ストーカーなんて...羨ましい限りです!
相川の学校生活を調べることにして2週間が経過。
俺は昼休み、学食の席で周りに人がいないことを確認して相川の学校生活及び習慣を曜日ごとにまとめた。
月曜日・HRの30分前、7時半に登校、彼女はいつも1番早く来ているようだ。自習を行い、仲の良い友達が登校してくると談笑する。
10分の休み時間では、授業の復習をしたり、友達と談笑している。
勉強には真面目に取り組んでいるようだ。
昼休みは集まった男子共の相手をする。はにかんだ笑みが今日も可愛い...
放課後、部活は入っていないようで、すぐに帰る。
火曜日・基本的に月曜日と同じ行動パターン。
変わったことといえば、月曜日より可愛いといったところか。
水曜日・火曜日より可愛い。
木曜日・水曜日より可愛い。
金曜日・木曜日より可愛い。
と、まあこんなところか。
水曜日くらいから相川の可愛さにやられそうになったが、相川の友人の、『いつもいるけど何あいつキモいんだけど』的な視線で我に返った。
さて、この行動パターンの中で、相川が1人になる時間帯は放課後だけのようだ。
トイレにも友達と行くし、相川の係の仕事は大抵男子共が取り合うから、1人になることはない。
土曜日と日曜日は、家がわからないため調査ができなかった。
やはりあとを尾けて家を特定すべきか...いやしかしそこまでいくと犯罪では...
調査ノートを閉じて考える。
そんな俺に後ろから声がかけられた。
「お、鈴木!今日学食だったのか!言ってくれれば俺も一緒に来たのに」
振り向くと、木島がいた。今日はこいつも学食のようだ。
木島には、相川のことを教えてくれた事もあり、全面的に信頼を置いている。そのせいか言葉遣いが雑になったが、仲が良いのはいいことだ。
「おぉ、木島。でもお前昼休み始まってすぐどっか行っただろ?どこ行ってたんだ?」
4時間目が終わるやいなや、筆箱を持って教室を出ていく木島を思い出す。
「生徒会の仕事があってな。会長にすぐ来るようにって言われてたんだ」
そう、こいつはこの前まで俺と同じ部活に入ると言っていたが、生徒会長がどストライクだとか言って、生徒会執行部に入部したのであった。
その生徒会長様は全校生徒の憧れの的のようで、木島曰く、その可憐さたるや、あの相川嬢を薄れさせると言っても良いらしい。
木島の贔屓目かもしれんが。
「生徒会長...今日は昨日よりも美しかったなぁ...明日は今日より美しくなっているんだろうな...」
と、いつもこんな感じで、こいつのベタ惚れ加減たるや、俺は若干引いている。
「お前だから言うけど、そういえば、この前話した、3組の相川さん、ストーカーされてるらしいぜ?」
ふと、木島が世間話でもするかのように言った。
俺はその言葉の意味を少し考えて...
「...は⁉︎ストーカー⁉︎」
立ち上がった勢いで椅子を後ろに倒してしまった。
おっと、平常心、平常心。
落ち着いたところで聞き間違えではないことを確かめる。
「...相川たんにストーカーが?」
「そうらしいぜ...ちょっと待って?お前今なんて?」
なるほど...相川にストーカーか。
確かにあの可愛さならばストーカーの10人や20人はいてもおかしくないが...
モテる女はつらいってやつか。
モテない男はもっとつらいけどな。
ストーカーってことは常にあとを尾けて、相川の私生活をあますとこなく見たり、リコーダーの口のとこだけ盗ったりしてるわけか...
くそっ!羨ましい限りです!
しかし、俺が相川の学校生活を見る限り、そんな人はいなかったと思うんだが...
今度から注意して見るとするか。
昼休みの終わりのチャイムが鳴ったため、この話題はまた今度、ということになり教室に戻った。
5時間目以降の授業は、全く集中できなかった。
...あれ?ストーカーって俺じゃね?
俺がこの考えに至ったのは、家に帰る相川を尾けて、犯人を一目見ようとしていた時だった。
結局相川の後を尾けているものはおらず、俺は相川が入っていった家の前で誰か現れないかと見張っていたのだ。
学校内で、常に相川を観察していたのだから、そう思われてもおかしくはない。
「そーゆーことか...」
見張ってるのもバカバカしくなり、俺はすっかり暗くなった夜道の中家に帰った。
その後、木島にメールで詳細を聞くと、予想外の答えが返ってきた。
相川は、朝学校に行く前に郵便受けを開けるのだが、3週間ほど前に開けると大量の手紙が入っていたらしい。
内容は、ストーカー被害によくあるような、歪んだ愛を伝えるものだそうだ。
...これは完全に俺ではないな。
木島は、相川本人から相談を受けた女友達に聞いたらしい。
他の男子でこのことを知る人はいないんだとか。
さらに、学校内で尾け回されているという話はないらしい。
素晴らしい、俺のステルス能力。
そして、ストーカー男には粛清を!
そう決意した俺は、ハーレム計画の第一歩目が、土を踏みしめる音を聞いたのだった。
投稿すべき時間とかわからないんです...