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デザインダンジョン  作者: 武内ユウ
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情報収集

腕の立つ二人組の侵入者を倒すために拙いながら策を講じた。

2匹のゴブリンと俺自身が死んだふりをする。という文にすると陳腐なものだがそれがもたらす効果は覿面であった。魔物が死んだふりをするなどというのはそう言った性質があるものを除けば原則として無い。

一度死んだものが襲いかかってくる混乱。さらには同じ人間が襲いかかってくるという二重の攻撃の前に一人は倒せる。

しかし、後衛の弓を持つ男はその手段で倒せはしない。たどり着く前に頭に矢が突き刺さることになるだろう。

そこで俺は部屋の隅にあるスキルを付与したゴブリンを配して置いた。

矢を放つ前に射手の意識を刈り取ったのはそのゴブリンだった。

あるスキルというのはステルスLevel1。魔物にスキルを付与できるのはついさっき知ったことだ。DP消費は500。Level2ぐらいにしておきたかったがLevel2に上げるためのDPは1000必要なため諦めた。またショートソードもDP消費で入手したものである。

この不意打ちが成功するかどうかははっきり言って賭けだった。だがこの二人にはある先入観があったはずだ。

「このダンジョンのゴブリンは3匹で一組だ」という。

人間の遺体の周りには死体も合わせてゴブリンは3匹。しかもそいつらが襲いかかってきたのだから部屋の隅に隠れているゴブリンに気づく可能性は低いはず。これだけの条件下でも成功するかは五分五分がいいところだろう。なんせ初の実戦だ。決して楽観的な考えはしない。

結果として目の前には縄で縛られたロイスという男がいる。

意識を取り戻しして開口一番、

「お前はなんなんだ」

こいつから見ればゴブリンを従えている俺は異様に見えるのだろう。

だが俺自身、その質問に対する上手い答えを持っていない。

「・・・ダンジョンマスターだ」

ととりあえずダンジョンコアからそう教えられたのでそう自己紹介してやるとそいつは目を見開き

「御伽噺じゃなかったのか」

と呟く。

この世界にはダンジョンはいくつかあるが人間がダンジョンを構成するなど考えられないそうだ。昔話で魔王がダンジョンを作って世界を征服しようとして勇者に倒された。という子供に聞かせるお話のレベルらしい。

その他にも魔法の話。この辺りの町、村の話。地形の話を聞き出した。こいつらは近くの村の出身でダンジョン攻略で生計を立てている所謂冒険者なのだという。

とりあえず情報収集はここまでにしておいて獲得DPを確認するべくウィンドウを開く。

DPは2700になっている。撃破したのは実質1人だけ。なのに先日ダンジョンから中年男性二人を追い出して得たDPとは文字通り桁が違う。

相違点を考えると、戦闘能力、それと殺したか逃がしたかの二点。或いはその両方だがこれは後々わかるだろう。


DPの使い方も当然大事だが、ふとここの世界に来てからの自分の変化も今更ながら考える。

過去に人を殺害したことは無い。それなのに今、平然としている。そもそも突然異世界へ連れて来られたのに帰る手段を講じる前にダンジョンマスターとしてダンジョン構築をする。なんてことは以前の自分にはできなかったことだ。自分の価値観が変えられている?そこまで思い至った俺はダンジョンコアに問う。

「なあコアよ。こちらの世界にきたとき俺自身に何か変化したことがあるのか?」

コアからの返答は、

『ダンジョンマスターとしての資質を加えました。その他の身体的特徴、知識、知能などに変容はありません』

とのことだった。

多少安堵するが、価値観が変わったことはほぼ確定だろう。躊躇いなく人を殺せる。これがダンジョンマスターとしての資質なのだろう。確かにあの場面で躊躇があったなら今生きていないかもしれない。そう考え、頭を切り替える。

DPをどう使うか。明日を生きるために頭を使うこととしよう。

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