断章 岩窟無用語り⑤
いや、切ないねぇ、悲しいねぇ。
せっかく兄貴のように慕える仲間ができたってのにねぇ。
でも、この五郎のおかげで若犬丸はいろんなものを学んだんだよ。
この後、行くところがなくなった若犬丸は、結局、奥州の田村荘に戻るんだが、彼にも家族ができる。小田五郎の影響で、妻子は持たなくちゃいけないって、宗旨替えしたんだね。いいことだよ。
けれど、ようやく一息付けたころ、奥州に若犬丸が隠れているってのがばれてしまう。
鎌倉や幕府だけではない。彼らに敵対する勢力もね、これを放っておいちゃくれない。
宮方だの、新田勢だの、直義党だの。
そのせいで、若犬丸は、またも戦いに身を投じるんだ。
物語にお付き合い頂き、ありがとうございました。
落城と挙兵をくり返す、波乱万丈の小山若犬丸ですが、歴史上の人物です。典型的な貴種流離譚を地で行って、日本の歴史のなかにこういう人が実在したのって本当すごいと思います。(高校の教科書くらいでは載っていませんので、マイナー扱いですが、実は関東中世史のなかでは重要人物です)
彼を主人公にするなら、無理に狐女とか出さずに、ファンタジー抜きで歴史小説として描いても全然問題ない。でも、そうすると野郎ばっかりで、作者としてはモチベーションが下がります。
まるっきりの男社会なんて健康に悪い! そこそこ女性を出したい! というわけで、お色気担当として、狐女は今後もちょこちょこ出てきます。
作者の都合で歴史ファンタジーとなってしまった、当物語でした。




