ダンジョンマスターの目覚め
『新たなダンジョンマスターが選出されました。』
人口音声と分かるその声と同時に目を覚ます。
そこは無機質な空間。縦横は20mほど高さは3mほどだろうか。その空間の中には自分と台座に乗った人の頭ほどのクリスタルのようなもののみが存在している。
状況を把握しようと考えを巡らせる前に先ほどの人口音声が喋り出す。
『初めまして、マスター。これから貴方をサポートするダンジョンコアです。』
どこからその音声が出ているか。考えるまでもなくあのクリスタルだとわかる。自身の知る常識では考えられないが、それよりも現在の状況を知る必要がある。
おそるおそるそのクリスタルに話しかける。
「すまないがここが何処だが教えてくれないか?」
一瞬の間が空くと、
『それはこの部屋がどこにあるかという意味でしょうか。それともこの世界がどこかという意味でしょうか。』
質問を質問で返された。この世界?どういう意味だ?ここは地球で日本なはずだ。そう思考し、質問を変えることにした。
「ここは日本じゃないのか?」
クリスタルは間髪入れず
『日本ではなく、テスラという星のローランド大陸、パリスト帝国です』
と返答してくる。
その答えを聞き、どこから質問しようかと考えていると、
『マイマスター、よろしければ現在の状況を説明しますが。』
俺は早くもこの青く透明な石に親しみを覚えつつあった。