戦闘の明暗
ダンジョンに入って9匹目のゴブリンを切り伏せたニックは軽く溜息をついた。
出てくる魔物はゴブリンだけだが地形が厄介でなかなか思うように進めない。
「そろそろ戻っていいんじゃないか?」
弓を持った仲間、ロイスが言う。確かに1時間たってもアイテムどころか武器などの材料になる魔物もでてこない。正直ゴブリンは倒しても旨味がない魔物だった。
だがここまで来るとタダで引き下がれないという気持ちも働く。
「分かった、次に部屋を見つけて何もなかったらな。」
ロイスは呆れ顏だがなんだかんだついてくる奴だ。 程なくすると今まで見つけた部屋よりも大きめの部屋を見つけた。
「おいっ!」
そう声を上げた理由は部屋を見つけたからではなく部屋の中程に人間一人が倒れており周りに二匹のゴブリンの死体。そして一匹のゴブリンを発見したからである。
すぐ様駆け寄り10匹目のゴブリンを屠る。
「おい、大丈夫ーーー」
言い終わる前に死体だと思っていたゴブリンが、ばっと起き上がる粗末な剣を振りかざし襲いかかる。とっさに剣を振り一匹を切り飛ばしもう一匹は蹴り上げる。ひとまず脅威は取り払った。筈だった。
だが次の瞬間、ニックの腹部にショートソードが深々と突き刺さった。もう一人。倒れていたものがニックに襲いかかったのであった。
動かないはずの人間が動きだし魔物ではなく自分達を襲ってきた。ロイスはその事実に驚きながらもニックに刃を向けてきた相手を殺さなくてはそう考え弓を構え、矢を放つ。その前に後頭部に衝撃が走り意識を手放した。