3組に美少女がいるらしい
俺以外の部員を美少女で固める、という目標を持って活動を始めて1ヶ月。俺は着々と準備を進めていた。現段階で廃部寸前の部活は3つあるようだ。
1つ目は文芸部。大した実績もないこの部には、入部希望者が来そうにないらしい。というか3年生が卒業して、部員ゼロだから1年生でその存在を知るものは数少ないだろう。
2つ目は演劇同好会。これは同好会だから、真面目にやらなくて済むんじゃね?と思ったが、万一学校行事の際に劇をするなんてことになったら俺は確実に死ぬ。やるとしたら木の役か村人Bとかだな。うん。この部は却下。
そして、科学部。この学校には科学部と似たような部活で、物理部というのがあるらしい。実績はそっちのほうがあるので、科学部は部員ゼロ。好条件だ。
とりあえず部活選びは保留しといて、部員を集めなければならない。
超絶美少女を勧誘したいわけだが、この学校にいるだろうか。そもそももう入学から1ヶ月が経っている。今部活に入っていない人は基本的に帰宅部になるというわけだ。なら勧誘しやすいか...
「おい鈴木、3組にいる美人の話聞いたか?」
登校してきた木島が席につきながら話しかけてくる。
3組に美人がいる...だと!?この話に食いつかない手はない。
「美人?3組に噂になるほど可愛い女子がいるってこと?」
平静を装って聞いた。ここでがっついては気持ち悪がられるからな。
平常心、平常心。
「おう、なんでも超絶美少女らしいぜ。オタク男子にも優しく接するって話だ。」
ほう、この世知辛い世の中、そんな子がまだいるとは。それは是非ともお会いしてみたいな。
しかし、出会いとは大切だ。
その話だと、おそらく話しかける男子は大勢いるだろう。俺が話しかけても「その他大勢」としか認識されないはずだ。
その子の印象に残る出会い、そして好印象を持たれる必要がある。オタク男子にも優しいということは、その子もオタク属性があるのか、もしくは気にならない性格か、作ってる天然か。
とりあえず昼休み見に行こう。
昼休みになった。
3組に行くと、教室の戸の前に人だかりができていた。ほとんど男子だ。正直な奴らめ...
そいつらの目線を追っていくと、その子はすぐに見つかった。長髪で黒髪、おとなしそうな印象を受け、1人だけ顔立ちの整いようがハンパない。この子が噂の子だろう。超絶美少女というのも頷ける。
その子は、弁当を食べながらやや俯き加減で頬を赤らめていて、恥ずかしそうにしていた。
それがまたそそる。
...いや、そそるって何だ。とにかく超かわいいという言葉が似合う子だった。眼福眼福。
1人の男子が話しかけにいった。顔面偏差値55ってとこか。こんな注目のなか話しかけるとか勇気あるなあいつ...
何の話をしているのかは聞こえないが、その子は少し困ったような、しかしかわいい笑顔を浮かべ対応していた。
「やっぱり今日もかわいいな相川さん...胸も大きいし」
「嗚呼...あの胸を俺のものにしたい...」
横の男子共が気持ち悪い話をしていた。あの子の名前は相川というらしい。なるほど、見ると、確かに胸は平均以上あるようだ。
だがあの胸は俺のものだ!悪いな男子D!
おっと、相川が俺を見てしまったら「その他大勢の内の1人」認定されそうだ。さっさと戻ろう。
教室に戻りながら、俺は考えをまとめた。相川は超かわいい。今まで見たことないくらいだ。性格も良さそうだし、部活に引き入れたい。
だが、あの様子だと、昼休みに勧誘は難しそうだ。というか、急に現れた他人から部活に誘われても入ろうとは思わないはずだ。
まずは仲良くなる必要がある。
相川が1人になる時間帯に、何らかの形で出会い、好印象を持ってもらう。
友達になり、ある程度仲良くなってから勧誘...というのが妥当だな。
おれはその日から相川の学校生活を調べることにした。
ちゃんと小説になってますかね...