の兵数は互角。よって普通に戦えば魔王軍の勝利となるだろう。
現在の状況は明らかに不自然だ。
(何が起きている?)
バルザーは二本の剣を携えて、最前線に向かう。
現状考えられるのは、人間軍の士気の高さが原因ではないかと考えた為だ。今回の人間軍の士気は異様だ。普段ならば魔族に出くわしいた時点で失禁するもの、逃げ出すもの、思わず気絶するもの等がいる。
が、今回に限って、そのような者はおらず、皆闘志宿した目をしている。
「お待ちください閣下!閣下お出に成らずとも、この戦いは………」
「五月蝿いぞガズ、俺の副官だったらつべこべ言わず、ついてこい!」
「///っ……、はっ!」
バルザーは副官の制止を聞かず、向かう。
最前線に人間軍の指揮官、幹部、重要人物。士気を高めるためそう言った人物がいるとバルザーは考えたからだ。
(さて、鬼が出るか蛇が出るか)
◇◆◇◆
戦場 最前線
「どけどけどけ!、魔族共!勇者セイのお通りだ!」
「…………なんだ、あれは」
バルザーは思った事をそのまま口にした。自らを勇者と名乗った少年が、自軍の兵を次々に葬って行く姿に驚いた。
「勇者のようですね。」
ガズがそう答えた。
「勇者?勇者ってのはあれか?我が国に不法侵入し、不法滞在しているならず者の?」
「はい、その勇者です。」
「民の民家を破壊し、財産を奪っていく盗賊の?」
「はい、その勇者です。」
「我が国が奉じている神の神殿さえも破壊し、供え物を奪っていく罰当たりな?」
「はい、その勇者です。」
「子供を誘拐して、親を誘きだし親子もろとも殺す残虐非道なあの勇者か?」
「はい゛、ぞの勇者でず。」
ガズは最後の質問に思わず涙する。
「あ……すまん。お前の弟も……」
「いえ、気にしないでください。仇は閣下が討って下さいましたから。」
ガズはそう言って涙を拭う。
「しかし……本当に勇者か?聖気が全く感じられない。」
「え?聖気に満ち溢れていますよ?あの人間。」
「………何?」
バルザーはガズの発言に首を傾げる。バルザーには勇者特有の聖なる気が感じられないからだ。
バルザーが変なのか?ガズが変なのか?二つに一つた。
「それに、周りの一般兵も僅かながらに聖気を感じます。」
「それは本当か!」
「え、ええ」
一般兵から聖気を感じる。それならば人間が魔族と互角の戦いを繰り広げる現状にも頷ける。
(これが本当なら、この戦場は聖気で溢れているようなもの。何故俺は気付かな………これか!)
バルザーは自らの腰に着けたきらびやかな一本の剣を見る。それはバルザーの上司つまり、魔王。その人から預かった大事な剣。
聖剣
(聖剣の聖気に当てられて、聖気を関知する力が麻痺しているか、くそっ!)
バルザーは悪態をつく。早い段階で分かっていれば、現在のような状況に成らずにすんだからだ。無駄な犠牲を出してしまったことに、後悔が押し寄せる。
「ん?お前、その他の魔族に比べて豪華な服装……もしかして幹部か?やったぜ!こいつを倒せば高得点だ!さっさと死ねや!」
バルザーが後悔していると、勇者を名乗った少年セイがバルザーに斬りかかってきた。
「閣下!」
ガズが先に反応し、迎え撃とうするが……
「遅えよ」
勇者セイはガズの動きに直ぐ様反応し、ガズの首を落とそうと斬りかかる。
「お前がな」
「え?」
ブシュウウウウウ
辺りに血の雨が降る
ボトンッボトンッ
"何か"がバウンドし、転がる。
「え?あれ……俺の腕?」
それは勇者の腕。
バルザーは携えていたもう一本の剣で勇者の腕を斬り落とした。
「いっぎゃあああああ!」
勇者セイは叫びだし、切り落とされた腕を抑える。
「痛てえ!痛てえよ!何で俺の腕が!俺は勇者だぞ!何でこんな目に会わなくちゃならねえ!」
勇者セイは泣き叫びながら、不満を言う。
「五月蝿いガキだ。腕を切り落とされた位で」
コツコツコツコツ、バルザーは勇者セイに向かって歩き出す。周りは静かになっており、バルザーの靴の音が聞こえる。
「全く、勇者ってのは何人出てくるんだ?アンデットかゴブリンの仲間か?」
バルザーは勇者セイに向かって剣を突きつける。
「ひっ!」
「お前に聞いても仕方ないか……じゅあな」
「まっ、待っ、がっ!………」
バルザーは勇者セイの首を一太刀で切り落とした。
「ガズ、人間軍の一般兵から聖気は感じられるか?」
「いえ!一般兵から聖気の反応、たった今消失しました。」
「そうか、やはりこの勇者か基点となって聖気を与えていたのか。聖気は勇者に関係したものにしかないからな。」
バルザーは周囲を見渡した。人間軍の兵たちはどうやら勇者とバルザーの戦いを見守っていたため、戦いを止めていたようだ。否、勇者の叫び声に反応しただけだ。
「おい、勇者様やられちまったぞ」
「どうすんだよ!聖気が宿ってなきゃ俺達……」
「死にたくねえ。死にたくねえよ!」
人間軍そんな会話があちらこちらから聞こえて来る。どうやら戦意喪失してしまったようだ。
(軟弱な)
バルザーは一歩、人間軍に近づく。
「「「「ひっ!」」」
「人間共!勇者は討ち取った!」
バルザーはそう宣言する。続けて
「魔王軍!全軍突撃!」
「「「ウォオオオオオ!」」」
バルザーの宣言と号令に反応し、人間軍の士気は下がり、逆に魔王軍の士気は最高に高まった。
程なくして、人間軍は敗走した。
魔王軍の勝利だ。
◇◆◇◆
戦場の外れ 魔王軍野営地
「こいつはどうですか?」
「親子丼だな。」
「こいつは?」
「そいつも」
「こいつは?」
「どいつもこいつもみ~んな!親子丼を食ってやがる!」
バルザーが現在行っているのは、捕虜の取り扱いをその罪状に合わせての整理だ。
バルザーは魔族の中でも、悪魔に分類される。悪魔の瞳はその者の犯罪歴を映し出す。
そして、バルザーの目には全員、"親子丼"という文字が映し出されている。
「全く、人間って奴はなんて残酷な奴ら何でしょう!子供で親の肉を煮込む何て!吐き気がしますよ!」
(ガズの怒りも無理もないな。親子丼の材料は、コカトリス達の卵と肉。ただでさえ、何の罪もないコカトリス達を殺す事にさえ怒りがわくというのに、更に子供(卵)で親(鶏肉)を煮込む何て、恐ろしすぎる。悪魔の俺でさえ、そんな事しないぞ)
バルザーは人間は悪魔より悪魔らしいその所業に恐怖する。
力なんて関係ない。恐怖とは、その者の行動によって産み出されるものだとバルザーは学んだ。
「しっかし、何でこんなに親子丼を食ってる奴がいるんだ?以前までは全然いなかったのに。」
「そうですね。初期の勇者の発生時頃からでしょうか?徐々に増え始めたようですね。」
「当時は親子丼?なにそれ?ってなったけど、調べて行く内に、恐ろしい物だと分かったけどな」
「最初に聞いたときは、寒気がして、なかなか寝付けませんでしたよ。」
「ハハッ、俺もだ。」
バルザーとガズが談笑していると、ゴブリン族が女騎士達を連れてやってきた。
「バルザー、サマ!オンナ、ツレテキタ。ギヒッ」
「くっ、殺せ!」
ゴブリンが連れきた女騎士の一人が、そう叫んだ。
「う~ん。こいつは親子丼食って無いようだし、鎧剥いで適当な牢にぶち込んでおけ。」
「ギヒッ、ダカナイ?」
「!貴様らのような汚らわしい魔族に犯される位なら…」
「抱かないな。こいつじゃ勃たないし」
「な……」
「そう言うお前こそ、どうなんだ?別に持って行ってもいいぞ?」
「くっ!やはり魔族!犯される前に…」
「ギヒッ、コイツ、ショジョ?」
「嫌、処女ではないな。どうやら女性にして騎士になるために、体を使って出世したようだ。賄賂の文字が出ている。しかもかなり多くの男と寝ているようだ。」
「なっ////」
「ホカノ、モ?」
「ああ、全員似たり寄ったりだ。」
「「「「えっ///」」」」
「ジャア、イラナイ。バッチイ」
「バ、バッチイだと貴様!」
ゴブリンの発言に女騎士が憤慨する。
「魔族、それもゴブリンと言えば、多種族の雌を無理やり犯し!孕ませてその数を増やすのだろう!それが何で、私はバッチイ等と言われるのだ!何かの作戦か!」
「何だコイツ。抱かないって言ってるのに、いきなりキレやがって、実は魔族に抱かれたいのか?」
「違うわ!」
「ふむ。じゃあ魔族ごときと思ってる奴らが自分を女として見ていないことに怒ったのか?」
「//なっ、ち、違う!」
「生憎、昨今のゴブリンの流行りは、処女を溺愛する事だ。ビッチなお前らじゃあ、相手にされねえよ。」
「私はビッチではない!」
「ハイハイ」
「そう言うお前はどうなんだ!貴様悪魔だろ!悪魔は人間を冒涜するのが好きなんだろ。だったら嫌がる私達を……」
「確かに俺は悪魔で、人間を冒涜するのが趣味だが、ビッチなお前を抱いても全く冒涜しているように感じない。」
「だから私はビ…」
「もういい、連れてけ。こいつらビッチだから男と同じ牢でいいだろう。」
「ワカリマシタ」
ゴブリンが女騎士達を男と同じ牢に連れていこうとする。
「え?男と一緒って……」
「そんな事になったら襲われちゃうよ……」
「どうしてくれるんですか隊長!」
「あ、謝れば許しくれますよ……きっと」
「ええ~い!、貴様らにはプライドはないのか!」
女騎士達はそう言い争って、連行に支障をきたす。
「五月蝿い奴らだ。おい!、そこのゴブリン。」
「ナニカ?」
「男と同じ牢にいれるのはその一番喧しい奴だけでいい。他の奴等は言うこと聞かなかった男と同じ牢に送れ!」
「ワカリマシタ」
「な、何で私だけ……」
「「「「…………」」」」
バルザーの発言に隊長と言われていた女騎士以外は静になる。
「お前たち!おい!何とかいえ!」
「「「「………」」」」
「五月蝿いからとっとと連れて行け」
「ワカリマシタ」
「離せ!何で私だけ!嫌だあああああ!」
「全く五月蝿い奴だ。」
「全くです。同じ人間同士ですのに、何故あそこまで怯えるのか理解出来ません。」
バルザーとガズは女騎士の異様な怯えようが理解できなかった。
同族であれば、まだ交渉の余地があるであろうに。
(魔族が人間に捕まれば、拷問か凌辱か死しか待ってないというのに、何を甘えた事を……ちっ、そろそろ聖剣の封印が限界か)
バルザーは立ち上がり、一人野営地を離れる。
「ガズ、俺は少し離れるぞ」
「はっ、承知しました」
◇◆◇◆
野営地の外れ
「さてと、そろそろ封印が解けるか。」
ポイッ、ガタンガタン
バルザーは持っていた聖剣を放り投げる。
ガタガタガタガタ
暫くすると聖剣が揺れはじめてる。
バキンッ
何かが割れる音が聞こえ、聖剣が鞘から独りでに出てくる。
<あんた!よくも勇者を殺してくれたわね!>
「五月蝿いぞ、ヒステリックババア」
<誰がババアよ!>
「お前だ、聖剣。長年眠っていた意思を持つ聖なる剣。つまり年寄り。剣が喋る時点でキモいのにそれがこんなヒステリックなババアだなんて、ちゃっちゃと封印してくれる。」
<やれるもんならやってみなさい!返り討ちにしてやるわ!>
「じゃあさっそく」
バルザーは近くに置いておいたバケツを持ち、なかに入っていた汚水を聖剣にかける。
<ゴホッ、ガホッ、ゲホゲホッ!何をするのよ!>
「体力を削っているのだが?」
<錆びるじゃない!>
「え?マジ?聖剣って錆びるの?じゃあ、じゃんじゃんかけるし、浸けるか」
<ちょ、止め、嫌あああああ!>
数分後
<グスッ、エグッ、汚されたわ。聖剣である私が。この私が。>
「じゃあ、封印するか。」
バルザーは聖剣を鞘に戻し、魔法をかけ、再び封印する。
「よしっ、これで暫く大丈夫だろう。」
バルザーはそう言って、再び聖剣を携えた。
(勇者がどういう存在かよくわからないが、人間で有る限り、魔族の敵。今は倒せているが、この先はわからない。特に、太刀筋が不安定な今までの勇者と違って、本物の戦士。それが聖気を帯びていたら俺と互角だろう。そんな奴がこの聖剣をもったら……どうにかして、破壊するか)
バルザーは聖剣を破壊するため、今後も封印が解ける度に嫌がらせをすることを誓った。
ありがとうございます