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誰より大きな腕っ節  作者: アルミ3
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幸せ運ぶ絶好調

初めての投稿です。

あまり深く考えてはいませんが、よろしくお願いします。

不思議な体験をした。


その日、朝から目覚めが良かった。

別に低血圧という訳ではないが、日々肉体労働に勤しんでいる俺は、一晩寝たぐらいでは疲れが抜けきらず、毎朝筋肉痛の体に鞭打ち、眠い目を擦りながら仕事へ行っている。


にもかかわらず、今日の朝は携帯電話の目覚ましに起こされる前に目が覚めた。

それも30分も前にだ。


いつもは時間ギリギリに設定しているので、髭も剃らず、寝癖のまま車に乗り込む。

車の中でオニギリをつまみ、会社について薄汚れた制服に着替える。


そんな毎朝の日課を今日は行わなかった。

2度寝できないほど目が覚め、滅多に使わない洗顔石鹸で顔を洗い、歯を磨き、髭を剃った。

コーヒーを片手にオニギリと目玉焼きを食べ、洗濯を終えた制服に着替え出社した。


同僚にも目を剥くほど驚かれたものだ。清潔感が出て、いつもより顔色がいいと言われた。

外見を褒められたのは初めてで、少しだけ小っ恥ずかしかったが悪い気はしない。

「ようやく眼科に行ったのか。俺がイケメンだと気付いて良かったな。」と言ってやった。


いつもの筋肉痛もなくて、いつもの倍は動けた気がする。

そのことで、作業長からも褒められ気分が良かった。


いつも口うるさい現場代理人も、今日はなぜか大人しかった。


元請けの人が差し入れで昔懐かしいジュースを買ってきてくれた。

子供の頃好きだったそれは、今でも変わらない味でとても美味しかった。


今日は何をしても上手くいった。

今日は何があっても楽しかった。

今日は絶好調だった。


明日も今日みたいになればいいと思った。

そうなったら六畳一間の部屋で、給料全部パチンコにつぎ込む今の生活も少しはマシになる気がした。

そうなるといいなと思った。


でもきっとこれが神様の用意してくれた最後の幸せなんだろう。

何にも良いことなかったし、誰にも良いことしてあげなかったけど、最後にとても良いことがあった。


今日の俺は絶好調で、何をしても上手くいって、だからいつもより少しだけ車を飛ばして、いつもよりスピーカーの音量を上げて、綺麗な鳥が外を飛んでいたから少しだけ脇見をしてしまって。

そしたら、


目の前に大型のトラックが迫っていた。



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